レナードの自覚
ウィルとカレンが話をしている一角は図書室のテラスの目と鼻の先だった。
図書室で調べ物をしていたレナードは二人の声を聞きつけ自分も参加しようとしたが、ウィルの「カレン叔母さんはフロウと一番親しい親類」というくだりを聞いて足を止めた。ここからでも二人の会話はよく聞こえてきた…。
そうか…やっぱりウィルもフロウを思っていたのか。しかも二人はもう結婚の話までしているのか。
…そうだな昔から二人は仲が良かった。ウィルはいつもフロウの後にくっついていたし、フロウもウィルと気が合うように見えた。
レナードはそっと調べ物をしていたデスクに戻った。
だが書類を見ても何も頭に入ってこなくなってしまった。抑えようのない怒りがこみあげてきた。弟の幸せを素直に喜べない自分。
違う、フロウは、フロウは俺たちの天使だ。それをあいつは…あいつは…そうなんだ、分かっていた。
自分もフロウを好きなんだ。可愛い妹としてではなく一人の女性として。
でももう自分の気持ちを伝えることはできない。そんな事をして何になる?結婚を決めているフロウを困らせる事はできない。
俺が先にフロウに気持ちを伝えていたら違っていたのだろうか。
いや、母さんたちが死んだ後俺はフロウ達を遠ざけた。悲しむ弟たちに何もしてやれない自分を思い知るのが嫌で。それにそんな余裕もあの時の俺にはなかった。あの時からフロウは遠くに行ってしまったんだ。
あの後、ウィルから何時フロウとのことを切り出されるかと気が気ではなかったが何もないまま、翌年ウィルは学園を卒業した。
士官候補生の宿舎は広大な王の宮殿の敷地内にあり隣は近衛隊の兵舎となっている。
ここからは馬車で2時間ほどだが、士官は訓練と勉強、遠征などもありウィルはなかなか家に帰ってこなくなった。




