新しい侍女長
第3部
今日は新しい侍女長がやって来る。
以前の侍女長はジョセフ様が亡くなられたショックで随分と老け込んでしまいすぐにも引退したいと申し入れられたが、レナード様の成人までは見守ってほしいとの父の意向で留まり、その後もしばらく頑張ってくれていたが半年ほど前引退された。
今はご自分の田舎に戻られ娘夫婦と暮らしているそうである。娘夫婦と孫二人、5人家族が余裕で暮らせる退職金をレナード様は支払われた。
ジョセフ様の死後も屋敷に留まってくれた事にとても感謝しておいでだったのである。
新しい侍女長は想像していたより若い女性だった。カレン様と同じ位だろうか。なんとなく雰囲気も似ているような気がする。
門から歩いてきた彼女と途中で合流した私は自己紹介し、この屋敷の事を簡単に説明した。執事長の部屋に(つまりは父の部屋)案内した。
「執事長、ケイトさんをお連れしました」
部屋へ通して自分は下がった。キッチンへ行くと使用人たちが集まってさっそく新しい侍女長の話で盛り上がっていた。
「ほらほら仕事に戻って、まだやることが沢山あるだろう」
「ロブったら口調がお父さんにそっくりになってきたわね」
「ねぇだからどうなの?新しい侍女長は。いい人そう?」
「若い人かしら?それとも中年?行き遅れのガミガミ口うるさい…なんて人じゃないでしょうね?」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。自分がここにいるといつまでもこの調子だろう。私は自分の仕事に戻った。




