レナードの友人
仲のいい友達は僕の気持ちを察してくれている。いつもの様に僕に話しかけ、いつもの様にお昼に誘ってくれる。
両親の葬式の後はやらなければならないことが多すぎて目が回りそうだった、悲しいと思う暇もないくらい。
ジョージもロブも屋敷の者みんなが僕に協力してくれて本当に助かった。これまでに少しずつ家業の手伝いをしてきてよかったと思う。
カーライル家の親類も大勢いるにはいるが、今現在、領地の管理や重要な仕事を任せっきりに出来るほど有能で信頼できる人物は残念ながらいない。
それはお父様もよくご存じで、だからこそ僕に早くから家業の勉強をさせていたのだろう。そしてそれは連れ子の僕のことを信頼していてくれた証だ。お父様の期待と信頼をを裏切りたくない。
学業ももう少しだ、卒業すれば家の事に専念できる。
ウィルは13歳でまだまだ子供だ、僕がしっかりしないといけない。僕がフロウとこの家を守っていかないといけない。
重圧に負けそうになるけれど、気の置けない友達とのひと時が息抜きになる。
そのひと時を台無しにしようとする視線が僕を探している。あれは獲物を探す貪欲なハイエナの目だ。
「レナード!探したのよ。私も一緒にいいかしら?」(どうして馴れ馴れしく呼び捨てにするんだ)
「今友達と大事な話をしているので遠慮してもらえると助かるよ」
丁寧には話すが、表情は崩さない。感情も出さない。隙を見せたら食われてしまう。
「そうなの?残念だわ。今度お時間を作って頂けないかしら?お話したいことがあるの」僕にはない。
「君も知っていると思うけど、当分は忙しくて無理かな」
知っているだろうと言われて、いえ、知りませんとは言えない性格だろう。
無表情のままはねつけると、エリスは渋々去って行った。フロウにも付きまとっているらしいが、目当ては僕なのだろう。
「やっかいだな」
クロードがぽつりと言った。彼は性格がウィルと似ている。明るくてマイペースで話も面白い。
隣のカイルは同い年の中でもかなり落ち着いていて僕よりさらに年上に見える。
同い年でも兄のように頼りになるところがある。
クロードは女子から人気が高く、カイルは男子から人気がある。
「まったくだ」僕はうんざりして言った。「どうしたらいいと思う?」
「無視だ」
二人は声を揃えて言った。