真夜中の知らせ
第2部
真夜中だった。厚い玄関ドアを力いっぱい叩く音が静かなホールに大きく響き渡った。
「お願いします、警備隊の者ですお知らせがございます」
この時間に警備隊からの知らせ。
警備隊はその町の保全、事故、事件の処理全般を担う機関である。
ジョージは不吉な予感を感じながらガウンの襟を引き寄せ、寒さのせいか不吉な予感のせいなのか少し身震いしながらドアを開けた。
2階の僕の部屋は玄関の真上にある。10月末の夜、窓は閉めていたがそれでも玄関を叩く音と何か大声で呼びかけている声は聞こえてきた。
パジャマの上にガウンを引っ掛けて早足に玄関へ向かった。
玄関ホールが見えてくると中に黒いコートを着た背の高い男とジョージが話しているのが見えた。ロブや侍女長の姿も見える。反対側の廊下からフロウが同じ、パジャマにガウン姿で不安そうな面持ちで歩いてくるのが見えた。
その時侍女長が口をおさえ泣き崩れた。
その姿を見たフロウが走って階段を駆け下りた。フロウを先に行かせてはいけない、と咄嗟に僕もその後を追った。だが間に合わなかった。
先に玄関ホールに到着したフロウに、厳しい表情のジョージが一言二言話をした。
ぐらりと彼女の体が揺れた。追い付いた僕は必死にその肩を支えたがフロウの細い肩を掴む自分の手が震えているのに気づいた。
「兄さん・・」
振り返ると不安そうな顔をしたウィルがすぐ後ろに来ていた。