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12.いざ、市場調査①

「ハヤトさん! 大丈夫でしたか!?」


 あの後素材を収納魔法でしまい急いでギルドへ戻ると、入った瞬間にそう言われる。

 ポニーテールが印象的なギルド職員だ。


「セレナ、大丈夫だよ。……相手も油断してたし?」


 恐らく俺が素材採取を受注した後、依頼主であるあの(あい)の聖団の者が事情を説明に来たんだろう。

 そしてE級である俺が既に受注し発った後だったと。

 斡旋したギルドとしては心配にもなるよな。


「良かったです……、心配しました」


 冒険者登録の時に受付をしてくれたセレナは、自分が担当した初心者が(くだん)の依頼を受けたと聞いて驚いただろう。

 こういう心配をかけないためにも、実力をつけたりパーティーを組むというのは大事なんだろうな。


「ああ、素材も無事採取したし」


 俺は以前ルルに言われた通り、ギルドに入る前に収納魔法から素材を既に取り出していた。

 冒険者の中には、その希少性から収納魔法持ちというだけでパーティーに誘う者も居るという。

 特に一人で居る時には余計なトラブルにならないよう、細心の注意を払っている訳だ。


「さすがです! どうぞ、右奥のカウンターで受け付けを」

「あぁ、ありがとう」


 依頼達成報告用のカウンターでは、前回と同じ男性職員が対応してくれた。


「ハヤトさん、……今回は大変でしたね。依頼者より事情はお聞きしています。報酬も上乗せした分が入っておりますよ」

「メイルフラックス十束、だったよな。これで良いか?」

「……はい、確かに。素材も損傷ありませんし、お仕事が丁寧ですね」

「あはは……」


 さすがにE級がいきなり収納魔法を使っているとは思わないだろうな。

 仮に俺が複合クラスだと把握されていても、クラススキルというのはゆっくりレベルが上がるものだという。新しいスキルの習得も同様なのだろう。

 少なくとも初心者が覚えているものではないだろうな。


「こちらが報酬です。素材採取もぜひまたお受けくださいね」

「ああ、そうするよ」


 本来の報酬は、レイ銀貨二枚分。魔物ではない分、ベリーエンテの素材納品より少ない額だった。

 さて、今回はいくらだろうか。


「宿に戻ってグレイに聞くか」

 

 反転して、出口へと向かう。

 するとそこには、見覚えのある姿が……。


「あれ、……グレイ!? どうしたんだ」


 いつ見ても眩しい、美形のエルフが腕を組みながら扉に体を預けてこちらを見ていた。

 それすら絵になるって、どうよ。

 その表情は嬉しそうな、呆れたような、どこか読めない表情だ。


「お前って、本当規格外だよな」

「?」

「なんでもねぇ。帰るぞ」

「お、おう」


 昨晩尾行されている事に気付いていたグレイ。

 もしかして、俺のことが心配でこっそり着いて来てた?

 だとしたら、全く気付かなかった。

 さすがは手練れ、といったところだ。

 いや、……考え過ぎかな?


「昼飯も魔女と合流して食べるだろ?」

「そうだな~、物価も知りたいし」

「なら、先の分の宿代は別にしとけよな」

「おお、忘れるところだった」


 この世界で初めて稼いだお金で買い物が出来ることに浮かれていた。

 すっかり宿代のことを忘れていたな。


 慣れてきた宿までの道を難なく踏破し、自分たちの部屋に戻ってきた。


「えーーっと」

「こりゃ、大金だな」


 前回より重い袋には、レイ金貨が四枚、金貨が一枚、レイ銀貨が五枚入っていた。


「レイ銀貨は五枚で金貨一枚と同じ価値だ、使いやすいよう両替してくれたんだな」

「へぇ?」

「ちなみに金貨は二枚でレイ金貨一枚分だぞ」


 うーーん。宿代がツインで安めとは言え一人レイ銀貨半。レイ銀貨が一万円ってことは無いだろうから、千円から五千円の間だと考えると。


 金貨かレイ金貨のどちらかは、一万円ほどだろうか?


「そのうち慣れるさ」

「だな」


 とりあえず宿代から考えて、レイ金貨二枚ほど別にしておけば宿代はしばらく大丈夫だろう。


「一旦シャワー浴びたい……」


 この世界にもバスタブ、シャワーの概念はあって。

 元の世界と違うのは、エネルギーそのものが魔法で賄えるということだ。


 一般家庭はまだお邪魔していないので不明だが、この宿にはバスタブと一緒にシャワーが付いていて、お湯が出る原理はどうやら水と火の魔石を用いた魔道具のような物らしい。

 詳しく見てはないが、ざっと見る限り下水の整備もある程度は整っているのだろう。

 

 ほんの少し魔力を与えれば、適温で出てくる。

 お湯で体を洗う文化があって本当に良かったよ……。


 俺は盗賊相手に汗をかいた体を洗い流し、さっぱりした状態で午後を迎えた。



 ◆



「ハヤト様! お怪我ございませんか!?」

「うるせーーぞ魔女」

「あんたに任せることほど不安な事はありませんもの」

「んだてめぇ?」


「わーーストップ! 怪我ない! 怪我ないから!」


 何でこの二人は顔を合わせれば喧嘩を始めるんだ。


「ルルも分かってたんだ?」


 尾行されていたのはルルも一緒に居る時からだったんだろう。


「ええ、手を出す様子は無かったですし。ハヤト様狙いだろうとは思ってましたけれど」

「こいつ一人で倒すんだもんな」

「さすがハヤト様ですわ!」

「お前、あれもスキル?」

「あ、やっぱり見てたんだ」

「まぁ、な」


 若干バツの悪そうに顔をそむける。

 助けに入らなかったことに負い目を感じているんだろうか?

 全然そんなことないんだけどな。


「スキルの内容をステータスで確認した時、ちょっと考えてたんだ。あの盗賊が誰かの命令で動いてたら全力を出すのもな、ってね」

「ははぁ、お前頭も回るんだな」


 感心したように頭を撫でまわされる。

 ちょ、一応元アラサーだったんで勘弁してください。


「わ、(わたくし)もーー」


 だから張り合うなって!


「それで、ここが商業エリア?」


 ルルとの待ち合わせ場所にはグレイの後をそのまま着いてきた。

 フリーマーケットというか青空市場というか。

 露店が軒を連ねる一角。両サイドには市場とは別に店舗も連なっている。


 目移りしてしまいそうな商業エリアといえど、やはりこの二人はどこに居ても目立つ。

 周りの視線も二人に釘づけだ。


 というかグレイ、エルフだからか身長高すぎな。


「冒険者の必需品から日用品まで、何でも揃うと言われる通りですわ!」

オレら(冒険者)が良く行く店は大体固まってるな。武具屋に薬屋、あとはーー」

「魔道具屋、ですわね。そこでは特に、レジェンダリーと言われるダンジョンの秘宝が目玉ですわ」

「おお」


 何か、更にゲームっぽいのきたな。


「普通に魔石を用いた、魔道具職人が作った物もあるが……。冒険者の憧れの品ってところか?」

「旧時代の遺産とも言われ、大昔にこの世に存在した大魔導師たちの叡智の結晶とも言われてますわ」

「へぇーー」


 昔の人はみんな特級クラスだったってことか?


「ダンジョンというのは、そうした大魔導師たちが残した物とも言われておりますの。魔道具ですので、魔眼で効果が確認できますわ」


 実物を見ていないから何とも言えないが、昔の人が後世の人を試すために作ったんだろうか?


「収納魔法の効果を持つ鞄や、魔法を帯びた剣……色々とございますわね」

「ちなみにオレの剣もレジェンダリーな」

「おお、かっこいい」


 すらりと抜いて見せてくれた刀身の真ん中部分に、赤みがかった模様がついている。

 魔紋ってやつだろうか? 剣自体にも効果があるんだろうな。


「買うにはちと値段が張るからなぁ。基本はレジェンダリー級はダンジョンで確保して、補助的な魔道具をお金で買うのが一般的だな」

「ですよねーー」


 伝説級のアイテムがそう安い訳ないよな。

 数も限られるだろうし、そもそもダンジョンの踏破ってどのくらいの難易度なんだ?

 まだまだ分からんことが多すぎる。一歩ずつ確実にいくしかないな。


「ハヤト様は何か欲しいものがございますか?」

「昼ご飯を食べて。そうだな、冒険者らしい服装と……。ポーション的な薬品も見ておきたいかな? 物価がどんなもんか知りたいし」

「でしたら美味しい屋台をご紹介しますわ!」

「お前の金銭感覚で選んでないだろうな?」

「失礼ね! 普通の冒険者が行くようなところよ」


「はぁ」


 まーーた始まったよ。


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