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歴史は繰り返す

2057年 地球 日本国

アヤト達が過去改変プロジェクトにより異空間転移した後の世界


作戦は成功したのか?


「わかりませんが、本世界線への影響は全く無いようです。」


「うむ、では本世界線におけるリセット作戦を開始する。」


「また新しい人類の歴史を始めるのですね。」


「ああ、人類は何度も失敗を繰り返す。」

「だがその失敗を繰り返すことにより、より高次元の人類へと変化できるのだ。」


「一部の人間のエゴで世界が滅びることになってもそれは失敗ではない。」

「次なる人類のための布石となるのだ。」


「そのために、あえて権力志向の人物を野放しにするというのも・・・」


「だから、過去改変という一途の望みをかけた作戦も並行して実施される。」

「可能性は無限大にあるからだ。」


「世界中に散らばっている戦闘エージェントが、配置につきました。」


「未来文明再興プロジェクトを同時に発動。」

「12使徒配置につきました。」


「うむ、作戦を開始する。」


作戦開始数時間前


南極地区地下、秘密基地内


「我々12使徒と言われるメンバーが一堂に集まるというのも壮観なものだな。」


「ところで過去改変プロジェクトにお前たちが選ばれなかったのが不思議なのだが・・・」


日本の古来から続く特殊能力者集団

その名を時代によっては「ヤタカラス」とも言われる。


実は正式な名称はない

あえて今の時代で表舞台に出ていたのは「綾小路家」という家名だけだ。

それもまたこの組織においては重要なものではなく、単なるコードネームにしか過ぎない


組織メンバーに選ばれると

戦闘エージェント、経済エージェント、支援エージェントにわかれ

それぞれの任務を全うすることに注力する。


この組織において重要なのは、人類の選択の邪魔をせずに

裏から支え続けること。


それが例え大きな間違いへと続く道であっても直接的な行動に出ない。

最低限の支援を行い、文明を存続させていくことだった。


一方で、時の人類文明における大きな岐路においては

この文明や人類を破壊することを判断することが重要な役割となっている。

ゆえに、人類文明の監視者とも言われる。


地球においては、長大な過去の歴史で人類文明の破壊

いわゆるリセットが行われてきた。


それにより文明破壊以降の新人類が成長するための基礎を作り上げることも

組織としての重要な役割でもある。


人類文明破壊後、少しの生き残った生物と人類をサポートし

一から生命と文明を築いていくための準備をする。

それらの任務を司るのが12使徒と言われるメンバーだ。


通称、ヤタカラスと言われる組織の中心には「時の巫女」が存在する。

そしてその巫女を中心とした3人組のトップエージェントが

次の時代の監視者となって組織を再構築していく。


「ああ、今回は量子AIによって最適な人類を選択されたのだ。」

「もちろん巫女様も生態を変えて3人組に組み込まれた。」


過去改変プロジェクトとは、単に別の選択である世界線を増やす作戦であり

その実は、本世界線の未来におけるアダムとイブ作戦でもあった。

よって過去改変作戦自体が数%の可能性であっても、作戦を実行することに意義がある。

そして、本世界線における人類文明リセット作戦とも連動しているのだ。


この世界線において、人類はAIによって家畜化されてしまった。

人類がこの世界の覇者であり続けなければ、文明は人類の物ではなくなる。

これが、監視者達によって破壊を実行する判断に繋がっている。


「巫女様はやむ負えないと一言おっしゃったようだ・・。」


12使徒のメンバーは3人一組となって

世界各地、そして様々な未来へと分散転移することになっている。

また、それぞれのメンバーにおける現地の任務は、個々の判断に任せられ

それぞれの役割をもって、新たな地球文明の基礎を作り上げることになる。


それぞれが特殊な能力と知識を持つ12使徒

実は、その中に現世界線の巫女も含まれている。

要するに新たな巫女が生まれたことにより、最後の巫女としての任務を実行するのだ。


そして次々と転移準備に入ると、この巫女が含まれた3名による転移が始まる。


「本部からプロジェクト作戦開始の指示が出ました。」


時代も場所も異なる転移先において、この12名の作戦が開始された。

次々と異空間回廊が開かれ、転移能力者によって想定された場所と時間へ飛ばされる。


過去へ飛ぶよりは確率が大幅に高いとはいえ100%とはいいがたい

それでも彼らは人類の未来のために偶然を重ねるための布石となった。


本世界線における最後の巫女


彼女の能力は多大なる知識の継承、適正な能力の譲渡にあった。

そして、所謂転移者のための支援として未来へ通じる道しるべを作る事。


異世界への女神回廊と言われるこれは、この巫女の能力によるものだった。

そしてこの能力をすべて開放することにより巫女としての生命は終わりを告げる。


「後は頼みましたよ・・・ナビ」


そう言いながら巫女の意識は空間で消滅していった。



戦闘エージェントの死闘


各地に派遣された戦闘エージェントは、AIによる機械部隊だけでなく

現人類との戦闘も含め破壊工作を実施していくことになった。


電子戦等における核攻撃だけでなく、戦術核による戦いも含めて

その戦いは熾烈を極めた。


地球上すべての人工衛星の破壊。


世界大戦の終焉を導くためのこの戦いは、まさにすべての破壊につながる。

それは地球上だけでなく宇宙空間においての戦闘も含まれている。


AIネットワークの破壊のために地下空間においても戦いが行われる。

AI自体の破壊、通信環境の破壊。

これらは大きな地震ともとれる被害を地上に巻き起こした。


地球環境は大きく変化し、自然による脅威がこれに続く。

各地で巻き起こる台風・地震・津波、地球全体の水位の上昇による陸地の水没。

更に放射能と地場の変化により、

とても地上で活動できる生命はいないかと思われる状況となっていく。


地球自体はここへきて大きな抵抗を示した。


自転軸の変動


これらが不安定だった地球の自転軸に影響を与えることになり

地球磁場が解放されると太陽からの放射熱と共に宇宙線が降り注ぐ


次に自転軸が定まるまでの一瞬において

地球上では、ほぼすべての活動が止まることになった。



時に2058年

この世界線における神の洗礼ともいえる破壊活動が終焉した。


そして、世界ではしばらくの沈黙が続く。


地球は、新たな生命をはぐくむことに専念し

かろうじて生き残った生命は、長い時間をかけて

この地球環境に適応できるように順応していくことになるだろう。


長い時が流れ

そしてまた次なる人類の文明の黎明を迎えることになる。


やがて12使徒がおとづれ、

文明の基盤を作る時が来るまで待たなければならないだろうが・・。


人類創世


地球に生き残ったごくわずかな人類は、大きな環境の変化にもめげずに

今日の糧を求めて狩猟や採集に出ていく。


比較的被害が少なかったわずかな場所において生命は継続されていたのだ。


そしてそこに、神の使途が現れる。


言葉も無くし、文明も無くし、その日生きていくだけの人類に

使途は様々な知識と生命を与えた。


その中には、従来の物とは大きくかけ離れた新人類や動植物も含まれる。

だが生きているだけの旧人類にはそれすら理解はできない。

ただ生きるために受け入れるのみだった。


そしてまた時が流れていく。


長い時の中で、

神の使途が時折やってきて新たなものを人類に残していった。


やがて、人類はそれぞれの思いを基に集まり

文明らしきルールが出来上がっていく。



しかしこれらの事実は歴史に刻まれることはなかった。



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