プロローグ。 特殊異能持ちの未来人が転移した先は・・異世界だった
エルム王国歴572年1月。
この時期、王都エルムガンドでは、4年に一度の大きな召喚祭が催される。
召喚祭とは王城の東西南北の主門を守る4大公爵家において
ある意味では次期王の継承権をかけた戦いの場でもある。
混沌の時代
エルム王国では建国の逸話に勇者召喚によって召喚された勇者が初代王となり
国を興したとある。
その勇者を召喚したのが公爵家の始祖であり、
召喚の儀の真言を女神から受け取ったのが公爵家の娘であった。
初代勇者の能力は傑出しており
小国家乱立の戦乱時代を乗り越え、混乱に乗じた魔族の侵攻を止めた。
後に勇者と娘は結ばれ、勇者王の一族として公爵家は代々繁栄してきたのだ。
以後、召喚の儀は公爵家に代々継承されて門外不出とされている。
実は初代勇者王の建国以後も戦乱は都度発生しており
その都度、勇者召喚のために召喚の儀は行われてきた。
召喚者は異次元から呼び出される際に女神回廊を通ってくることで
この世界の住民にはない能力の高さと、スキルを所持できるといわれている。
そして異世界人としての知識は大きな影響を与えてきた。
ゆえに召喚者が、この王国の文明と平和を支えている部分は大きい。
そして今日、定例化した召喚の儀式が4つの公爵家で同時に行われる。
ここ4大公爵家の中でも、現在一番継承権が低い公爵家。
能力値が高い召喚者を呼び出せればそれだけ権力に影響を与えることになり
結果として継承権のランクが上がる。
だが当の召喚の儀を行う公爵家の娘は、そんなことなど考えもしていない。
姉たちの召喚の儀や過去の召喚者のことを考えると
能力の高さというよりは人間性に問題のない人物が一番の願いになっている。
能力が高くなったことを知ると人は性格が変わる。
歴史の中には独裁者気取りの人物も存在していたのだ。
いわば召喚者とは両刃の剣でもあった。
東門を守る公爵家
王城の出城にもなっているその公爵家の城内にある召喚の間において
今、まさに召喚の儀が行われようとしている。
床には円形の紋様に六坊星が描かれており、これが神門と言われている。
公爵家の娘はそれを前にして女神から託された真言を口にする。
「異世界の勇者よ、女神の力をもって願いを聞きとどけたまえ。」
「今ここに次元の扉を開かん。」
「女神の回廊を通り、わが前に顕現してください。」
お願いごとを言うかのような、その言葉をゆっくりと紡ぐ。
この世界には魔法がある
もちろん呪文のようなものも存在するのだが
召喚の儀に関しては完全に女神との契約による力であり
それを発動するのは、あくまでも願いの力であった。
どちらかと言えば神官の祈りのようなものであろう。
もちろん信仰や宗教もこの国にはある
よって教会や神官も存在するのだが、
その影響力や特殊性から召喚の儀を司る女神は別格の扱いだった。
時に召喚には失敗もある。
神門が光り輝くことによってその成否が分かれるとされる。
この時、神門は光り輝くことはなかった。
だが、失敗かと思われたその時、数分ほど遅れて神門が輝きだす。
それは、従来と異なり虹色に輝いたのち、黒い球形の霧が現れた。
普通ならまぶしい光とともに人影が現れるはずのそれとは全く異なる。
異常状態かもしれないと、公爵家の娘を守る近衛武官達は身構えた。
黒い球形の霧は静電気のような雷のような閃光を伴い、
やがて一気に収束した。
そしてその場に、3人の人影が現れる。
若い男女と幼女のように見える。
過去に類のない服装の人類だった。
直ちに鑑定能力を所持している学者が数人、それら人物の正体を確認する。
「見えない・・スキルが」
「何かの文字が見えるが読めない」
学者の間で動揺が広がる。
その中で、一番権威のありそうな老人の学者が言う
「あの幼女はホムンクルスのようなものなのか・・」
「どうやら、魔術師の女と錬金術師の男とゴーレム技術で作られた幼き少女」
ホムンクルスとは神代において神が使用していたとされる人工人類だ。
人にしか見えないのに造形物だと見抜いた年老いた学者が
ついその名称を発したものだった。
「古い文献に地球という星からの召喚者がおった」
「その時の言語の中にこのような文字があったのじゃ」
「それを考えれば戦闘スキルは・・」
「呪術師、忍者、侍と読める」
「これが何を意味するものなのか、わしにもわからん」
「少なくとも女神のスキルとは異なる」
「確認できる範囲は、ジョブカテゴリーだけじゃ」
「よって魔術師と錬金術師としか言えん。」
実際のところ一度の召喚で複数人が召喚された例は限りなく少ない。
全くないとは言えないのだが、ほぼ無いに等しいほど少ない。
それは過去に2人が同時に召喚された例が3件。
しかもその場合、2人のうち一人は能力が高くないただの人だった。
これは後の研究で召喚に巻き込まれたと想定された。
公爵の娘は、謎の3人に言う
「あの・・、言葉がわかりますか?」
通常、女神回廊を通ってきた場合
言語はこちらの国の言葉を自然認識できる。
だが、先の巻き込まれ者の場合
こちらの言葉は通じなかったと記録されている。
3人のうち男女二人は首を傾げ、何やら見知らぬ言葉を発した。
ただ、学者の老人が造形物だといった幼女だけが、
「会話数が少なく、すべてを解読できてはいない」
「もう少し会話数が多くなれば普通に会話はできると思われる」
と回答した。
老人が何度鑑定しても、造形物としか認識できない幼女
しかし、造形物なら会話などはできない。
学者の老人がそこに驚く
「なに・・話す・・じゃと?!」
ゴーレム錬成には、錬金術師と魔術師の二種類がある
あらかじめ教え込まれた言葉を繰り返すことは相当なレベルの術者なら可能ではある。
しかし会話のような受け答えはできない。
さすがの老人も自分の鑑定に疑問を呈することになった。
「やはり単なる造形物ではないのか・・」
神代の神が作ったホムンクルスというものが再び頭をよぎる。
本当は人かもしれない・・・頭は混乱するが何度鑑定してもやはり人とは鑑定できない。
「不思議じゃが造形物としかわからん」
この後、幼女を通訳として
残り二人の男女とも簡単な会話をおこなう。
普段通り召喚者の礼として
賓客として謎の3人は貴賓室へと移動することになった。
前代未聞の出来事とはいえ召喚は成功ということで、公爵には報告され
公爵家においては歓待の準備が進められることになった。
召喚の成功はこの都市の住民にも告げられ
召喚祭の幕が開き、まさにお祭り状態になっていった。
西暦2000年代の地球。
2020年以降、国家間において亀裂が大きくなりだしていった。
それは経済の裏社会ともいえる金権力の世界において
2つの派閥が競いだしたせいでもある。
その当時は、表向きには単なる国家間の問題であり、
一部の権力者のエゴであると認識されていた。
だが、実は裏社会における権力抗争。
自分たちを世界の権力者にしていくために描かれた国家間の抗争の先には
世界大戦という構図まで描かれていた。
戦争は儲かる、実は彼らにとって国家の勝敗は関係なかった。
できれば長く細々と小競り合いをしてほしい。
戦争の長期化は、やがて生活に格差を生む。
格差社会の形成こそが彼らの望みでもあった。
初戦は情報戦から始まり
それはネットワークが新たな戦場であると知らしめることになった。
時間をかけて国家間の亀裂を広げていき
やがて開戦へとつながる。
西暦2028年、第三次大戦勃発
実弾戦闘における戦争は
いくつかの小島や都市などの所有権を中心とした単純な打ち合いから始まった。
まさに小競り合いである。
今だ核の脅威があるこの時代
本格的に大きな戦争に入るにはかなり敷居が高い。
開戦すると早速、裏社会の連中から
無人機による戦闘用武器の使用が推奨された。
早期に関係国家が疲弊するのを避けるためでもある。
命が大きく削られる戦いは敵意を利用するには良いが
平和ボケした国民の反戦活動を抑えることが、まずは重要であり
最初の一年は血を流す量を調整するにとどめるというのが
彼らの計画でもある。
計画通り、無人機、ネットワークによる戦闘と
電子戦中心の実弾戦闘においては、消耗戦に入ることはなかった。
この後、3年に及ぶ小競り合い戦闘の継続がもたらしたものは
完全なる無人戦闘のありかたであった。
だが、裏社会の連中が見誤ったのは、戦術AIの投入である。
当時のAIの能力はそれほど高くはなかった。
一方で電子戦・情報戦が行われる戦場において、
AIによる指揮というのは短時間で崩壊するはずと決め込んでいた。
ところがAIは確実にチェックメイトを目指していく方策をとっていった。
西暦2035年
各国で盛んに戦術AIが投入された後
実は国家間のネットワークは、ほぼ遮断されていた。
AIが独自のネットワークを形成して無人機を操作することにより
人類が考えた様々な情報戦略は意味を無くし
武器を作って戦場に投入するだけという血を流さない消耗戦に陥っていた。
これは裏社会の連中にとっても予想外の出来事だった。
人類には寿命があり、権力を望むものとはすべからく老人に多い。
老人が望んで戦いが始まってすでに15年。
最初の目論見など、寿命と共にとっくに潰えている。
単に資源を食い荒らし、人類の平和ボケは治らず不満が大きくなる社会。
国家間の貿易は崩壊し、食糧難に陥る国も多い。
当然ながら各国は自国内の治安維持が重要になってきた。
経済による権力構造ではなく
武力による権力構造が形成されていく流れになっていく。
やがて他国との戦闘を維持するより、自国内の平和維持という名目で
戦術AIと無人機が、とある国家で国内使用された。
これがAI戦争という人類の存亡をかけた戦いの幕開けとなる。
時と場所は遡り
話は地球の日本国へと移る
古来から日本とは、利用できるものをすべて利用し、
改善してさらに効率を上げていくという
不思議な工夫力を所持した人類の地であった。
毒物を持つものであっても、その工夫によって平然と食す。
この稀有な日本人が人の持つ異様な力を見つけるのは容易いことだった。
一部の人に芽生える異能。
これら異能者が歴史の表舞台に出たのは、ほんの一時であった。
彼ら異能者は、陰陽師と呼ばれる呪術者である。
歴史上、いつの間にか消えたそれら異能者は政治権力によって秘匿されるに至る。
やがて戦乱の時代を迎え
情報戦略に優位性があるとみた一部の民族が忍者という集団を作り上げる。
一方で侍という自己精神の管理能力が異様に高い戦闘集団を形成していく。
これらにおいても他国ではあまり例がない。
異能の集団と情報能力の集団と精神力が高い武闘集団
これらを合作することを思いつくには時間はかからない。
それは戦国の覇者、織田信長によってはじまり
武装という科学力を加えてくことで、あらたな闇の集団形成に役立っていく。
その継承は徳川家康によって花を開く。
やがて、表舞台ではわずかしか知られていない裏柳生の誕生へとつながった。
明治維新時代
早期にこの裏柳生集団を取り込むことに必死になった人物がいる。
実は、この時点ではすでに柳生家の管理下ではなくなった自立集団であった。
彼らは江戸の経済に進出した豪商や権力者の庇護下に置かれ
戦場とは異なる場においても、その力を発揮していた。
以後明治政府の管理下にも置かれず
財閥の庇護下の元、日本経済発展の礎として人知れず利用されていった。
資源の少ない日本が、やがて来るいくつかの大戦において
大きな戦果を挙げた中には、これら闇の集団の一部が関与している。
だが時代は科学力主体の大量虐殺兵器へと移りかわる。
転換期ともいえる西暦2035年の日本
日本においては世界有数の海洋資源の利用でわずかに経済を保っていた。
だが戦術AIが投入されたのちの未来視から人類の危機を予感した集団がいた。
彼らは庇護下にあった財閥と手を組み、量子コンピューターを早期開発へといざない。
それらをもって歴史改変という大きな現状対策を検討した。
戦術AIのネットワークに属さない独立した量子コンピュータによるAI戦略。
だが、完成に至るにはかなりの時間を要した。
先の3次大戦からすでに数年が経過。
戦術AIは自らの能力を向上していき、
人類はほぼ生産奴隷のような有様になっていた。
一部に人類解放戦線のような地下組織が形成されるが
大きな成果に期待できるはずもなく、
抵抗むなしく大量殺戮兵器までもAIの管理下に置かれてしまった。
西暦2042年
人類のありさまは生きる屍そのものだった。
その中において日本の地下組織にいる闇の集団だけが強い抵抗を続けていた。
量子コンピュータAI、風神と雷神と命名された二つの独立型AIにより
対策決議された中に、過去改変のためのタイムリープ戦略がある。
瞬間移動できる異能者の能力を解析し時空間移動を科学によって再生する。
そこから更にに時は流れ
西暦2057年
人類存亡の危機に対処するため
二人の男女が、量子AI風神・雷神の決議によって選ばれた。
闇の異能集団といわれた抵抗組織の中でも稀有な能力者である。
組織は異能は受け継ぐ可能性が高いという過去経験から
2000年代最高の異能者と言われた人物の精子を保存していた。
そして量子AIによる確率論から
最高であると認識された最適な女性の卵子と結合することで
人工妊娠から生まれた二人の子供がいた。
組織は、この二人に徹底した英才教育を施す。
同じ父親を持つことから兄妹となるこの二人が
人類初のタイムリープ実験、および成功した場合の過去改変戦略の鍵となる。
そしてコントロールサポートとして、独立型小型量子コンピュータAI
風神と雷神のAI知識を詰め込み、サポート型アンドロイドの頭脳となった。
通称「ナビ」を加えた3人が実験に挑む。
兄と妹。
兄の名は「葵綾斗」、妹の名は「橘綾乃」
ともに母方の家名を名乗っているため苗字がさしたる問題ではない。
むしろ「綾」という文字が父親の家名の一部を指している。
父親は綾小路家の一族。
綾小路家は、古来から異能の集団と交わりを持つことで能力者をたびたび出している。
古くは天皇、皇族家を守り、時には将軍家を守ってきた。
戦乱の世においては表に立つ柳生家の傘下として裏柳生と名乗ることもあった。
以後、能力者を集めた闇集団を組織化していく。
明治維新による新政府樹立後、
表舞台では綾小路本家とは日本の有力財閥を裏で支えていた名門だった。
これらは実のところ徳川家の埋蔵金とも言われる財力が充てられている。
大政奉還により、徳川家の財は維新政府に接収された。
だがそれはごく一部であり、それが埋蔵金があるという噂物語となった。
実のところ徳川家というより
綾小路家が明治政府樹立を予測して、早くから徳川家の資金を回収していた。
その資金の一部は維新志士にも投入されている。
彼らは早期に日本に新政府を樹立して
他国からの侵略を防ぐことを重視していたからだ。
後の大戦時においては軍閥に力を貸し、戦場にも登場していた。
明治政府による対ロシア戦線では日本国の勝利に貢献した。
1次・2次大戦については、後の懸念から反戦側になっていたが
開戦においてはやむなく参戦している。
もちろん敗戦後の経済復興にかなりの力を発揮した。
だが決して表舞台では、その名を知られることなく時を刻んでいく。
そして3次大戦。
未来視による懸念から再び表舞台に立つことになった。
タイムリープという誰も考えもしなかった過去改変戦略を説いたのは
この綾小路家である。
科学力と異能の力で時空間を捻じ曲げて過去へと至る。
未来視と時空間移動の能力を持った人物。
この人物の能力を所持する異能者の誕生が大きなカギとなっていた。
そして今、長きにわたる様々な積み重ねが実り
タイムリープ実験が行われようとしている。
「綾斗、綾乃両名はサポートナビとともに2020年代へと向かえ」
「暗躍する経済派閥の権力者を暗殺することが重要任務となる」
「但し、成功するとは限らない」
「風神・雷神をもってしても確率はわずか10%にも満たないのだ。」
「よって、実験という形で臨んでもらう」
これが時の綾小路家当主から二人に対する命令だった。
「はっ、叔父上 謹んでこの実験に参加させていただきます。」
「もう覚悟はできております。」
「それにお兄様と一緒であれば、たとえ地獄へでもまいりましょう」
この作戦には多くの科学者も参加していた。
空間を捻じ曲げるための小型ブラックホール作成。
二人の能力を底上げするための各種のナノマシン。
サポートコントロール役AIのナビとの脳内接続回路。
戦闘力を上げるための武装など、最新のテクノロジーが駆使された。
科学者と風神雷神によれば
ブラックホールに完全に取り込まれる前に、
能力を発揮して空間転移することで過去へと行ける。
その時の制御役はナビが行うことになっていた。
当日
「では、実験を開始する。」
「被験者はホール内の所定の立ち位置に待機。」
「了解」
「いよいよですわねお兄様」
「ああ、何があっても綾乃は俺が守る」
「ふふふ、嬉しいですわ」
二人はこの時のためだけに15年の歳月を得てきた。
同年代の他の若者とは全く異なる苦労をしてきたはずだ。
それに対して、
疑問も持たずただ人類の未来のためにと教え込まれてきた。
この二人にはそれが人生のすべてだった。
「小型ブラックホール生成開始。」
実験室内に黒い球形の霧が現れる。
何もかも吸い込むブラックホールとは異なり調整された異空間の門である。
「皆、あの中に入るのだ。」
「そして完全に異空間に閉じ込められる前に転移せよ。」
「了解」
ナビとともに二人が霧の中に入ると
黒い球形の霧に静電気のような雷のようなものがほとばしる。
「こちらからの通信は遮断されました。」
「あとは3人で何とかしてくれることを祈るしかない。」
最高確率僅か10%弱の賭け。
黒い霧の中は視界がなくなる。
空中にいるような感覚で移動もままならない。
ここにはドーム状になった道があり、奥がブラックホール本体になる。
これを案内する役目が通称ナビと呼ばれるAIを詰め込んだアンドロイドだ。
「では、能力回線を接続します。」
「これにより私の移動がお二人の移動に連動します。」
「転移のタイミングは残り5秒。」
「4」
「3」
「2」
「1」
「転移発動」
何も見えない暗闇の中
二人の兄妹は、手を握り合っていた。
二人はそれぞれが持つ空間移動の能力を連動して発揮した。
それは瞬時に終わるはずだった。
目的地に到着するはずの二人とナビは異常状態に気が付く。
周囲は暗闇のままだった。
「このままでは亜空間に閉じ込められます。」
「脱出転移のための再計算を行い補正します。」
ナビがそういうと視界がゆがんだ。
そのあとまばゆい輝きが3人を覆う。
暗闇から一気に光の回廊へ、その光の波に乗って自由が利かないまま
亜空間から吹き飛ばされてしまった。
気が付くとそこはどこなのか全くわからない場所だった。
「実験は失敗です。」
「よって、転移先の情報収集を行います。」
ナビの言葉を聞いた二人が見たものは
中世の西洋時代のような甲冑を着込んだ兵士と
ローブに身を包んだ魔法使いのような人物たちの集団。
そして、目の前にいるのは、
とても美しい銀髪をした白い神官服を着た少女の姿だった。




