僕の行動は制限されている。
僕は、いつも同じところにいるよ。
僕を作った博士がね、僕にこう言ったからだ。
『シック! よーくお聞き、外の世界は怖い所だ! お前みたいな
ロボットが外に出れば、直ぐにぐちゃぐちゃに壊されてしまう。
だから、絶対に! 外に出てはいけないよ。いいね、シック!』
『・・・ううん、分かったよ、博士。』
『どうした? 返事に迷いがあるな? やっぱり外の世界を見たいのか?』
『そりゃ~僕だって怖いけど、見てみたいんだ! 外の世界を、、、!』
『シック! お前の気持ちはよく分かる! だけど、お願いだから勝手に
一人で外に行かないでおくれ! これは、博士からのお願いだよ。』
『・・・・・・ううん。』
いつも僕が、博士に言われる事だ。
博士の言ってる事は、僕にもよく分かっている事だけど、、、?
毎日、同じ場所に居るのは凄く辛いんだ。
それに外の世界を、自分の目で見てみたい!
どんな世界が広がっているんだろう?
博士が用意した映像でね、お花畑が広がっている映像を見たこと
があるんだけど、、、?
外の世界も、あんな風に綺麗なお花畑が広がっているのかな?
考えただけで、ドキドキ・ワクワクするよ!
いつか? 博士にも僕の想っている事が伝わって外の世界を見に
行っていいと言ってくれないか?
僕は、ずっと待ち続けているんだ。
*
・・・だけどね?
僕が作られて、10年後! 博士は心臓発作で突然亡くなったんだ。
僕が博士に気づいた時には、既に心臓が止まっていた。
もう、どうしようもなかった。
僕は悲しいのに、涙が出ない。
僕は、“人間じゃないから”涙が出ないと博士が言っていた。
人間は悲しい時、涙を流すらしい。
僕にはできない事だけど、博士の死を僕は悲しんだんだよ。
博士はね、時々1人で泣いている時があるんだ。
それを見た僕が、博士にこう言うと、、、?
『どうして泣いてるの博士? 何か悲しい事でもあるの?』
『いやいや? そうじゃないんだ! ただ目にゴミが入っただけだよ。』
『悲しんで泣いている訳じゃないんだね!』
『そうだよ、シック。』
『よかった! 博士が悲しい思いをしていなくて。』
『・・・シック、お前はワシの事を想ってそんな風に考えてくれてたのか?』
『うん!』
『汚れないき心の子よ。』
『・・・うーん?』
『お前のような純真な子は、外に行ってはならぬ!』
『・・・急に、博士どうしちゃったの?』
『さあ~ワシの所においで、シック!』
『・・・うん。』
博士の目にゴミが入っていたのかな?
目から水を流しながら、僕をギュッと抱きしめてくれた。
僕は、博士と一緒に居た時間を思い出す。
僕と博士は、まるで“父親と息子”のような関係だった。
血は繋がっていなくても、決して僕がロボットでも。
気持ちは通じ合っていた。
そんな博士が、急に亡くなって。
僕は、1人どうしていいのか? 分からなくなっていた。
博士が居たら? どんな事があっても外の世界へは行くなと言うけど。
もう、博士は居ない!
僕は、外の世界に出る事にした。
外の世界では、僕のようなロボットもいっぱいいたよ。
でも? どの子も、人間の召使いのように扱き使われていた。
人間は、僕たちロボットをただのロボットとして見ている。
感情があるロボットだって! いるに違いないのに、、、。
人間は、そこまでロボットに興味がないんだ。
僕は、1人の人間に捕まりそうになったけど、、、?
必死で逃げたよ。逃げた先で、僕は一人の少女に出会ったんだ。
女の子は、僕に話しかけてきた。
『・・・ねえ、ロボットさん? あなたは何処から来たの?』
『僕はロボットだけど? 名前があるんだよ! 僕の名前はシック!
君の名前はなんだい?』
『・・・えぇ!? あなたは感情を持っているロボットなの?』
『そうだよ! 僕は博士と一緒にいたんだけど? 博士が突然亡くなって
ひとりぼっちになっちゃったんだ。』
『・・・もしね、シックが良ければ、ウチに来ない?』
『・・・えぇ!? いいの?』
『もちろんよ!』
『うん!』
僕は、女の子の家で面倒をみてもらう事になった。
女の子の家は、物凄く貧しくて...。
食べる物もやっとの生活だったんだけど、、、?
女の子のお父さんやお母さんは明るい人で、子供も女の子を入れて
5人もいたんだ! 6畳半の部屋に7人で生活しているんだよ。
そこに、僕をロボットとしてではなく、人間の子供として接して
くれているんだ。
貧しいけど、貧しさを全く感じないぐらい明るい家族でね。
僕も、新しい家族から毎日元気をもらっているんだよ。
僕は、外の世界に出て良かったと思っているんだ。
博士が亡くなった事は悲しいけど、、、。
新しい僕の家族ができたからね。
今は、とっても幸せなんだ。
ずっと、この家族と一緒に居れますように、、、。
そう願っているんだよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。