009 人
◇
大阪鳥は握ったまま手榴弾を俺の額に軽く当てた。
「このファイア要るか?」
何だこの展開。
北海道。
試される大地。
後で合流した大阪鳥。
脳検索ヒット。
これテストだ。
仮説が降りて来た。
大阪鳥は俺を試している。
こいつは多分まだ仲間じゃない。
お互い見極め期間か。
今は明らかに見下されている。
鳥人間から見たら猿人間が下位互換に見えるのか。
手榴弾か。
「何個有る?」
俺は探り合いをはじめる。
「さんスリー」
大阪鳥が答える。
渡せるのは3個。
持っているのは6個かな?
熊戦で使わなかったのは何故だ?
そこは後にしよう。
「大阪猫。モヨコ。どう思う?」
俺は聞いた。
「貰ってもええと思うで」
「お兄さまが決めた方に賛成です」
「ありがとう。大阪鳥持っててくれるか」
「オーケードーキー。何でや。理由プリーズ」
大阪鳥が俺を試す。
確信が高まる。
「ありありのなしなし。なしなしのありありだ」
「ディテール詳しく」
「土側が隙を作る。空側が死角から手榴弾こっそり投下」
「岩ストーンでええやんけ。ワイはモヨコサイズ持てるで」
「岩ずっと持ち歩く?速度が死ぬ」
「イグザクトリー」
「岩その場で持てば読まれる。速度が死ぬ」
「ありありの猿モンキーかもな」
大阪鳥が俺の目を見て言った。
まだ舐められてるな。
誤爆リスクの鳥に集中させるのは黙ってて正解だったな。
「そろそろ交代でスリープしようや。大阪猫とモヨコが寝組な」
「何でや阪神。疲れてるやろ」
「ワイと猿モンキーでボーイズトークや。どや?」
「賛成。俺は気絶して寝てたし鳥バードは元気そうだ」
「もふもふの夜ですね。猫ちゃん一緒に寝ましょう」
「猫ちゃんはやめーや」
大阪猫がまんざらでも無さそうに笑う。
「スリーアワーでチェンジな」
「いつものやな。ええで阪神。悪いな。先に御布団頂くで」
「もふもふちゃんをだっこして寝ます。これは確定事項ですよ」
俺も笑うがスイッチは入れたまま。
鳥が外れるのは致命的だ。
そのままの意味で俯瞰視点は有能。
貴重すぎる戦力。
頭も回る。
地と空を使える奴だ。
情報も経験も道具も地組の比じゃない。
まだ色々持ってるな。
他の鳥パーティに会ったら去りかねない。
見切られたら飛んで行ってしまう。
俺が鳥パーティにいたとする。
猿パーティに会えば良さそうなら移る。
だからこそ。
策戦と作戦だ。
作と策には情報がいる。
だから今夜は情報戦だ。
「今夜はイートイット」
大阪鳥が燻製したての飴色の熊肉を見て笑う。
俺と似てるな。
今夜はノートバード。
紙とペン。
あってもバレるから今回は使えない。
脳で情報をノートバードするけど。
最強の武器。
紙とペン。
欲しいなあ。
鳥を明日確実に倒すには。
◇