005 本
◇
「ワイにもハウトゥー熊殺し」
大阪鳥がヒグマ肉を頬張りながら言った。
「プリーズ熊殺しエピソードワン」
大阪鳥がヒグマ肉を頬張りながら再度言った。
確かに。
エピソードツーの準備も必要だな。
「走った」
俺が言う。
「あの開始はずるいわ」
大阪猫が言う。
「上に跳んだ」
「それ見て俺は木を蹴ってこいつの3m上を飛んだんや」
「上段から斬ったら刀が折れた」
「飛んできた切っ先を俺に刺さる前に受け止めたんや」
「地面が見えた」
「熊上空通過。切っ先見せて熊と目が合う。怖かったで」
「熊が上にいるはず」
「熊後ろに着地。こっち見ないから切っ先熊背中に投げた」
「熊の喉の貫通狙いで刀でジャンプアッパー」
「熊背中のまま動かん。熊上空に再飛行や」
「血が見えた気がする」
「熊頭部の掴みを兼ねた爪で両目潰し。成功や。熊抵抗無し」
「誰の血かわからなかった」
「熊の頭蹴る。蹴ると跳ぶを混ぜて熊の前に跳んだんや」
「衝撃が走って暗くなった」
「空中で身体反転したら熊倒れてるやん」
「気を失った」
「地面に血が流れとった。片方両方どっち死んだか判別無理や」
「持てるサイズのでかい岩を持ってな」
「背中側から近づいて熊の頭に岩投げてぶつけて」
「熊動かんからガンガン岩で叩いたんや」
「10回くらいは叩いたかな。硬かったで」
「ようやく頭蓋骨割れて脳みそ見えたんや。」
「熊の脳ぐしゃぐしゃに叩いて3回。熊死亡確認完了や」
「ドグラマグラ太郎引っ張ったら生きてたわ」
「刀ぎゅっと握っててな。折れた刀に血がべっとりや」
「さすがお兄さま」
「パーフェクト妹脳センキュー」
夕食が終わった。
焚き火がパチパチと俺達を守る。
さて。
夜食の時間の始まりだ。
焚き火がパチパチと俺達を守る。
俺達は安心の中にいる。
作っている最中の燻製をちょびちょびつまむ。
荷物にあった保存食のチーズが出てくる。
チーズを串に刺して焚き火で炙る。
いい匂いがする。
ヒグマの直後からの話は大体終わった。
夜食のために残しておいた話がある。
あと二つ話が残っている。
ヒグマに会う前の話と。
これからの話だ。
◇