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004 十


俺は多分死んだ。


それだけは覚えている。


次に気がついたら大きく揺さぶられてた。


「ドグラマグラ太郎!ドグラマグラ太郎!ドグラマグラ太郎!」


女じゃない声。


うるさい。


ドグラマグラ太郎って誰?


俺か?


目を開ける。


猫がいる。


猫人間か。


かわいくはない。


ふてぶてしい。


嫌いではない。


恵体。


恵体が俺を掴んで揺さぶっている。


「ドグラマグラ太郎!」


俺が目を開けて嬉しそう。


何か全身が痛い。


ん?


何だこれ。


ヒグマ?


近くに死んでるヒグマがいる。


全長約3m。


500kgはあるかな。


車みたいな大きさ。


象かよ。


知らんけど。


どういう状況?


猫人間に掴まれている。


鳥人間とお兄さま女がいない。


合流できてないのか。


全身が痛い。


血で真っ赤だ。


俺の血かな。


ここは林?


森?


林と森の違いって何だ。


脳検索ヒット。


迷子になる可能性があるのが森。


じゃあここ森だな。


猫人間がいる。


じゃあここ異世界か。


俺の知ってる世界じゃないのな。


あー。


勝ったか。


俺生きてる。


この様子だと女も生きてるな。


すげー嬉しい。


夕方か。


頭がだんだん働き出してくる。


「ありがとな」


俺は猫人間にお礼を言った。


「ええんやで」


猫人間は答えた。


こいつ関西弁なのな。


「どういう状況?」


情報が足りない。


腹も足りてないみたいだ。


安心したら腹減って来た。


「奇跡が起きた。多分全員無事」


猫人間が答えた。


「ありがとう」


俺がまたお礼を言う。


「お前が起こした奇跡やないか」


「一人じゃ無理だった」


「お前がヒグマ殺したんやで」


「ヒグマの下敷きになったの助けてくれたのお前だろ」


「せやな」


「刀折れた後にヒグマの注意引きつけたのお前だろ」


「せやな」


「多対一の構造を作ったのは?」


「せやな」


「俺の嘘に乗っかったのは?」


「せやな」


「熊の下敷きになった俺を助けたのは?」


「せやな」


「ありがとう」


「ええんやで」


「どうやって合流する?」


「夜になる前に煙で合図やで」


「了解」


「ついでに料理作ろっか」


「有能」


「ヒグマ喰おうや」


「把握」


猫人間は手慣れた様子で火を起こした。


煙用。


食事用。


分けるのか。


煙用に草をかける。


煙が夕焼けに登る。


1時間くらいたった。


遠くからバサバサという羽音が聞こえた。


鳥人間とお兄さま女が帰ってきた。


これで全員合流だ。


ヒグマの焼き串を2人に渡す。


焚き火を囲む。


余った肉は燻製に回す。


色んな肉があった。


ある肉はモヨコが1人で喰うことになった。


モヨコというのは俺をお兄さまと呼ぶ女の名前だ。


猫の名前は大阪猫。


良いやつ。


恵体。


鳥の名前は大阪鳥。


うざい。


良いやつ。


関西弁。


偽悪的。


鳥人間を夕方から観察した。


1人なら秒で飛べてた。


あの状況で1分で役目を果たしたやつだ。


英語を適当に混ぜて煽ってくる。


すぐに軽口を叩き合う仲になる。


楽しいやつだ。


俺の名前はドグラマグラ太郎と聞いた。


夕食が始まった。


夕食の話題は今日のヒグマの話だった。


「ワイにもハウトゥー熊殺し」


大阪鳥がヒグマ肉を頬張りながら言った。


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