036 血
◇
「マママママミィ。生き返ったの?」
「どんな設定のお話を聞いたのよ」
「ママママミィとね」
「うん」
「モモモモモフィが死んじゃう話」
「ヒナは誰のお腹の上でお話聞いてたのかな」
「モフモフモフィ」
「息はしてる?」
「してる。フンスフンス。寝てる」
「夜にちゃんと寝るのは偉いことよ」
「そなのかぁ」
「ヒナは出来るかな」
「はぁい。パパ。おやすみのチュー」
ヒナは当たり前のように俺の首に噛みついた。
血を吸うヒナの背を撫でる。
血を吸われていると生きている事が実感できる。
飲み終わったようだ。
残念。
癖でトントンと肩のあたりの背を叩く。
「おやすみヒナ」
「おやすみパパ」
乾いていく大地。
豊かになり続ける神樹的な物。
本当は頂上まで登る予定だった。
真ん中にちょうど良い場所が有ったのが悪い。
そこに一家で住んでいる。
ヒナの額の突起物は筍ということになった。
モヨコが決めた。
授乳中の女は神々しいから反論の余地が無い。
モヨコは筍的な物を筍にする。
そういうの好きなんだと思う。
雑なカテゴライズ。
お兄様とか筍とか。
意図的だとしたら?
やめよう。
筍はそんなこと考えない。
安全な生活だ。
結構暇もある。
俺はヒナに聞かせる話をノートに書いている。
本当はステータス可視化しようと考えていた。
今はもういい。
ノートとペンはやっぱり役に立つなあ。
◇




