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035 兄


俺は筍。


それだけは覚えている。


気がついたら大きく揺さぶられてた。


「パパパパパピィ。パパパピィ」


可愛い声。


少しうるさい。


誰?


目を開ける。


小さい女がいる。


可愛い。


ただひたすらに可愛い。


筍。


白髪ロングのポニーテール。


白い肌。


赤い目。


八重歯。


全部好き。


俺を掴んで揺さぶっている。


「パパパパパピィ」


俺が目を開けて嬉しそう。


「続き聞かせて」


ああ。


話の途中で寝てしまったのか。


まだ夜か。


頭がぼんやりしている。


「それでママはどうなったの?」


「ヒナを産んで何日か後に死んじゃった」


「死んじゃったのかぁ」


「死んじゃったんだよ」


「もふもふちゃんはどうなったの?」


「でかいワニに喰われて死んじゃった」


「死んじゃったのかぁ」


「死んじゃったんだよ」


「鳥さんは」


「川の底近くで死んじゃってた」


「死んじゃったのかぁ」


「死んじゃったんだよ」


「パパも死ぬの?」


「死なない」


「すごい。なんで」


「パパだから」


「そっかぁ。パーパパパすごいね。ヒナは?」


「ヒナも死なない」


「そっかぁ。ヒナもすごいね」


少し遠くからがさがさと音がした。


右。


100メートル。


50メートル。


だんだん近づいてくる。


視認できる範囲に。


俺の知っている生き物がいた。


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