032 棋
◇
爆弾が爆発した。
それだけは覚えている。
次に気がついたら大きく揺さぶられてた。
「お兄さま!お兄さま!お兄さま!」
可愛い声。
既視感がある。
槍が折れてる。
せっかく作ったのにな。
ヒグマらしき肉片が木端微塵になっている。
今回の熊死亡確認は激しいな。
「起きましたか。お兄さま」
モヨコがいる。
大阪猫もいる。
無事だったんだ。
良かった良かった。
「ドグラはマグラ寸前やったで」
どういう事だ?
「説明してくれるか」
「時間が無いで。大地震忘れたか。まず竹林行こ」
手榴弾を追加で首の竹紐に装備する。
あれ。
手榴弾3つ全部使ってある。
ヒグマの今回の死亡確認の激しさはそういう事か。
槍の先端側半分だけを持っていく。
何故か槍にヒグマの血がついていない。
ヒグマに刺さる予定だったのに。
上手くいかないもんだな。
折れた断面がギザギザしているので短剣で平らにする。
長さ約1m。
剣の長さだ。
悪くない。
竹林に走る。
走りながら余分なワニの歯を抜いて捨てて行く。
竹林に到着した。
持ち手部分が両手で持てる感じに仕上がった。
この武器を何と呼べばいいんだろう。
とりあえず刀的な物でいいか。
◇
竹林に到着してまたでかい地震が来た。
地鳴りが凄い。
これ最大級だ。
地球割れるのかな。
◇
地震が落ち着いた。
すぐ大阪猫が高い木に登っていく。
その間に出来る事を探す。
そうだ。
竹をどんどん切っていく。
津波による海面上昇対策。
要は浮き輪だ。
刀的な物が大活躍して俺は気分が良い。
筏まで組めればいいが短時間で作れる筏案が閃かない。
火山の噴火で高温煙系が来たら詰むな。
大阪猫の力を借りて高所に上がるか。
噴石なら竹林より森の方が安全か。
大阪猫が戻ってきた。
「津波は無い。噴火は有るかも」
「もふもふちゃん。どういう事ですか」
「神樹や。正邪の森かもしれん。こっからでも見えるで」
大阪猫が右手を上げる。
「やばいで。あっちや」
大阪猫の指し示した先に変な物が有った。
さっきまで無かった筈なんだけど。
ジャックと豆の木かな。
雲を余裕で貫いている。
茶色と緑色の巨大な木的な物が有った。
巨大過ぎて距離感が掴めない。
これ登ったのかよ。
ジャックすげえ。
◇




