030 圏
◇
でかい地震で目が覚めた。
なんだこの揺れ。
この世の終わりが来たのか?
余震か?
本震が来ない。
震源地が遠くないようだ。
朝か昼かわからない。
川にいると水流がどう変化するか読めない。
一端最低限の荷物だけ持って川から離れる事にする。
津波も来るか?
ここ海上何メートルだ?
とりあえず昨日と同じ隊列で川上へと走る。
目指すは竹林だ。
切れば掴まれる浮きになる。
堤防用にも使われるくらいだから根は上部な筈。
温泉が有ったから活火山が有ると見る。
噴火なら川上は死ぬが溶岩の流れ次第か。
5分後また大きいのが来る。
地面がグラグラ揺れる。
何だこれ。
竹林に急ぐ。
松明が持ってきて無いのは痛い。
こんな時に限って。
川に水を飲みに来たであろうヒグマと遭遇した。
◇
ヒグマとの距離は20m。
左手に槍を構え手榴弾のピンを抜く。
十。
ヒグマってこんなんだったっけ。
九。
「投げる。後は相手次第」
八。
槍の先端にヒグマの視線を集める。
七。
外した手榴弾を猫とモヨコの視界に入れる。
六。
頃合いか。
「五」
手榴弾をヒグマ手前約5mに投げる。
「四」
ヒグマがきょとんとしている。
「三」
ヒグマが投げられた物を確かめようと手榴弾に近づく。
「二。全員伏せて頭を守れ」
伏せる。
遮蔽物が間に合わない。
猫の後ろに転がる。
爆音。
沢山何が近くを通り過ぎて2秒。
槍を構えヒグマを見る。
そこに下顎の無いヒグマが立っていた。
◇




