026 燈
◇
翌朝三人で武器庫に行く事になった。
大阪猫が作ってくれた松明を量産する。
これは簡単だった。
先頭が大阪猫。
松明係がモヨコ。
荷物係が俺。
松明は熊対策。
川を登って竹林迄行く。
途中の神居古潭に直接行く案を検討した。
結果は有り有りの無し無し。
無し無しの有り有り。
まずは竹林近くの高い木に大阪猫が登る。
そして武器庫への到達可能か判断する事になった。
歩いて30分。
竹林に到着する。
大阪猫は近くの高い木々に登り始めた。
高さ垂直約3mずつ木を蹴りながら駆け上る。
忍者かよ。
すげえ。
種族の差は歴然だ。
努力より道具で補うのが現実的だと考えてしまう。
数分後大阪猫が駆け下りてきた。
「武器庫らしいもん有ったで。建物灰色?」
「灰色ですよ。もふもふちゃん。行けそう?」
「徒歩2時間かなあ。草原?森?どの道で行く?」
「森で行こう」
「なんでや太郎」
「地面からは未だ建物が視認できない」
「森なら何時でも方位が確認出来ると。了解や」
「了解です。お兄さま」
「ついでに神居古潭の神樹も川上に見えたで」
「神居古潭迄はどれくらいかかりそうなんだ」
「神樹は遠いで。今日は無理や。数日は歩くで」
「武器庫寄って筍取って温泉戻る案に賛成です」
「了解や。一個一個確実に行こうか」
まずは竹林でしばらく休憩する事にした。
使用済の松明用の竹を立て掛けて熊除けにする。
筍は沢山有った。
夕方戻ってきた時には既に伸びているんだろうか。
どうでも良い事を考えてしまう。
その頃には別の筍が生えているだろう。
新しい松明用の長竹を補充する。
未使用の汎用長竹約2mを5本ずつ竹紐で括る。
片手に5本ずつ合計10本を俺が持つ。
中は空洞なのにかなり重い。
熊手袋が有って良かった。
竹紐が掌に食い込む感触がする。
持ち切れるギリギリまで主に俺が運ぶ。
大阪猫とモヨコは野生動物の警戒班の為荷物は少ない。
きっかけは無限アイテムボックスだ。
◇
「この世界には無限アイテムボックスってあるのか」
「有り有りの無し無し。無し無しの有り有りやで」
「またそれか」
「簡単な話や。無限に筋肉鍛えたら無限に運べるで」
「お兄さまが拳だけでヒグマを倒す話をしてます?」
「鍛錬の果てに可能性はあるらしいで」
「そこにいくのですか」
「遠過ぎやろ。辿り着く前に死ぬわ」
「では何の話ですか」
「竹で熊を殺すのは難しいけど可能やで」
「本当ですか」
「ほんまや。竹で熊を逃走させるのはもっと簡単やで」
「さすが私のもふもふちゃん」
「その為の松明や。火を持つ獲物と火を持たない獲物」
「襲うなら火を持たない獲物ですね」
「そやろ。とりあえずこれで熊対策としよか」
◇
休憩を挟んで挟んで昼頃に武器庫に着いた。
入り口が鉄の扉に閉ざされている。
「どうやって入ったんや」
「屋上に入り口が有ったんです」
「ここ3階建かなあ。外に階段も出っ張りも無いな」
「登るのは厳しいか」
「鉄の扉を壊しますか?」
「どうやって壊すんや?」
「丸太を槌にして城門を壊す感じは如何でしょう」
「ええんちゃう。試そか」
倒木で良いのが無かった。
適当な太さの木を切る。
切れない。
全然切れない。
これ一日中かかるぞ。
「鋸無いと厳しいなあ。手榴弾使っちゃう?」
「もふもふちゃん正気?鉄の扉に手榴弾?」
「下手したら武器庫の手榴弾まで誘爆するぞ」
「ちゃうちゃう。木の幹に」
「もったいないよう気がするが合理的かもな」
「破壊力次第ではそもそも槌になりませんよ」
「破壊の大小を問わん木に使えばええやん」
「そんな都合の良い木。・・・。有りましたね」
◇
結果的に手榴弾3発を使った。
ようやく手頃な丸太の槌を手に入った。
丸太の槌を3人で持ち上げて叩く事約30回。
ようやく片側の鉄扉の破壊に成功し内部に入れた。
武器庫の中は正確には弾薬庫らしい。
色々なサイズの銃弾と手榴弾が有った。
銃が無かったのは残念だが収穫は大きかった。
色々実験して手榴弾が大体わかった。
これ駄目な奴だ。
◇




