024 緒
◇
「昼やけどおはようでええんかな。ドグラマグラ太郎」
「昼だけどおはようでいいよ。大阪猫」
「罪深くてええ匂いや。何でワニ焼いとんのん?」
「ちょうど100日目のワニがいましたのよ」
「何やそれ。誰が殺ったん」
「お兄さまが。見事な一刀両断でワニを真っ二つ」
「このワニ小型やん。威張れる大きさかなあ」
「ワニの下の石は切れず。見事な半刀も真っ二つ」
「最悪やん。朝から最悪な目覚めやな」
「・・・」
「おいドグラ。何か言えや」
「石って凄いよなぁ」
「確かに。ドグラの主な武器は当分投石で行こか」
「悪くない。石は強い。硬い。調達しやすい。遠距離で安全」
「万能やんけ。ドグラは遠距離攻撃な。俺が前衛やるわ」
「刀要る?」
「要らんわ。鞘に刀差しとけば脅しにはなるやろ」
「わかった」
「近距離攻撃力ゼロは死ぬからな。俺は握るの苦手やねん」
「わかった」
「お兄さま。刀が折れる迄は格好良かったですよ」
「わかった」
「太郎モヨコも寝たほうがええな。判断も会話もおかしいで」
「わかった」
「ノートとペンは俺は要らん。手榴弾はドグラ。ええか?」
「わかった」
「ノートとペンはモヨコは使えるか?」
「私がノート1冊とペン1本。お兄さまは残りのノートとペン」
「宝石っぽいのは?」
「お兄さまは却下。間違えて投げそう」
「大きさ的にそんな事有るかなあ」
「もふもふちゃんか私が良いと思います。半分こします?」
「ジャラジャラで不意打ち失敗するわ。モヨコ持っとき」
「ではもふもふちゃんは何を欲しますか?」
「肉と魚。ワニもええかな」
「わかった」
「お兄さまはもう寝てくださいね」
「わかった。寝る」
「私も寝ます。お休みなさい。私のもふもふちゃん」
「お休み。ワニが不味くても美味くても半分こな」
「ありがとう。私のもふもふちゃん」
「お休み」
「お休みなさい」
熊皮にモヨコと二人で包まれながら俺は考えた。
ペンとノートを手に入れた。
これであの呪文が使える。
あれ呪文かなあ。
まあいいや。
起きたら試せばいい。
何を基準にするか。
それが問題だ。
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