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022 乙


あの鳥が仕掛けた罠は最後まで出て来なかった。


「寝る前になあ。状況と情報を整理しておきたいんやけど」


「あの手榴弾はヒグマから避難している時に見つけました」


「大阪鳥の件は悪かった。殺すか折るかの二択で失敗した」


「手榴弾が有った場所は川上方向。神居古潭に逆戻りです」


「大阪鳥生きてるで。上空からの遠距離攻撃で皆殺しやな」


「手榴弾どれくらい残ってたん?大体の数でええんやけど」


「色々持ちきれないくらい。鳥さんが飛べる量はこれ迄と」


「武器は他に何が有った?刀は有ったか?金属は?銃は?」


「自宅なら揃っていますよ。義理の両親は森の冒険者です」


「森って何や。網走では聞かん名やけど。何やのんそれは」


「神居古潭の生きてる森です。正邪の森。その中心の神樹」


「話が広がり過ぎだ。ここに留まるか手榴弾追加か川下か」


「石狩川をこっから登るか。こっから下るか。どうする?」


「神居古潭は危険です。私とお兄さまは今ごろ賞金首です」


「首に縫合痕がある人間は珍しいか。神居古潭では普通か」


「普通って何やねん。生き残れるのは基本的に異常者やで」


「我が家では普通ですよお兄さま。両親が斬る係と縫う係」


「賞金首の理由は私が両親をこの刀で斬り殺したからです」


「大事な事は私の熊ちゃんをどこで産むか育てるかですよ」


「お兄さま。二人目の女も三人目の女も私は構いませんよ」


「どうしました?お兄さまともふもふちゃん。あっそうだ」


「お兄さまが記憶を部分的に無くした理由。私知ってます」


「私が致死量の薬を盛ったからです。記憶無いの羨ましい」


「知識と記憶の違いがわかりますかお兄さま。私忘れたい」


「・・・」


「・・・」


「寝るわ」


「お休み」


「モヨコ温泉に入ろうか」


「はい。良い温泉ですね」


「温泉入るとな。モヨコ。色々どうでも良くなるぞ」


「何か有っても全て温泉のせいに出来るそうですよ」


「いい湯だなあ」


「いい湯ですね」


大阪猫が起きてくる迄少なくともあと3時間。


とりあえず今の俺は温泉に依存する。


後の事は後の俺が何とかしてくれる。


俺は俺に全部を丸投げした。


飛距離が3時間くらい有るといいな。


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