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019 草


「ド・グ・ラ・は・やりすぎ〜」


「おにいさま〜が大・正・義〜」


「ド・グ・ラ・が・さ〜がせ〜」


「全部鳥〜が悪いのです〜あ〜」


2人ともたまらないのである。


実は俺もたまらないのである。


川に流された鳥を探して30分。


熱すぎる温泉を見つけて3時間。


ようやく川の水と源泉の湯のベストマッチが完成した。


温泉は最高である。


硫黄臭い。


卵の腐った臭いがする。


それがまた最高なのである。


焚き火係と食事係と温泉係。


完璧な役割分担がモヨコの『おいでおいで』で無事終了。


温泉に入りながら焚き火を見つめる。


鳥なんて本当にどうでもいい。


今は温泉が全てだ。


最優先だ。


疲れが本当に溶けていく。


あ〜。


全てがどうでもいい。


今日はここで一泊しよう。


モヨコの目を見る。


目が合う。


絶対伝わった。


大阪猫の目を見る。


目が合う。


絶対伝わった。


あ〜。


のぼせて来たら川に入る。


あ〜。


身体の表面が冷えて来たらまた温泉に入る。


あ〜。


最高かよ。


ここに住みてえ。


もうこれ何が伝わったかわかんねえな。


「俺の出汁が全部出たわ」


大阪猫が焚き火の近くに寝転ぶ。


「もふもふ〜ちゃんは〜毛皮で〜温泉に〜あ〜」


最後まで言うのが面倒になったらしい。


わかる。


超わかる。


移動しながら刀を手元に置く事しか出来ない。


俺のスイッチが完全に死んでる。


焚き火が熊よけ外敵避けになりますように。


モヨコがたまらない声を上げる。


俺は川と温泉を行き来する簡単なお仕事を繰り返す。


気がついたら焚き火のそばで全裸で寝てた。


大阪猫が熊の毛皮をかけてくれたようだ。


モヨコは?


モヨコは温泉で温泉をやっていた。


休憩したのかな。


辺りはすっかり暗くなっていた。


北海道はもう夜である。


俺はまた温泉をするか食事の準備をするか迷う。


大阪猫が焚き火の近くで熊肉料理を準備している。


起きたばかりの俺を観察している。


そういえば朝から何も食べてないなあ。


熊皮を脱ぎ刀を持ちふらふらと歩く。


そして刀をぽとりと置いて温泉に倒れこむ。


ごめん大阪猫。


温泉は人を駄目にするんだ。


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