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013 猿


目を開けると横にモヨコがいた。


「おはようございます。お兄さま」


熊皮の内側の中で2人きり。


モヨコが竹の中に折れた刀を入れた即製の槍?を見せる。


竹が切れるから何回も薙げない。


突きは行けるか。


刃が短くないか?


15cm?


伸びるギミックでもあるのか。


ぼんやりとした頭で考える。


「私。切っ先の使い道。考えました」


モヨコが言う。


「一緒に死にますか?お兄さま」


モヨコが笑う。


やっぱりヤンデレか。


知ってた。


綺麗な顔をしている。


手入れをしている様子は無かった。


遺伝子操作人間系か。


俺もかな。


人間って進化するとこうなるのかな。


俺の刀はどこだろう。


大阪猫が使っているのかな。


随分寝た気がする。


いつ間にか横に寝かされている事に気づく。


猫の仕業か。


俺が寝転んだのかな。


モヨコが鳥と交代して大阪チームが警戒班か。


ああ返事しないと。


返事をミスったら死ぬ。


死ぬ方法と死ぬ場所。


誰と死ぬかを選べる事は悪くない。


これは本音だが今言うのは確定的に愚か。


「今は死ねない」


「其れは何故ですかお兄さま」


「遺り残した事がある」


「其れは何ですかお兄さま」


モヨコがもう片方の手からも刃を揺らして笑う。


短刀2本。


折ったのか。


切り口を確認する。


用途が被るが悪くはない。


確かに長いままでも50cm同士で被るか。


モヨコの補強か。


誰の入れ知恵だ?


これだけ視界が見えるならもう朝か。


9時間寝ていたのかもしれない。


どういう組み合わせで警備が組まれた?


何故俺は眠りを許された?


鳥はまだいるのか?


モヨコと一緒に最後を迎えるより幸せな事って何だろう。


なんだかわからなくなる。


「答えてくださいお兄さま」


二つの刃がお互いの喉に近づく。


モヨコの首に真一文字に縫合痕らしきものが見えた。


縫合痕が一周してる?


頭と身体が別の生き物?


一度切り離されてる?


強烈な本能的嫌悪感が目の前の生き物を拒絶する。


生理的に無理ってこう言うことか。


本能が拒絶する。


認識が目の前にいる女をバケモノにする。


同時に嫌な予感。


俺は自分の首筋を右手で触って確かめる。


9時から12時を超えて6時の方向まで自分の首をなぞる。


ああ。


一周しなくてもわかる。


ここにもう一匹バケモノがいる。


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