011 月
◇
竹を火の近くに運びながらテストを繰り返す。
「ステータス」
小声で唱える。
何も起きない。
何も起きないかあ。
乱暴に放りたい気持ちを抑えて静かに竹を積む。
睡眠は大事だ。
猫と妹に静かな時間を。
竹林に戻る。
「アイテムボックス」
小声で唱える。
何も起きない。
何も起きないかあ。
あー。
竹を持つ。
5mくらいなら1本持てるか。
もう少し細ければ武器になるかな?
バランスをとりながら竹を見つめる。
「鑑定」
小声で唱える。
脳が検索ヒットする。
『竹。軽い。長いと重い。万能素材。筍。食器。水筒。竹槍』
脳に聞いたんじゃ無いけど.
まあいいか。
追加ヒットが来た。
『竹刀』
それもう思考側でたどり着いたから大丈夫。
はぁー。
まずは鳥戦だ。
検索ヒット。
『大量敵性知性熊』
あー。
『包囲網リスク』
あー。
そんなにヒットされても。
とりあえず両方詰んでるよね?
『各状況のトリアージ策の確立が最優先』
あー。
各戦を用意しつつ無戦ルートなら明日の鳥戦か。
鑑定使えるなあ。
脳検索になってしまうけど。
検索ヒット。
『皮膚の内側がシンプルにして最強』
わかったよ。
でも竹と火は使うんだ。
作戦と覚悟は思考側に任せてくれて大丈夫。
いい作戦があるんだ。
◇