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001 罠
俺は死んだ。
それだけは覚えている。
次に気がついたら大きく揺さぶられてた。
「お兄さま!お兄さま!お兄さま!」
可愛い声。
でもうるさい。
誰?
目を開ける。
女がいる。
可愛い。
美人。
両立するんだな。
黒髪ロング。
白い肌。
好き。
俺を掴んで揺さぶっている。
「お兄さま!」
俺が目を開けて嬉しそう。
何か頭が痛い。
ん?
何だこいつら。
鳥人間?
翼と嘴がある人っぽいやつがいる。
人間くらいの大きさ。
猫人間?
二足で立つ猫っぽい奴もいる。
こいつも人間くらいの大きさ。
どういう状況?
お兄さま女に掴まれている。
鳥人間と猫人間が少し離れて俺を見ている。
頭が痛い。
ここは林?
森?
木がたくさんある。
昼か。
頭がだんだん働き出してくる。
少し遠くからがさがさと音がした。
左。
100メートルか。
50メートルか。
よくわからん。
視認できる範囲に。
四足歩行の馬鹿でかいヒグマがいた。
死。
死がいる。
死がこっちを見ている。
脳のアラームが爆音を上げた。