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【餓鬼道】 【狂気】~【済度】
【済度】
仏・菩薩が、迷い苦しんでいる人間をすくって(=済)、悟りの彼岸にわたす(=度)こと。転じて、苦しみや困難から救うこと。
【狂気】
独り残される悲しみは
心をただただ喰いつくす
耐えることは敵わず
心は救いを求めた
悲しみから逃げ出した
故に心は狂気に満たされる
狂気とは忘却、忘却は救い
耐えることも敵わぬ悲しみは
狂気がもたらす忘却だけが救えるのだから
皆殺されて、皆殺した。
もう判らなくなるほど死を見て来たというのに。
心は未だに悲鳴を上げ続ける。
俺は存在して良いのか?
こんなにも死を撒き散らし続ける俺は。
……俺は、誰かの贄となろう。
犠牲となる誰かの代わりとなろう。
自分を贄としている刹那だけは、
そこに存在理由がある気がするから。
【済度】
なのに、それは違うと言う人がいる。
お前はここにいて良いのだと言う人がいる。
その人たちは否定する。
違う。そうではないと。
済度とは、救われるとはどういうことなのだろうか?
救われた。
俺は救われた。
なら俺は……どうすればそれを返せる?




