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第A-1話 強襲上陸! 目指せコミックマーケット!①

(この『A-n』という表記は後に始まる『くりーく!』本編第一章から一年前の冬休み、年末年始の鶴海一行がテーマの番外編を表しています。本編を無視してこのような番外編を設ける事になり申し訳無いですが、某アニメで言う『第0話』の様な扱いでお願いします……)


ある寒い冬の真夜中、鶴海一行は何故か太平洋上をひたすら船で移動し続けていた。


主犯格の目的はつい数時間前その存在を知ったばかりのコミックマーケットに参加する事であった。


元々これっぽっちもコミケに興味など無かったはずの鶴海が一体何故そのような事をすることになったのであろうか……?

「……おい起きろ! やっと見えたぞ!」


遠くに微かにある光る見て、鶴海が慌てて新槙と米原とかいういつも振り回される2人を起こそうとする。


「あれ……、もうこんな所まで……?」


先に目覚めたのは米原だった。あくびの大きさに比例するかの様に口を大きく開き息を吸い込んだ。


「思ったより早いね……。それよりよく誰にもバレずに済んだね……」


「早いのは当たり前! こちとら通常の三倍の馬力のエンジンを積んでるんだ!」


「三倍ね……。まるで某軍のまるまるさん専用機みたいだけど、お似合いだと思う……よ……」


「こらっー! 寝るな! 今からが大事何だぞ!」


「そうりゃそうでしょ……。こんなに振り回されて疲れてるし……」


唐突になってしまうが、ここで一旦時間を巻き戻してみようと思う……。とは言っても、つい数時間前の話なのだが。





――――――「なぁ、この『こみっくまーけっと』て言うのは何なんだ?」


三人はいつも通り鶴海邸に集結していた。今回の呼び出しのテーマは年越しについて。折角の年末年始なんだし、何か派手な事をかまそうと鶴海がワクワクしているのにまた付き添うと言った形だった。だが中々三人の間にはこれだ!というアイデアが出て来ず、いつの間にか議論は中断、各自が例の地下壕にてダラダラとそれぞれの時を過ごしていた。そんな中だった。鶴海自作のパソコンでネットサーフィンをしていた所、ふと見知らぬ単語が目に飛んできた……という形でここに至るのであった。


「あー知らなかったんだ…。単語自体は知ってるけど、私あんまそういうの興味ないしなぁ……」


冬休みの宿題をせっせとこなしていた新槙がペンを置き、ぐっと両手を上げてながらこう返事をした。


「あーコミケかぁ……、懐かしいなぁ……!」


「お? まさか行ったことあるのか!?」


新槙に続いたのは米原だった。だが彼女は二人とは違い何だか色々と知ってそうな雰囲気を醸し出していた。


「うん。ちょうど去年の夏にあるよ」


「どういうイベント何だ? それとこの人の群れがとんでもない事になっているこの画像は何だ!? 教えてくれぇ!」


どうやら鶴海はコミケに興味津々の様だ。これでもか言わんばかりに目を輝かせながらコミケ経験者だと言うの米原にどんどん詰め寄っていく。


「まぁまぁ、一旦落ち着いて……。ちゃんと説明するからさ」


詰め寄って来る鶴海の肩をそっと手で後ろへやり距離を置いた所で米原の説明会が開始される。


「「はい、よろしくお願いします! 先生!」」


張り切りながら米原の前で正座したのは鶴海だけでは無く、新槙もであった……。


「うーんとねあのイベントはね……」、


読者の皆様にとってはもうとっくに分かりきっている事だと思いますので、ここでの米原の説明はカットさせて頂きます。ご了承ください。





「……それでそれで、次のコミケは一体いつあるんだ!?」


「明日からだよ」


「……いつからあるんだ?」


「……明日」


「……いつ……から……?」


「あ、あした……です……けど……」


「…………」


「何か移動手段とかはあり……そうか……?」


「確か大垣から夜行列車が出てるんだけど、経験上もう満席になってる時期だと思うし、夜行バスも厳しいかも……」


「そ……、そんなぁ……」


先程まで背筋をシャキッと伸ばしていた鶴海だったがここで一気に崩れ落ちてしまった。


「それに鶴海ちゃん、今までアニメとか漫画とかライトノベルとか……、そういうの読んだ事あるっけ……?」


「いや、無いな……」


「じゃあせめて何か一作品だけでも……。あっそうだ!」


「ん、何か私におすすめの物でもあるのか?」


「この作品とかどう? 確かついこの前劇場版が上映されたばっかで、しかもかなり人気も出たからこの作品のを出すサークルさん多いかも……! ただ、ジャンルが合わないかもしれないけど……」


「なーに気にするな! 折角色々教えてくれたんだ。見るに決まってるだろ!」


「つ、鶴海ちゃん……!」


 米原は思わぬ所で意外な鶴海の優しさを見せつけられ、安堵するとと共に心なしか嬉しくなった。


 「それじゃあ私、えんば……、ブルーレイ借りてに行ってくるね!」


 良い意味で予想外の鶴海の反応に心を少しばかり躍らせた状態のまま、すぐさま鶴海にその作品を見せる手はずを整えるためにも、外出の準備を始めた。


 「なーに、そんな気遣い必要無いぞ! この父上特製『すーぱーすぺしゃるダイヤル』に繋げば、最寄りの〇オから取り寄せ可能だ!」


 「何それどこからツッコめば良いの⁉」


 もはやどこからどう攻めこめば良いのか分からぬ程ツッコミだらけの発言をかました。そこにいつものツッコミ役が食いつく訳だが、だが、もはやお手上げの様子だった。






 こうして鶴海の恐らく人生初の深夜アニメ(劇場版込み)のぶっ通し視聴が始まるに至るのであった。



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