12話:初めてのバリ旅行1
そして2005年となった。2005年は東南アジアへ行こうと考えたが暑い所や汚いところが苦手な和美さんは、もう一つ乗り気ではなかった。和美さんは、昨年から芸能人のショーを友人3人と
出かけるようになり、東京や有楽町の東京宝塚劇場に行くようになった。 旦那さんと行くより、気の知れた女子会の乗りの方が気軽だと話していたが信夫も喜ぶ和美さんを見ている方が良いので自由にさせていた。
毎週の平日、東京、横浜と出かけていた。信夫は、神田で古本を買っては小説を読んでいた。パソコンも興味を持ちだし勉強しはじめた。4月に旅行会社に行って相談してみると8月のバリ島が良いと言われた、というのはバリ島は赤道の反対側、南半球なので8月が冬になり、ベストシーズンだというのだ。そこで、豪華ホテルでゆっくりする5泊6日のタイ航空のパックツアーをすすめられて出かける決心をした。
やがて夏を迎え8月2日にタイ航空で成田を朝9時に飛び立ち6時間かけてタイ、バンコクを経由してバリのデンパサール空港へ。空港で出国手続きを終えてタクシーを待っている時、新一がトイレに行きたくなったので少し離れて戻ってきたとき、和美さんが遠くへ歩いて行く光景が見えたので、慌てて追いかけると、ポーターらしき2人で勝手に荷物を運んでるのをみて、英語で何やってるだと、大きな声をたてた。
慌てて、彼らが荷物を話した。その中の1人がチップ1万ルピー払えというので、頼んでいないから駄目だと言っても、聞かない、そこで、ポリスを呼んで、話すと、ポリスが仕事をしたんだから、1万ルピーか、または1米ドル払うべきだというので、1ドル紙幣がないので5ドルを2人に渡すと、ニコニコして頭を下げて去って行った。ホテルのバスが来たので乗って、インターコンチネンタルホテルについた。
さっきの話をすると、この所、ポーター詐欺が多く、5ドルで済んだから良いけれど、ひどい場合100ドル渡し、おつりがないからと言い逃げる連中も多いと教えられた。ポリスが来たと話すと、笑いながら、彼も多分、仲間だよと言った。5ドルで済んで良かったねと言う始末だった。
チェックインして部屋に入ったが、部屋は広いが古く決して1流ホテルという感じではなかった。長旅で疲れたのでシャワーを浴びて昼寝をして5時過ぎにフロントへ行き夕食の場所を聞いた。 数日前からスイス人のシェフが来て、スイスフェアーをしているから、チーズを中心とした美味しい料理を楽しんでくれと、パンフレットをくれた。朝食$10、昼食$20、夕食$30、飲み物、税、サービス料金別と書いてあった。$100クーポン「$120の料理」$500クーポン「$800の料理」、$1000クーポン「$1800の料理」と書いてあった。
そして、金額の分を切り取って支払う方式で無記名となっていた。税サービス組の値段であり、お得だった。そこで、あたりを見回して、金を持ってそうな日本人中年夫婦を探し、事情を話した。彼らは、朝8時過ぎで遅いようで、信夫は早いほうなので朝、8時、昼12時、夜7時に信夫夫婦が食事に出かけ、その30分後に彼らが来ると言うことで話がつき$1000クーポンを購入した。その後$500をもらった。
まず、スイス料理ではチーズがうまくブラートヴルスト「熱々のソーセージ」にマスタードとブランウンソースをかけ、付け合せにはフライドポテトやついていた。レシュテイという細切りジャガイモをカリカリ揚げたものもいける味だった。デザートのツーガー・キルシュトルテはサクランボと
サクランボの蒸留酒、キルシュをかけてあるので、少しほろ酔いになるが、くせにある味であった。