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日本語→英語→日本語 自動翻訳で綴るテンプレなろう小説  作者: フェフオウフコポォ


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4話:異世界の街へ(原文)

原文です。

 なし崩し的ではあるが護衛を引き受けてしまった。

 この世界に来て『永遠の17歳』という謎の多い年齢になってしまっているけれど、生前に居た日本ではそれなりに社会経験も積んでいたし人とも関わりはあったから、それなりに人を見る目は養っていたと思う。自分の目を信じれば、この人たちは悪い人達とは思えない。


 感覚的な物以外の理由もいくつかあるが、一番確実なのは『鑑定』して職業を見たことだろうか。

 一番初めに馬車から出てきたお嬢さんはケイティさんという方で、職業はプリースト。

 執事らしき人はクリスさんという方で職業がカストロ家執事。

 そしてお嬢様のような人はロレッタ・カストロという方で、職業は貴族令嬢。


 『貴族令嬢って職業なんだ』と思ってしまったけれど、立場を考えればなんとなく納得もできてしまう。年も13際くらいの少女だというのに多くの苦労をしていそうだ。

 ちなみに馭者さんとメイドさんはそのまんまだった。


 自分のことは『旅の者です』と誤魔化したのだが、戦力として認められているせいか、それ以上の追及はされなかった。

 相手の立場に立って考えてみれば身元が不確かであっても最低限の礼儀は持っているし、なにかと追求して逃げ出されるよりも戦力として確保しておく方が安心できるという事もあったのだろう。


 ただ執事さんはそれでも心配そうだったので少し信用度を上げておこうと、襲われていた馬車を鑑定した時に『翼竜寄せの香』というステータスが加算されていた情報を、それとなく伝えてみた。

 すると、すぐに顔を顰めて馬車に備え付けられている『魔物除けの香』も見せられ、その中に複数本の『翼竜寄せの香』が偽装され紛れ込んでいることも確認した。


 この世界では移動中の魔物寄せは暗殺の常套手段でもあるらしく、身分のある人が使用する『魔物除けの香』はしっかり管理されていたはずなのに紛れ込んでいたことから、今回の件を企んだ人物に心当たりがあるようで、そちらの推理に神経を向けたようだった。


 執事さんの反応から『鑑定』ができることは珍しいようなことが分かった。

 少し迂闊な真似をしてしまったけれど、逆に信用を得る結果となり、執事さんも秘匿してくれるような様子でそっと目を伏せてくれていた。


 なんとも御家騒動に巻き込まれそうな気もするので、馬車の中に誘われたのを警護を理由に断っておく。

 なんせ外に出ていないと花子が探しに戻って来てもわからないし。うん。


「それにしてもスゴイ魔法ですね! 太郎さんの魔法! 翼竜を一撃だなんて初めて見ました!」

「あ。はぁ……あのケイティさん。ちょっと近いです。」

「す、すみません! やだ。私ったら。」


 顔を赤らめながら、ほんの少しだけ離れるケイティさん。

 シスターのような恰好なのだけれど、なんというかスリットが結構深くまで入っていて、ストッキングのような物を履いた足がちらちらと見えるのが煽情的だ。

 ただプリーストに対してそういった感情を抱くのは、なんとなく罰当たりなように思えるので、すぐに社会人の仮面で劣情を封印する。


 ケイティさんの反応を見るに翼竜を一撃で倒す魔法というのはそうそう無いらしい。

 ケイティさんのスキルに『聖魔法』という物があったから同じ魔法使いとして魔法の威力に対して興味を持たれているのだろう。


 すみません。あれは魔法じゃなくて腕力なんです。筋力なんです。

 拾った石でも変わらないんです。すみません。


 なんとなく期待を裏切っているような気持ちから申し訳なくなる。


「太郎さんは、その、いつもお一人で旅をされているのですか?」

「あ……はい。

 あ、でも一人ではないですね。もう一人……というかもう一匹がいます。」

「え!? ……そ、そうですか……ち、ちなみにその、もう一匹というのは……男の方ですか? それとも……」


「あ、ハナはメスですよ。かわいいヤツで。」

「そ……うですか……ハンナさんという方ですか……可愛いのですね……」


 落ち込んだことが分かりやすいケイティさん。

 もしかしなくても犬嫌いだろうか? いや、ハナと言った名前だけで犬だとは分からないだろう。

 それにこの世界に犬はいるのだろうか?


 そんなことを考えているとケイティさんの表情が復活した。


「あ、でも! 今はお姿が見えないようですし! あ、時々ご一緒される方ということなのでしょうか!」

「あ~……今は……なんといいますか、その。追いかけっこをしたら置いて行かれたと言いますか……追いつけなかったと言いますか……」


「追いかけっこ……ですか? その、か、変わった方なんですね。」

「はぁ、まぁユニークな存在であることは確かです。」


「ユニーク……二つとして同じものはないという意味ですよね……も、もしかして、た、大切な方ですか?」

「あ、そりゃあもう! ハナがいなかったら生きていけない自信があります!」

「そ、そうですか……」


 また落ち込んだ様子に変わり、少しフラフラとし始めるケイティ。


「あの、ケイティさん、大丈夫ですか?」

「わ、私、ちょっと馬車に戻ってますね。少し歩き疲れたみたいで……スミマセン。」

「あ、はい。警護は任せてください。どうぞお大事に。」


 その後、何度か『翼竜寄せの香』の影響が残っていたのか翼竜が襲ってきたので氷塊の投擲で退治していたら、いつの間にかスキルに『飛翔』と『咆哮』が増えていた。

 果たして羽もないのに飛べるのだろうかと悩んだけれど護衛任務が終わって気が向いた時にでも試すことにした。


 そして花子はまだ戻ってこない。



 ――結局その日は移動だけに費やし徹夜明けという事もあって夜の番もせずに眠る。もちろん異常が起きたらすぐに起こしてくれるようには伝えてあったけれど、夜に翼竜が出ることはなくゴーストなんかが多いようでケイティさんの独擅場だったようだ。

 夜が明けて起こされると、パンや干し肉のスープといった食事が振る舞われた。大幅に人数が減ったせいだろうか沢山の量が振る舞われていた。

 それを齧っていると、夜の番明けで少し眠そうだったケイティさんの声が響く。


「もの凄い勢いで何かが来ます! なんだか危ないかもしれません! 太郎さん! お願いします!」


 すぐに食事を止めて氷塊を作り握る。そしてケイティさんの視線の先に対して構え様子を探る。


「あ。」


 視線の先にあったのは見慣れた姿だった。


「ご主人ー! ごめんなさーい!」

「ハナ……」


 点の大きさだったはずなのに、あっという間に通常サイズになる花子。

 そして勢いのまま飛びついてくる花子。


 だが、ハナよ。


 ひょっとしなくてもお前、自分のステータスを忘れているだろう。


 抱き止めると同時に花子の勢いにより、吹き飛場されるようにゴロゴロと回転する。きっと30回転はした。


 結構痛い。


「……す、ステータスオープン」


--*--*--


名前:佐藤 太郎

年齢:永遠の17歳

職業:スコッパー


レベル:2


生命力:712/1450

魔力:1650/1650

持久力:330

筋力:330

体力:330

技量:330

精神力:330

運…神の加護

スキル:言語理解、鑑定、偽装 、ストレージ、ラーニング

悪食、威圧、突撃、氷魔法、恐怖、飛翔、咆哮。


--*--*--


「おぉう……半減……」

「あぁあああ! ごめんなさいご主人様ぁ!!」


 ベロベロと顔を舐められる。

 花子なりの謝罪なのだろう。


「あぁ、よしよし。大丈夫。大丈夫だから。生命力半分以下になったけれども。」

「ごめんなさぁいご主人様ー!!」

「おぉよしよし。よく戻ってきたね。」


 人間だったら大泣きしていそうな花子を撫でる。

 両手でわしわしと撫で続けていると、花子も落ち着いてきたらしい。


「まさか自分でもあそこまで走れるとは思ってなくて。」

「うんうん。そうだろうね。なんというか本気で追いかけようとしたんだけど、ソニックブームが聞こえた時点で諦めたよ。」

「ほんとごめんなさいぃ!」

「おぉよしよし。」


「あ、あの……太郎さん? 大丈夫なんですか?」


 倒れたままわしゃわしゃとなでていると、ケイティさんが恐る恐るといった雰囲気で声をかけてきた。


「あぁ、すみません。これが私の相棒のハナです。」

「えっ!? 人じゃなかったんですか!?」

「え? 私、一匹って言いましたよね?」

「はい。だから私てっきり女性の奴隷かと……」


 どうやらこの世界では奴隷がいるらしい。

 日本出身者としてはちょっと忌避感が出てしまうけれど、歴史を見れば中世ヨーロッパやアメリカ初期の頃は奴隷が普通だった時代があった。

 この世界もきっとそういう途上にあるという事なのだろう。


 気を取り直して花子を撫でるのをやめて立ち上がる。


「誤解させてすみませんでした。これが私の相棒のハナ。正式な名前は花子。柴犬です。」

「シヴァ犬……ですか? 初めて聞く名です。随分と荒々しさを感じさせる名ですね。」

「私の居たところだと結構いるんですけどね。柴犬。」

「あんなにも凄い力を持つシヴァ犬が沢山いるんですか……なんだか太郎さんが強い魔法を使えるのも納得な気がします。」


「ご主人……私がいない間に早速手を出すとか……なかなかやり手だワン。」


 花子がニヤニヤしていそうな口調で何かを言っていたが、流石に念話が聞こえているのは自分だけだろうからスルーしておくことにした。


 こうして花子とも無事に合流し、街へと向かうと、陽が傾く前に城壁都市に辿り着くことができた。


「では太郎様。私共は取り急ぎお屋敷に戻らねばなりませぬので、非礼で申し訳ございませんが、後日、今回のお礼をさせて頂けたらと存じます。」

「いえ、ご飯もご馳走になったし、お気遣いは不要ですよクリスさん。」

「そういうわけにはいきません。ではケイティさん。お手数ですが宜しくお願いしますね。」

「お任せください! 私がしっかり太郎さんの宿や何階のどの部屋にお泊りになるかも確認しますので!」

「遅くとも2日以内にはご連絡をさせて頂きますので、当面の宿代はこちらをお使いください。」


 クリスさんから布袋をもらうと、チャリっとした音が聞こえた。

 どうやら貨幣が入っているようだ。

 中身を確認するのも無粋だし、これ以上遠慮しても顔に泥を塗ることになりかねないと思い有難く受け取ることにした。正直手持ちがゼロというのは怖い物があったから助かる。


「それではお先に失礼いたします。」


 そう言うと貴族専用の入口があるのか、そちらの方へと馬車向かっていった。


「じゃあ太郎さん。私達はこっちですよ。もう陽も傾いているから並ぶこともないと思います。」


 そう言った上機嫌のケイティさんに手を引かれ門へと向かう。


「オースティンの街だ。お前さん見ない顔だな。」

「どうも。旅の者でして。」


 正直ヨーロッパ系の顔立ちの中でアジア系の顔立ちは目立つ。

 声をかけてきた門番もいぶし銀の映画俳優のように見え、肩身が狭い。


「太郎さんは、凄腕の魔法使いなんですよ!」

「おぉそうかい。凄腕がこの街に居てくれりゃあ有難い限りだね。ほら嬢ちゃん、さっさと触りな。」


 門番に促され、台の上に置かれている文字が彫ってある黒い石板に手を伸ばすケイティさん。

 触れると石板の端から白い光が溢れた。


「あの……これはなんですか?」

「あぁ? 『馘首の瞳』だよ。知らねぇのか? まぁ、知らなくても触れたらいいんだよ。」


 促されるまま板に触れると白い光が溢れた。首を捻っているとケイティさんが少し笑いながら口を開いた。


「『馘首の瞳』は犯罪歴の有無を判別するんですよ。

 犯罪者は赤い光を放ちますし、犯罪を犯し償った物は黄色の光になります。犯罪を犯していない人は私達のような白色になるんですよ。」

「はぁ~……便利な物があるんですねぇ……」


 『馘首』というからには犯罪者の首を切り落とすという事なのだろうか。なかなかに恐ろしい。


 花子が『馘首の瞳』に乗った。

 白く輝き、花子の表情は誇らしげな顔をしていたように見える。


「オイコラ! そいつは乗せなくていいんだよ! ちゃんと管理しとけ!」

「あ、あ、すみません。」

「ったく……えっと、嬢ちゃんはギルドに所属してたよな。アンタは……『馘首の瞳』も知らなかったんだもんな所属してるワケねぇわな。じゃあ税金払いな。何日いるつもりだ?」

「えっと……まだ決めてませんが、5日くらいは居るかもしれません。」

「それなら7日で小銀貨2枚だな。」


 革袋を開くと色々な貨幣が入っており、貨幣を鑑定して小銀貨2枚を取り出し渡すと、刻印の入った棒がもらえた。


「8日目からはまた税金がかかる。出る時に精算してもいいが、それまでにギルドに所属するなり税金を払う方法に算段をつけておきな。じゃないと期限切れで衛兵にしょっ引かれるかもしれねぇからな。」

「わかりました。丁寧に有難うございます。」

「いいってことよ。折角の大きな街だ。楽しんでいきな。」


 横柄そうにも見えたけれど意外といい人だ。


「さぁ行きましょう太郎さん! 私もギルドに報告しなきゃいけませんし案内しますよ!」

「ご主人! お肉! お肉が食べたいワン!」


 こうして一人と一匹に引かれるようにオースティンの街に足を踏み入れたのだった。

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