通学電車の希望論
電車が止まる音は嫌いじゃない
停止してドアが開くまでの沈黙
ゆっくりと動き出す外の景色を
昨日と違う僕が見ている
スクリーンに映し出される情報
メモも取らずに落書きをしてる
悪い子気取りの僕でさえ
きっと個性を地面に埋め込んで
この先、生きていく
希望も夢もない
死にたくても死ねない
怠惰に生きている自分が嫌になる
外に溢れる溜息の一つだけでも
消せる力があるのなら
少しはマシになるだろうに
枯れ果てた都会の街並みが
疲労の象徴であるかのような
ここを轟音とともに駆け抜ける
色鮮やかな電車は
面白いほど不似合い
本当に、現実を逃避してしまえそうだな
明日もあの電車が良い、と
改札を通りながら思ったのもつかの間
照りつける真夏の太陽に
僕は刺し殺されてしまった