過去~ライト編~4-3
工場長の仕事は、大変なこと極まりなかった。ガイアが溜めていた仕事が全てマシューに回ってきたのだ。ほとんどの期限が半年後。社長のお陰で一年先まで伸ばして貰ったが、山ほど積まれた書類全てを一年でとなると辛いものがある。
名前を書くだけならまだよい。これの半分は自らの考えを示さなければならないものである。所謂、企画書に似たようなものである。
工場長に任命されて一年は、大変な年になりそうだ。
「ただいま」
疲れはてたマシューは、帰ってくるなりご飯に手をつけようともせず寝転がってしまう。
「ちょっと、ご飯は?」
「……いらない」
「何言っているの? 食べないと明日動けないじゃない」
返事をしなかった。眠ってしまったのかと顔を覗き込むと、彼は目を開けていた。レイナはため息をつくと、机に置いてある夕食を片付け始めた。
ガイアは冷酷だと思ったことがあった。どうせ工場長なんて、席に座ってゆっくりしているだけ、何かあれば工場に足を運んでああだこうだと台詞のように言うだけ。楽な仕事だと思っていた。子供にでも出来るのかと言われれば、まさかそんなことはないが、工場で働く身からすれば、楽な仕事のようだった。
工場の仲間からは、暇が出来れば会おうと言われた。もちろん、暇を探すのは彼らの方だ。マシューもそう思っていた。今の状況では、マシューの方が暇を探さなければならない。少なくとも、一年は難しいだろう。
ライトが上手く馴染むことが出来るか心配で、休日は子供みんなを連れてどこかへ行こうかと考えていた。だが、そんなこと出来る時間などない。
工場長の仕事を完全に、舐めていた。
提出しなければならない書類を抱え、マシューは廊下を歩いている。体力はそれなりにあるのだが、やはり睡眠が少ないのは体に悪い。いくら体力があっても持たない。
「あれ、マシューじゃん」
懐かしい声がした。途端に懐かしい思い出が蘇ってきたが、すぐに消えてしまう。
声の先には、三人の男がいた。二人は大きな体で、一人は小柄だ。他の二人が大柄だからそう見えるのであって、見た目は平均値を少し越えているほどだ。マシューとそれほど変わらない。
「おう……久しぶりだな」
「おっと、そういやお前、工場長になったんだな。人のいるところではこれから呼び捨て出来ねぇな」
そう言って、男ががっはっは、と笑った。
「よっ工場長! マシューも出世したなぁ」
視界がぼやけ、まともに三人の顔が認識できない。
「……そうだ、丁度いいところに」そう言うとマシューは持っていた書類を男に渡した。「それ、お前らに渡さなければいけなかったやつだ。持っていってくれ」
この時に彼らは初めて、マシューの様子が可笑しいことに気づいた。工場長として、ノリでいつもより大人しく、格好いい風に振る舞っていたのかと思ったが、そうではなかった。
「おい、マシュー……。お前、大丈夫か? 疲れてるんじゃねぇか?」
「ちゃんと寝てんのか? そんなに忙しいのか?」
マシューは返事をすることなく、じゃあ、と手を振って工場長室に戻っていった。
三人は彼の背中を眺め、不安を募らせていた。
この予約投稿をしたのは土曜日です。昼過ぎですが、とても眠たいです。
午前中に部活(同好会ですが……)に行ってきたのです。私は弓道同好会に入っています。近くの弓道場で、日が合えば月に一回ほどそこで教えていただいています。
今日は、弓道の練習に寒さが重なって、疲れが出てきたんでしょうね。最後の方になると左腕が弓を支えられなくなってしまいました(^_^;)
でも、とても楽しかったです。……弓道を頑張る青春物語もありか……(。-∀-)




