再会7-1
「リティアが昼近くまで眠っているから、出るのが遅くなったじゃねーか」
リティアの隣で本人の愚痴を溢すライト。申し訳ないとは思っているのだが、言っても言い合いになるだけだから止めておく。
「午前中に終わらせたかったのに……」
確かに、ライトは昨晩、「明日午前中に奴の事について調べるから寝坊すんなよ。まずは、それぞれがどこで出会ったかを知りたいから、そこへ行こう。寝坊すんなよ」と大切なことを二度繰り返して言っていた。
リティアはその時、ライトも奴に会っていたということを知った。ライトがはっきりと行ってくれなかったため、あの時――高台でライトと話した時――に気付けなかったのである。
リティア自身気になっていることなので、さすがに寝坊しないだろうと、安易に考えていたのがいけなかったのだろうか。
普段、寝坊はしないリティアであったが、つい二度寝してしまい、昼前まで眠ってしまった。
昨晩はライトが遅くまで明かりを点けていたため、ぐっすりと眠れなかったのだ。そう言い訳をしたが、通用するはずもない。
「起こしてくれれば良かったのに。てか、何で起こさなかったんだ?」
「そ、そりゃあまあ……リティアが起こしてくれると思っていたから……」
そういうことか、と納得しながらも、どこか納得できない。
勝手に信用しておいて、起こしてくれなかったからと言われるのは気分が悪い。
頼んでいたのならまだしも、何も言っていないのに起こしてもらえると考えていたのなら、随分と気楽に考えているのだろうか。
「けど、俺はリティアよりも早く起きた」
自信げにいうことではない。五十歩百歩であることに気づいていないライト。
それを見て、いつもと立場が逆転していることに気付く。
途端にライトにいろいろ言われたことがどうでも良くなった。気分が上がっていく。
最初に向かったのは、ライトがカリナと会った場所。
そこは森の中で、ほとんど道と呼べる道がない。ライトがよくこんなところまで入ったものだなと考えながら、後ろをついて歩く。
「この辺りだ」
特に特徴の無い場所。広くなっていることもなく、何の目印もない。
「何か話したのか?」
「名前を聞いた。カリナって言っていた」
「お、女? 女なのか?」
「ああ、あれは確かに女だ。髪も長かったし、顔立ちも女っぽかった」
「男だと思っていた」
「根拠でもあるのか?」
「ないけど」
やっぱりな、とため息をつく。理由があればカリナに関する情報として受け止めることが出来たのだが。
「あと、ここに住んでいるのか。聞いたけど、答えてくれなかった。だが、ここに住んでいると考えても良いだろうな」
リティアは頷く。
「あと……お前が毒を盛ったのか、って問うた」
「どうだった?」
顔を逸らしてしまうのではないかと思ったが、リティアは思いの外軽そうに言葉を返してきた。
それに驚いたが、言葉を続ける。
「盛ってないって。あいつのことよく知らないから、嘘かどうかは決められない」
「だよな」
カリナが何者なのか、気になるところではあるが、リティアがカリナと会った大祠――神祠に向かうことにした。
先日四人で行ったため、今回は人目に怯えながら行くことはなかった。国の者である二人と一度行くと、言い訳に使える。それが、良いようで悪く感じる。
リティアはカリナを追いかけて茂みから登ってきたことを伝えた。ライトは、「獣女」と呟いたが、完全に無視しておいた。カリナのことを言ったのだと解釈しておく。
「もしかして、腕に出来ていた傷はこの時に出来たのか?」
「鋭いな、その通りだ」
その時に、カリナがリティアの剣を持っていたことを伝えると、ライトは興味無さそうに頷くだけであった。
「と、いうことは、カリナはマーガレットの家に置いてあったリティアの剣を盗んだ、ということになるな」
明後日、三月一日から毎日更新にかわります。三月で終わるか分かりません。四月に入るかもしれませんが、最終話までお付き合いお願いします。
余談ですが、椋原くこのツイッターにて、クイズのようなものを行っています。題は、
『二月二十九日生まれの人は誰でしょう?』
です。私がなろうであげた作品の中の登場人物の中から当てていただきたい、というものです。
大島美咲『大切な人』、小倉由子『彼らに明日は来なかった。』、リティア・オーガイト『サイハテの国』の三人から選んでいただきたいです。
時間があれば、ぜひ投票してみてください!




