表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイハテの国  作者: ヤブ
第一章
12/93

すべての作戦6-1

 辺りを見回す。

 どこを見ていても緑が見える。むしろ、緑しか見えない。

 太陽の光は優しくベールのように舞い降り、モーテルにとって、それは不思議な感覚でしかなかった。


「この国に、こんな所があったのか……」


 王の命令により、自然に作られた緑はほとんど壊されている。街には人間が見映えのためにと植えた木や花しかないため、このような美しい緑を見たモーテルはいつもの心を溶かされているようだ。

 ここは、ミマーシ学園の一角。格技場のすぐそばにありながら、とても静かだ。自然の音で溢れ、耳が癒される。

 モーテルはこの学園に、ある交渉をしに来ていた。


『リティア・オーガイトを、特別部隊に入れたい』


 そんな王の言葉から、この任務は始まった。

 モーテルの言葉があの作戦を作るきっかけになるとは、本人も想像していなかった。しかし、今から考えればあの王のことだからこうなることは安易に想像が出来たかもしれない。あのときは、これは発見だ、と自分がそれを思い付くことができて嬉しくてしかたがなかったのだ。

 だが、王の言ったことは絶対だ。例えそれが簡単な任務であっても、命に関わる危険な任務であっても、逆らってはならない。逆らえばどうなるのかは、モーテルが一番見てきた。

 素直に学園に交渉してみたものの、やはり簡単にははいと言わなかった。それくらいはモーテルの想定内である。盗み聞きされると分かっていて話を続け、リティアに話す手間を省かせた。全ては計算通りだ。

 リティアが逃走するのも、一応考えていた。そこにリティアの義弟がいるのにはあとから気づいたが、何の問題もない。むしろ、片方を捕らえれば、それを囮として使える。ライトがいたころは好都合とも言えた。

 だが、リティアを捕らえることが出来なかったことは、王が何というか分からない。怒鳴って「もう一度行ってこい!」と言うのがモーテルには目に見えている。

 だが、何も得られなかったわけではない。モーテルが前々から出していた国の探偵がリティアについてのある情報を持ってきていたのだ。また、その情報をもとに、リティアが行くであろう場所は推測できる。

 これらを言えば、王はリティアの確保を一時中断するだろう。

 モーテルには、そこまで計算した。


「……よし」


 緑で気を休めた後、モーテルは王のいる国の中央の建物に向かうことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ