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またまた短いです。
次話の投稿はだいぶ遅くなると思います。
電車の中。
ドアに寄りかかり携帯をいじる少年、窓に映った自分を見てさりげなく乱れた髪を直す少女、
友人と楽しそうに喋る少年達や少女達、頬を染めて見つめ合う少年と少女、ぼんやりと広告を眺めるサラリーマン、しきりにハンドバッグの中を探る大学生、うつらうつらとする老人。
『次は終点〜。お忘れ物にご注意下さい。次は終点〜。』
そんな人々は車内に流れるアナウンスにハッとなり、身なりを整え始める。
手摺にもたれかかり、車内の人々の様子を眺めていた黒髪の少年はヘッドフォン越しに聞こえる微かなアナウンスの声と人々の様子、そしてぼんやりと霞んで見えるホームの景色を見て頭に付けていたヘッドフォンを外し、首に掛けた。
肩からずり落ちかけていたカバンを肩に掛け直し、ドアの方を向くとタイミング良くドアが開く。
人の流れに従い電車とホームの僅かな隙間に注意しながら降りる。
カツン、というローファーがコンクリートにあたって響いた微かな音は人のざわめきや電車の発車する音などに吸い込まれ、消えた。
改札へと通じるエスカレーターに向かう人々の約九割が同じ格好をしている。もちろん、ヘッドフォンを首に掛けている黒髪の少年も彼らと同じ格好だ。
同じ制服を身に纏った彼らが通う高校の名は、私立方丈高等学校。長い歴史と様々な方面で優秀な人材を排出することで有名な超人気校の一つである。
そんな私立高校にヘッドフォンを首に掛けた黒髪の少年、一条 零也は通っている。
ありがとうございました。