三権分立
三権分立に関して説明するにあたり、まず用語を整理しよう
三権分立とは、立法、司法、行政、この三つの権力を現す、と言われている
だが、それは間違いだ
正式には、立法、司法、行法、であり
立法+行法=行政、というのが正しい
立法=新たに法律を作ること
司法=法律により人を裁くこと
行法=法律により業を行うこと
例えば伊藤博文は、総理の地位にありつつ、憲法を作文した
これ即ち、総理の行法権と憲法の立法権をもっていた、ということ
これを指して行政と呼んだ
三権分立ときくと、何を想像されるだろうか?
権力の分散、権力の暴走の抑制、そういったことではなかろうか?
だが、実際には三権分立は権力の暴走の抑制にはあまり役に立ってない
実際に権力の暴走が止められとるのは、総理や大統領の任期の短さによるものが大きい
総理や大統領の任期があまりに短いため、権力を掌握する間もなく辞めてしまう
もし三権分立により権力の暴走が止まるというのなら、総理や大統領の任期は、もっと長くて良いはず
そうでないのは、それだけでは権力の暴走を止めるのに不十分だからだ
さて、三権分立についての歴史を見てみよう
三権分立は、モンテスキューが考案した制度である
モンテスキューは、当時のイギリスの制度を参考に、それをさらに改良して三権分立という制度を考案した
それは、当時のフランスを改革することを目指したものだった
それがどのようなものか、まず当時のイギリスの制度から見てみよう
当時のイギリスは、貴族が治める議会が立法権をもっており、それが国王の権力を制限していた
即ち、立法権を議会が持ち、行法権を国王が持っていた、ということ
司法権についても、その多くを貴族がもっていた
モンテスキューは、それを改革するにあたり
貴族の議会が立法権をもち、国王が行法権を持ち、庶民からなる議会が司法権を持つ
このような制度を考案した。これが三権分立
なので、正確にはフランス革命で国王や貴族がいなくなり平等になったフランスでは
もはや三権分立は成り立たない。これは他の多くの国でも言えること
その後の三権分立は、本来の姿を離れ、どこか歪な姿に身を変えて続いていくこととなる
さて、モンテスキューはこの制度を考案するにあたり、次のような指摘を行っていた
もし役人に司法権をもたせれば、その国に自由はなくなるだろう、との指摘だ
実際に日本では、役人に司法権を持たせたせいで、冤罪が多発している
なぜなら、役人たちの仕事を見張るものがいないせいだ
彼らが明らかな冤罪を作っても、それを罰するものがいない
さて、三権分立は成り立たない理由には、まだある
それは、三権の内、行法権があまりにも大きすぎることだ
この権力が大きすぎるが故に、他の二つの権力では抑えきれない
これに対する処方箋は、立法権と行法権を合体させて、行法権を分割することだ
これによって、権力は安定する
さて、三権分立ときくと、権力を三つしかないように思ってしまう
だが、実際にはそうではない
三権以外にも権力は存在する
まず、立法、司法、行法は、一つにまとめると法権となる
この法権をあわせて、六つの権力がある
権力=国内四権+国外二権
国内四権=法権+貨権+地権+情報権
国外二権=軍権+外交権
権=権威+権力
貨権=通貨権+予算権+利子権+税権
通貨権=通貨発行権+通貨供給量変更権
予算権=予算編成権+予算認可権
利子権=利子創廃権+利子率変更権
税権=税制創廃権+税率変更権+徴税権+関税権
軍権=軍政権+軍令権+開戦権+終戦権
情報権=諜報権+新聞やテレビによる宣伝権+教育権+特許認定権+職業免許発行権
教育権=教科書作成権+教科書認定権+教師認定権+教師免職権+教師人事権
+教育方法指導権+学校規則作成権
権力の他にも、人を動かす力というものがある。それを権威とよぶ
天皇は権威を持ち、将軍や議会は権力を持つ
法王は権威を持ち、国王は権力を持つ
江戸時代の日本は、外様大名の地権、朝廷の権威、徳川家臣の権力の対立
「三権分立」の目的。それは、権力の暴走を防ぐこと
だが、現在の三権分立が見とるのは「法権」だけ
他の権力の暴走を想定していない
他の権力の暴走とは、以下の通り
・軍権の暴走、
・貨権の暴走
・官僚の暴走
・諜報機関の暴走
・報道機関の暴走
【軍権の暴走】
戦前の日本軍の満州での暴走や、クーデターなど
【貨権の暴走】
ロスチャイルドの発言
「私に通貨発行権を与えよ。さすれば誰が法律を作ろうがどうでもいい」
ロスチャイルドは通貨発行権を手にすることで、国を半ば乗っ取ることに成功した
【官僚制度の暴走】
三権分立は、君主の権力を制限することを目的として作られた
だが、フランス革命によって君主が居なくなると
その下の官僚たちの権力が肥大した
【諜報機関の暴走】
韓国の朴大統領は諜報機関により暗殺された
ジョン・F・ケネディ大統領も、諜報機関により暗殺されたといわれる
さらに、諜報機関は情報を入手しやすい立場を利用して、政治家の弱みなどを握り、政治に悪影響を及ぼしやすい
【報道機関の暴走】
虚偽の報道、世論操作、政治への悪影響
法の三権分立は建て前に過ぎない
現実には、多くの国が二権分立になっとる
二権分立には、三つある。それは
・立法と行法が合わさり、司法と対立する「総理型二権分立」
・司法と行法が合わさり、立法と対立する「大統領型二権分立」
・立法と司法が合わさり、行法と対立する「執政官型二権分立」
「総理型二権分立」
日本やヨーロッパ諸国は、与党の党首が総理となる
与党の党首は、議会において立法権を握る
そして総理は行法権を握る
「大統領型二権分立」
アメリカは、大統領が最高裁の裁判官を任命する
以上で見た通り、日本、ヨーロッパ諸国、アメリカを始め、多くの国は、実質的に法の二権分立となっとる
そもそも三権分立は、権力の暴走を抑えることが目的
だが、三権分立を行った所で権力の暴走は防げない
なぜなら、権力の大きさがそれぞれ違いすぎるから
これらの権力のうち、行法権は最強
それに比べ、立法権も司法権も小さすぎ
これでは釣り合いがとれず、互いに権力を制限しあうことなどできない
現代の多くの国が採用する
行法権と立法権が合わさる二権分立
行法権と司法権が合わさる二権分立
などを解消し、正式な三権分立にした所で、政治は安定しない
代わりに「執政官型二権分立」に切り替えるべき
これにより、権力に釣り合いがとれ、政治は安定する
具体的には、政治家が裁判官を兼ねるようにすること
古代ローマやベネチアが、この制度を行った
この二国は、人類史上まれに見るほど永きに渡って国を保った
それは、その政治の構みが善かったから
現代の国国もこれを見習うべき
他にも、この制度には次のような利点がある
・政治家が裁判を行うことで、法に詳しくなる
これは立法に有利
・現在の裁判は、主に官僚が行っとる
これを政治家に移すことで、官僚の権力を制限できる
・官僚が行う裁判は、国民の監視の目が届かない。そのため、冤罪が多発しとる
これを政治家に行わせることで、裁判を国民の監視下における
・政治家に裁判を行わせることで、その政治家の人格や能力を計れる
さて、政治家に司法権を与えるとなると
政治家の権力が肥大しすぎる恐れがある
そこで、三つの制限をつける
・現在の裁判制度は、まず三つに分かれる
それは、下級裁判所、中級裁判所、上級裁判所
裁判の決定に不満のある時は、更に上の裁判所に訴えることとなる
これを取り入れる。即ち
先ず市町村の議員が裁判を行い
それで解決しなければ、県会議員が裁判を行い
それで解決しなければ、国会議員が裁判を行う
これにより国会議員への権力集中を防ぐ
・現代の裁判は冤罪が多発しとる
その理由は、裁判官が全てを決定すること
裁判官が有罪か無罪か判断し、更に死刑か否か、刑期なども決める
そのため、被告人は裁判官の心象を良くしようと
例え冤罪と判っとっても、有罪と認めることが多い
このような事態を無くすため、裁判を裁決と裁量に分離する
裁決=有罪か無罪かに決めること
裁量=死刑か否か、刑期の永さなどを決めること
先ず一般から選ばれた人が裁決を行い、後に政治家が裁量を行う
もしくは、下級の議会で裁決を行い、上級の議会で裁量を行う
・誰が裁決や裁量を行うかは、籤によって決める
これにより、特定の人物への権力の集中を防げる
三権分立では、三つの権力が平等な地位にある
これからはそうではなく、議会に主権を与える議会統治体制とすべき
権力の暴走を防ぐ手段は以下の通り
・上から見張ること
・下から見張ること
・横同士で見張ること
・分散
・交代
・籤による入れ替へ
・法によること
【上から見張ること】
各大臣が官僚を見張ること
【下から見張ること】
民主化
【横同士で見張ること】
権力の分立
【分散】
地方や下部組織に権限を委譲すること
【交代】
同じ機能を持つ組織を二つ作り、定期的にしごとを入れ替えること
例:江戸時代の南北奉行所
【籤による入れ替へ】
担当者を籤で選ぶこと
そしてしごとが終わる度に、また籤で選び直すこと
例:ベネチアの議会制度
【法によること】
法に従い、しごとを行うこと
例:憲法