おばちゃまの勝手に相談室。〜先生の暴走〜
おばちゃま先生は暴走していた。
書斎にこもり、何やらしている。
私は紅茶を淹れたので、書斎のドアをノックしようとした……。
「だから! これではダメなのよ!!」
……はて?私と先生以外誰もいないはず。
書斎から聴こえる先生の声。
電話?
私は暫くドアの前で待った。
少し待ち、声がしなくなったので、改めて。
ドアノック。
「どうぞ」
先生の返事がしたので、異世界の書斎へと
足を踏み入れた。
「……先生? あの……」
書斎に入り、直ぐ目に飛び込んだ物を見て、
私は驚いた。
書斎の中央に、理科の実験室にある様な
机が設置されており、その上にはやはり理科の実験に使用する様な道具が揃っていた。
ビーカーの中には怪しげな色をした液体が
入っており、大変驚いた。
「あら、びっくりしたかしら?」
試験管片手に、先生が言う……。
「一体何をされて……」
一先ず私はテーブルにお盆を置いた。
「いえね、 こないだいらした相談者の方、
あがり症を治したい。 そう仰るから、 わたくしなりに色々アドバイスしたのだけど」
試験管を見ながら話し始めた。
「それと、これは……。 関係あるのでしょうか……」
理科の実験とお悩み。
共通する物があるのか。
「色々アドバイスしたわ。でも、納得して
下さらないのよ。 だから、 あがり症を治すお薬でもと……」
「先生、 犯罪です」
私の言葉にキョトンとした。
「あら、やだ。 ほほほ。わたくし免許持ってるのよ? 薬の開発。 言わなかったかしら?」
何だそれ……。
カウンセラーは幅広い。
博士でもあったのか。
いや、でも……。
こういうのはやはりダメなのでは?
そもそも心理学の分野から外れている。
「先生。 やはりダメです。 薬に頼っては、
根本的原因を解決できません」
私なりに意見を述べた。
試験管を置き、先生が私の方へ。
「やっぱり倫理的に反しているわよね。
そうよね……。 心理学者として、 心で対話しなければいけなかったわ。 なずなさん、
わたくし間違っていたわ。 恥ずかしい」
何にも言えない……。
先生は時々本当におかしくなる。
暴走してしまう。
天才なのか違うのか……。
紙一重とは良く言ったもの。
この、幅広い先生をコントロールするのも
助手の勤め。
しかし、次は何の分野をひけらかすか。
楽しみでもある様な……。