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白より咲き出でる→赤き華
目の前に広がる。
誰もが疑わぬその光景は、何もかもを包んでしまうような、白い色をしていた。
その中に舞う赤の液体。
白の中に映える赤は、人々の瞳に深く焼きつく。
目の前の光景を信じるか信じないかは、受信者自身が決めることができる。
伝達情報が間違いなのだと、身体の視覚を司る器官にエラーがあるのだと。
そう考える人がほとんどだった。自らに降りかかる出来事を処理しきれない。
一つの器官が起こしたエラーは毒のように浸透していき、やがて全てを飲み込む。
その刹那…
身体が宙に浮かぶ感覚…地面に咲く赤き華。
一輪、また一輪。
人だったものが華へと形を変えていく。
何の為に、誰の為に、それは今知る由も無い。
視覚が正常に機能していない。目の前の出来事を認識出来ない。
どう足掻いても結末は変えられない。
それがこの街の運命
予め約束された規約
此は…
白から始まり赤へと至る物語…