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「全然上がらんやん」と売られましたが、すぐ株価100倍になりました。「戻ってきてくれ」と言われてももう遅い

作者: myano
掲載日:2026/02/06

「株価全然上がらんやんけ、このボロ株!」

 今の持ち主は株歴の浅い、気の短い男性です。

 それにしても、買って3日でこのキレ散らかしようはどうかと思います。


 男性はどうやら『安いから』という理由だけで、ろくに調べもせずに私を買ったみたいです。前の持ち主は投資ルールを決めて売買してましたが、人によって全然違いますね。

 今も他に安い株がないか調べているみたいです。



「おっ、この株3か月前から4分の1になっとるやん。元に戻るポテンシャルはあるやろから4倍は狙えるな」

 あっ、その株はダメだと思います。

 昨日売られていった情報通の株さんが『粉飾決算(ふんしょくけっさん)で上場廃止』とか言ってました。どうやら、架空の売り上げを計上してたみたいで、爆損(ばくそん)間違いなしだそうです。

 だけど、当然私の声は届きません。


「よし、ボロ株を売ってこっちを買おう。……売り注文っと。うわ、微損(びそん)や。最悪」

 男性は私を損切りして、違う株の買い注文を入れました。

 さよなら。あなたに幸あらんことを……。



「ん? この株はAI事業をやっている会社の株か。将来性がありそうだから買おう」

 次に私を買ったのは、少し投資に慣れた人みたいです。私を買う前に、どんな会社かを調べてました。

「損切りルールは……よし、これで行こう」

 あっ! この人、前の持ち主より上手い人だと思います。



 それから3日後、私の会社では決算が発表され、それがかなり良かったみたいです。

 私の価値は瞬く間に2倍、3倍、10倍と上がっていき、なんと100倍まで上がりました。

「ありがとう。君のおかげで稼がせてもらったよ。今でも指標では割安だから、大切に持っているね」

 こちらこそ、『ボロ株』と言われていた私を買ってくれてありがとうございます。

 私の価値を見つけてくれてありがとうございます。



 長い時間が過ぎました。私の株価は昔の100倍を維持しています。

 ある日、私の目に一つの買い注文が映りました。それは前の持ち主が注文したもので、『ボロ株』だったころの2倍の価格でした。

「俺が悪かった。もうボロ株なんて言わへん! 2倍で買うから戻ってきてくれ!」

 あの後、彼が私を売ったお金で買った株は100分の1の価格になり、最後は上場廃止になりました。


 今の持ち主はその注文を見て鼻で笑います。

「この株の価値を分かっていない人がいるな。そんな安値で買えるわけがない。来年には配当が出るから、3年持っていれば元が取れる計算だ」

 持ち主はそう言うと、私のことを愛おしそうに見つめます。

 この人を悲しませたくない。私はそう思うのでした。




 ※ この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などとは関係ありません。

 ※ この物語は投資を推奨するものではありませんし、特定の投資手法を推奨するものでもありません。

 ※ 作品内で登場する投資手法は利益が出ることを保証するものではありません。()()()()()()()()()()()()


持ち株が上場廃止になった勢いで書いた作品です。

所々で現実ではありえない描写もありますが、どうかご容赦ください。

投資手法は参考にならないと思いますが、反面教師にでもなれば幸いです。


株の塩漬け職人より

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