門番猫の1日 12月初旬編
門番猫さんの1日
僕は黒猫のうた丸。
通称うーさん。番小屋に住む門番猫。
(本人は「門番猫さんって呼ぶにゃ!」と主張してるけど、みんなにガン無視され、うーさんと呼ばれている。)
体重は5.2kg といってるが、実測8.6kg。太り気味。
首周りには赤いリボンをつけている。(毎日自分で頑張って結んでる。蝶々結びがいつもちょっとズレてる)
リボンチャームに「門番猫」。←おばあちゃん手作り。たまに「門番狸」と書き間違えられる。
弱点はおばあちゃんのおはぎを断れない、可愛い女の子と子どもには優しい。
イケメンにはやたら厳しい。
寝床は屋根の上。近くにおばあちゃん家があるのでたまに食べに寄って行く。
人が困ってると放っておけない。っというので門番のお仕事に就職。
「口は悪いけど日本一優しい、ちょっと太めのおっさん猫」
それが門番猫、うーさんです。
朝7:02。
うーさんは屋根から落ちた。
「今日のご飯はご馳走だにゃあああっ!?」
寝ぼけ眼でバランスを崩し、どさっ。
顔面着地。
完璧なスタートである。
気を取り直して立ち上がり、ごはんのお皿を見ると、昨夜残しておいたご飯がない。
「にゃあ!?これは隣の三毛猫の仕業かにゃあ!?」
門番猫さんはため息をつきつつ、自分のおくちに食べカスがついてることに今気づく。
犯人は自分説が濃厚。
気を取り直して、身だしなみを整える。
猫というのは舌がクシ代わりになるが、ほぼ届いてないのでできたフリ。
リボンを大きなおててできゅっきゅと結ぶ。
前足揃えて、胸張って、門番モードに入った。
おめめはくりくりっと、お耳はピンっと、尻尾はフリフリ、完璧な営業スマイルでお仕事を開始する。
7:28 最初の客がやってきた。
小学生の男の子が猛ダッシュしてきた。
「うーさん!トイレどこ!?もう限界!!」
うーさんは、
「左に30秒全力疾走。木の陰の古いお手洗いがあるから急いでいくにゃ」
「ありがとうーさん!!またね!」
うーさん、小さくガッツポーズ。
「今日も一命救ったにゃ」
9:15
おばあちゃんがやってきた。手に大量のおはぎ。
「うーちゃん、今日もお仕事かい?はい、おはぎだよ~」
「おばあちゃん、いつもありがとうにゃ...って、12個!? 昨日も10個もらったのにゃ!」
「いいのいいの、お腹空いてるでしょ?」
図星です。
「もぐもぐ…。もぐもぐもぐもぐ。おばあちゃんは断れないにゃ。でも食べ過ぎて眠たくなるにゃ」
これで一件落着だにゃ!
11:00
「寒いにゃ...」
するとおじいさんがやってきた。
「おっきい狸がいるもんだなぁ」
「狸じゃない。どう見ても猫にゃ!」
「ほっほっほ!立派な腹を出してたらお腹が冷えるじゃろ。ほれ、これをやる」
おじいちゃんは、うーさんに茶色の腹巻きを渡した。
「ほいじゃあの!」
「...いっちゃったにゃ。まぁお腹が冷えてしまってはいけないにゃ。ありがたく使わせていただくにゃ」
腹巻きにはでべそが刺繍されていた。
信楽焼きの狸になった。
13:20
若い女性が来た。
「うーさん!大変!道に迷ってしまったの。
うさぎの公園に行きたいの!」
「にゃんと!それは可哀想な子猫ちゃんだにゃ!!うーさんは何でも知ってるにゃ。
ここを右にいって亀神社を入って左にいくにゃ。抜け道ってやつにゃ。寒いからカイロを渡すにゃ」
ちょっとカッコつけた。ちょっと目をキリッとさせてた。
「ありがとう!うーさん!彼氏くんとのデートで待ち合わせなの!!」
お姉さんはスタコラと去ってしまった。
「...!?優しさを返せにゃ!!そんな男やめとけにゃ!!迷ったなら走って迎えに行くのが男って奴にゃーーーーー!!!」
(ま、道に迷った子猫ちゃんを助けることができてよかったにゃ)
16:45
今度はお散歩途中のお兄さんがきた。
「すいません!!犬が逃げてしまいまして!」
「にゃに!?僕は犬が苦手なんだけれど、困ってたら仕方ないにゃ。僕が囮になってやるにゃ!おーい!!」
「え、うーさんなにしてんの」
「おーい!ここにうまそうなものがいるにゃー!
こっちに来いにゃ!大福ー!」
「うちの犬、マロンです...」
マロンは一目散にうーさん(狸仕様)に駆け寄り
ぺろぺろと少しハムっとされた。
「本当にありがとううーさん。美味しそうに見えたのかな...」
「お安いご用だにゃ。」
犬、捕獲成功。
18:00 うーさん退勤。
うーさん、屋根の上でまた大きく伸びをする。
「ふぁ~今日も無事に終わったにゃ」
お腹いっぱい、ちょっと疲れたけど、
なんだかんだで楽しかった。
明日も、きっと誰かが来る。
うーさんは、赤いリボンをちょっとなおして、
にっこり笑った。
「お疲れにゃ、自分。
また明日も、がんばるにゃ。
人を助けるって大変だにゃ」
そしてそのまま屋根の上で寝落ち。
いびきが、静かな夜に響き渡った...
おしまい。




