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第六話 魔王、東京に降り立つ

怒涛のまかない事件の翌日。


「どうじゃ? 悠真よ」


小野洋品店の試着スペースから、音もなく現れたその姿に、思わず悠真とセリシアは言葉を失った。


黒のタイトスカートに、白のブラウス。シンプルながら上品なジャケットを羽織り、足元は軽やかなパンプス。そして何より、長い黒髪を緩くまとめ、ほんの少し艶やかな赤のリップが印象的だった。


まさしく、“仕事ができる大人のお姉さん”。


「ほほう……どうやら言葉を失ったようじゃの。ふふっ、やはり我は、どの世界でも美しいらしいな」


「……ルシア、すごく綺麗です……」


「うむ、もっと言ってよいぞ? その美貌、目に焼きつけるがよい!」


セリシアは思わず苦笑しつつも、どこか羨ましそうにルシアを見つめていた。彼女とは真逆の色気がありながらも、どこか少女のような無邪気さを残している――そんな絶妙なバランスがルシアの魅力だった。


「まぁまぁ、この子もまた綺麗な子ねぇ~! ふふ、私の見る目、まだまだ衰えてないわ」


佐和子さんが満足げに手を打った。


「さすが佐和子さん、ピッタリでしたね。俺たちだけだったらこんな上品な服、思いつかなかったかも」


「ふふん、我の美にふさわしい装い。これでこの“ニッポン”とやらの街を歩けば、誰もが振り返ること間違いなしじゃ!」


悠真が笑みを浮かべながら、頷いた。


「……ああ、確かに似合ってるよ」


「うむ、良き返答じゃ。もっと褒めるが良い」


そのやり取りに、セリシアも何処か笑みが溢れる。

そして、服を買い終えた三人は、次の目的地へと向かう為、商店街を歩いて行く。


「さて、次は日用品の買い物をするのであったな?」


「うん。せっかくだから、今日は“新宿”で買い物をしながら東京の街を案内しようと思ってる。あと、ついでにランチもしよう」


魔王の目が輝く。


「シンジュク……異界の名か⁉︎」


「えっと、東京の一地区です。ビルがたくさんあって、お店もたくさんあって……人も多いです」


「ふむ、ならば我がその目に焼き付けてやろうぞ。“トーキョー”とやらの賑わいとやらをな!」


(……テンション高っ!)


悠真とセリシアは顔を見合わせて、同時に小さくため息をついた。


だが、ふたりの口元には自然と笑みが浮かんでいた。



「おおぉ……なんなんじゃここは⁉︎」


ルシアの瞳がまん丸に見開かれ、目の前の光景を呆然と見つめる。


高層ビルが並び立ち、巨大スクリーンには色とりどりの映像が流れ続ける。頭上を駆け抜ける電車の音、人の波、車の流れ——すべてが異世界の魔王には未知の光景だった。


「まるで……大規模な幻影魔法でも見せられておるようじゃ……!」


風に揺れる髪をかきあげながら、ルシアは興奮気味にセリシアと悠真に振り返る。


しかしその後ろ、二人は完全に“抜け殻”状態だった。


「……ここに来るまでが、地獄だったね……」


「…はい。彼女のノリと好奇心……久々に私、戦場以外で疲れました……」


そう、ここへ至る道中。


お店の自動ドアが開けば「わっ!城の扉か!?」と大騒ぎ。

駅構内の自動改札を見ては「何故、扉が光って通してくれるのじゃ!? 魔法か!?」と驚愕し、

しまいには電車内で乗客のスマホを覗き込み、「な、なんじゃその薄っぺらい板は!?」と好奇心むき出し。


当然のようにセリシアと悠真は、その都度謝罪と説明に追われる羽目になった。


「……でも、私も最初は、あの様な感じだったのですね……。今なら悠真の気持ち、よくわかります……」


「正直なところ、セリシアの時のほうがまだ理性があった気がするよ……」


しかし、そんな苦労も吹き飛ばすほどに、ルシアの純粋な“驚き”と“感動”はまぶしくて——。


「それにしても……すごいのぉ、ここは……。人が、こんなにも行き交い、何かに急ぎ、けれどどこか楽しそうでもある」


見渡す人々の中に、学生、ビジネスマン、買い物客、カップル、観光客——

異世界では見たこともない「日常」が、そこにあった。


「ふふ、圧倒されてますね、ルシア。でも、まだまだ東京はこんなもんじゃないですよ?」


セリシアがいたずらっぽく微笑むと、ルシアは真剣な顔で頷いた。


「うむ…、この世界……思っておったより遥かに面白い。ワシはもっと見てみたいのじゃ!」


その目はまるで子供のように純粋で、きらきらと輝いていた。


——そして、気がつけばもう昼前。


悠真はスマホに目を落とし、二人に声をかけた。


「少し早いけど、ここらでランチにしようか」


「ランチ……それは地球でいう昼餉か?」


「そう。今日は“ピザ”にしようと思ってて」


「ぴ、ぴざ……?」


「それって、あの平たいパンに何か色々のってて、チーズがとろけてるやつですね!?」


セリシアの目が輝く。


「うん、俺が好きなピザ屋があってさ!二人に本格的なピザを食べさせてあげたいと思ってたんだ」



やがて入ったのは、老舗のイタリアンピッツェリア。店内は陽射しに照らされ、赤白のテーブルクロスと石窯の香ばしい匂いが漂っていた。


ルシアは席に着くなり、キョロキョロとあちこちを見渡していたが、やがて——


「む、良き香りがするぞ……!」


焼き立てのマルゲリータが、テーブルに運ばれてきた。


「このとろけたもの……これがチーズというやつか……!」


ルシアは一切れを恐る恐る手に取り、がぶり。


……その瞬間、彼女の表情が変わった。


「っ……!? ほ、ほわぁあぁ……!」


とろけるモッツァレラのミルキーさ。香ばしいクラストの歯応え。

トマトの酸味とバジルの香りが口いっぱいに広がり——


「こ、これは……っ……!」


「ど、どうですか⁉︎」セリシアが身を乗り出す。


「う、うまい……! いや、“うまい”だけでは足りぬ!これは口の中で踊っておる!祭りじゃ!舌の祝祭じゃ!」


「表現がいちいちデカいなぁ……」


悠真が苦笑する中、セリシアも一切れ口に運び、ふわっと目を細める。


「……うん。やっぱり、こちらの世界の料理って……美味しいですね」


しばし、三人は笑い合いながらピザを楽しんだ。


東京の真ん中で、魔王と勇者と青年が囲むテーブル。

世界も言葉も文化も違えど、同じ料理の前ではただの「仲間」になれる。


「次は……次は何を食べるのじゃ⁉︎ もっとだ、もっとこの世界を食で味わいたいのじゃ!」


「まずは一口ずつだね。胃袋の容量は世界共通なんだから」


そんな一言で、テーブルの笑い声はさらに弾んだ。


——かくして、魔王の“東京初体験”は、驚きと美味で幕を開けたのであった。


そして、昼食にピザを楽しんだあと、悠真たちは午後の買い物に向かっていた。


「これが……歯の掃除道具とは。これほど薄くしてしまって……。それに、ハミガキコ?これまた面妖な形をしておる……。」


「それは歯ブラシにつけて使うものですよ」


ドラッグストアの中、ルシアは歯ブラシ一つにさえ目を見開いて興奮していた。セリシアはその隣で慣れたように「これは洗顔料です」「これは寝巻きです」と商品を選びつつ、彼女のフォローに回る。


悠真はというと、少し離れたカートを押しながら、どこか微笑ましげにその様子を眺めていた。


(うん、なんだかんだでこの組み合わせはいいバランスだな)


「む? これは……湯に入れる粉か?」


「それは入浴剤ですね。香り付きのものもありますよ」


「香り付きとな!? 贅沢な世界じゃのぉ!」


どんな些細な日用品も、彼女にとっては魔法の道具に等しい。それが新鮮で、見ていて飽きなかった。


だが——


「さてと……次は……下着かな?」


「ん? 下着か?」


「代えの下着がないと困るでしょ?」


「おお、それならワシが今履いている物を洗って——」


「いや、だから、それだと限界があるだろ?」


悠真はチラリとルシアを見て、そして隣のセリシアへ視線を移す。


「セリシア、お願いしてもいい?」


「任せてください。悠真はあちらで飲み物でも飲んで休憩していて下さい。」


セリシアが軽く笑ってそう言うと、ルシアの手を取って下着売り場へと連れて行った。



「……ここが、“下着”の店か」


ルシアは足を止め、しばし呆然と立ち尽くしていた。


色とりどりの布地、繊細なレース、光沢のあるシルク。ずらりと並んだ女性用の下着に、魔王ルシアとて、圧倒されるしかなかった。


「なんという……小さい……これは布切れではないのか……?」


「ルシア、こっちの文化ですと、こういうのが普通なのですよ。素材も形も機能性も色々あって……」


セリシアが手に取ったのは淡い藤色のセット。ルシアの雰囲気に合わせて、上品で、それでいてほんの少しだけ艶っぽいもの。


「これなんて、ルシアに似合いそうです」


「に、似合うとな……。そ、そうかの……うぬ、ワシは魔王ぞ? このような華奢なもの……」


そう言いつつも、どこか頬が紅潮している。ルシアはそっと棚の一つに手を伸ばし、自分でも何点か選び始めた。


「こ、この黒いやつ……なかなかよいな。漆黒の闇のごとき……魔王にふさわしいではないか……!」


「うん、それも悪くないですね。でも……こっちはどうです?」


セリシアが差し出したのは、淡いピンクのレース付きブラ。


ルシアはしばらく無言でそれを見つめた。


「……これ、どこか……可愛らしすぎるのでは……?」


「ふふ、でも今のルシアには合ってますよ。ほら、鏡で合わせてみて?」


「むぅ……セリシアがそこまで言うなら……」


鏡の前で当ててみると、たしかに悪くない。肌の白さと黒髪、赤い瞳とのコントラストが引き立ち、まるで妖艶な人形のようだった。


「……ぬぅ……これはこれで……良いかもしれぬのぉ……」


「ですよね?」


そう言ってセリシアが小さく笑うと、ルシアもほんの少しだけ照れくさそうに視線を逸らした。


「ワシは……異世界でも“魔王”であるが……“女”でもあるのだな、と……今さらながら実感してしまったのじゃ……」


その言葉に、セリシアは優しく頷いた。


「うん、それでいいんです。ルシアはルシアらしく、ここでも輝けますよ」



数分後。


袋を手にルシアが悠真のもとへ戻ってくると、悠真は思わず一瞬だけ目を逸らした。


(……少し、買いすぎた……?)


彼女の手には、明らかに下着のショップバッグが二袋——。


「ふむ。なかなか悩んだが、良き戦果であった。ふふふ、これでこの世界の“下”の戦も完璧よ!」


「……戦ってなんだよ……」


思わず苦笑する悠真に、セリシアも同じように笑っていた。


こうして、魔王ルシアの“異世界生活”第一日目は、順調かつ賑やかに進んでいったのだが。



ルシアに必要な日用品の買い物をひと通り終えた後、悠真とセリシアは手分けして足りない分の買い物へと向かった。


「少しの間、一人でも大丈夫ですか?」


「ふむ。こうして異世界の街並みを眺めるのもまた一興じゃ。気にせず行ってくるがよい」


「それでしたら、20分後にこのベンチ前で集合にしましょう」


そう言い残し、二人が去った後。ルシアは人混みのなかで立ち止まり、風に舞うチラシ、ネオンの明滅、遠くから聞こえる電車の音に、静かに目を細めていた。


「……本当に、この世界は摩訶不思議なものばかりじゃな」


高層ビルの谷間に広がる空を見上げていると、突如、ざらついた声が耳に届いた。


「ねぇねぇ、お姉さん暇そうじゃん。一人?」


振り返ると、四人の若い男たちがニヤついた笑顔でルシアを囲んでいた。服装はだらしなく、視線は下品。街の空気を一気に濁らせるような存在だった。


「俺たち男だけで遊ぶのも飽きてさ〜。お姉さん、一緒に楽しいとこ行こうよ」


「ふふ、すげぇ……。なにこれ、マジで美人じゃん。スタイルもエグくね?」


「ちょ、俺のタイプすぎるわこれ。逃す手ねぇだろ……?」


舐めるような視線がルシアの全身を這う。


「……なんじゃ、お主らは」


「言葉、なんか変じゃね?でもそれがまたいい……ってか、すげぇエロい声じゃん。やば……」


「悪いが、連れがいるのじゃ。主らの相手をしている暇はない」


ルシアは一歩も引かず、堂々とした態度で男たちを睨む。


しかし、男たちはその威圧感すら刺激と捉えたのか、距離を詰めてくる。


「態度でかくねぇ?俺ら、けっこうこの辺じゃ顔効くんだけど」


「……下らぬ脅しじゃな」


ルシアが去ろうと背を向けたその時、男のひとりがルシアの腕を乱暴に掴んだ。


「ちょっと待てよ。いいの?俺たちにそんな態度とって……後悔するぜ?」


――その瞬間。


「黙れ」


静かに吐かれた一言と同時に、ルシアの足元の地面にピシリ、と小さな亀裂が走った。


……直後。


空気が凍った。


まるで猛獣の檻の中に突然放り込まれたかのような緊張感。周囲にいた通行人までもが、恐怖に包まれ、身体を強張らせる。


心拍数は跳ね上がり、喉は乾き、誰一人として指すら動かすことができなかった。


それは「魔王」としてのルシアが纏う、純然たる殺気の圧――。


最前列でそれを受けた男たちは、瞬時に崩れ落ちた。


一人はその場で白目を剥いて立ったまま気絶。


一人は腰を抜かし、下半身を濡らした。


一人は泡を吹いて失神し、口から意味不明な音を洩らして倒れ込む。


最後の一人はしゃがみ込んで頭を抱え、「ごめんなさい、ごめんなさい……」と繰り返すばかり。


誰も、何も言えなかった。


その圧倒的な空間の中へ、セリシアが飛び込んできた。


「ルシアっ!」


「ん?おお、セリシアではないか」


「ルシア、やりすぎです!」


その一言で、ルシアはようやく自分の手加減の無さに気づいた。


「……そうか。すまぬ、つい“本性”が出てしまったようじゃ」


ふぅ、と吐いた息と共に、空気がやわらいでいく。


圧力が解かれた途端、周囲の人々がへたり込み、荒い息を漏らしながらその場に倒れ込んでいった。


悠真は少し離れた場所から、その一部始終を目撃していた。


(あれが……“魔王”の本当の姿か……。言葉も出ない……)


そして最後に、まだ意識のある男の一人にルシアが言った。


「怖がらせてすまなかったの。とはいえ、主らも少しばかり、軽率だったのじゃぞ」


その言葉に、男はビクリと震え、絶叫した。


「う、うわぁぁぁぁぁぁっ‼︎」


失神している仲間を引きずりながら、男たちは這うようにしてその場から逃げていった。


――異世界の魔王、ここに在り。


セリシアはルシアの手をそっと取り、安堵したように微笑んだ。


「…本当に、無事で良かったです」


「ふむ……この世界、面白いのぉ。だが油断は禁物じゃな」


新宿の街に吹く風が、静かに二人の髪を撫で

ていった。


その日の夜――


店内に響き渡る豪快な声と共に、ジョッキがテーブルに置かれる音が鳴った。


「ぷっはぁ〜っ! やはり、締めの一杯は格別じゃのぉ!」


ルシアが満面の笑みでビールを飲み干し、満足げに口元をぬぐう。えにし屋のカウンター席には、すでに何皿かの料理の器が並んでいた。どれも、悠真の手による渾身のまかない料理である。


「お疲れさまでした、ルシア。今日は……色々ありましたしね」


セリシアが苦笑しつつ、お茶を手に静かに頷く。


「はは……“色々”で済ませていいのかな、それ……」


悠真が肩を竦めつつも、厨房の中から様子をうかがっている。


あの後の渋谷では、想像以上に事態が大きくなっていた。突然の異常な空気、原因不明の身体の硬直と恐怖。通報を受けて駆けつけた救急隊が次々と体調不良者を運び出し、やがて警察も動く事態に発展。

だが、調査が進むほどに原因は曖昧となり、結果――


「渋谷で謎の集団パニックが発生。ストレス性の発作か、はたまた都市伝説の再来か……!」


テレビのニュースがにぎやかに報じていた。


「ですが、まさか一人の女性が“睨んだだけ”であれを引き起こしたとは、誰も思わないですよね」


セリシアが苦笑まじりに言うと、ルシアはくすりと笑った。


「ふふん、ま、我の威光にひれ伏すのも当然のことよ。だが、あそこまでとはのぉ。ちと調整を間違えたかもしれぬ」


「いや、ちょっとどころじゃなかったって……」


悠真が思わず突っ込む。


あの時の“魔王の圧”は、魔力を持たない者にとってまさに“本能が恐怖する力”だった。捕食者に睨まれた獲物――そんな緊張感を、あの場にいた全員が体感していた。


「とはいえ、被害者扱いされて終わったんだから、結果オーライじゃないか?」


「そうです!悠真さんと私が“偶然通りがかった”被害者ってことにしたのも良かったですし!」


「お主たちの機転には感謝しておるぞ。ふむ……それにしても」


ルシアは口元を拭いながら、隣に運ばれてきた料理に目を輝かせる。


「この“明太子だし巻き”というやつ……たまらぬのぉ!」


「気に入ってもらえて良かったよ。ルシアは辛い物も好きって言ってたしね。ピリ辛明太にちょっと柚子胡椒も入れてある」


「なるほど、舌に広がる辛みと、ふわりと香る風味……魔族の宴でもそうそう出ぬ、深みある味じゃ!」


ご機嫌なルシアに、セリシアもふっと笑う。


「ほんとに……あなたは暴れたり威圧したりした後でも、平然とこうやって笑ってるのですね」


「ふむ? 我は“酒と料理”の前ではただの客じゃぞ?」


そう言って、ルシアは今度はグラスの冷酒を手に取り、ぐいと飲み干した。


「う〜ん、これもまた良い!香りが高く、喉に優しい……うむ、この世界、やはり食文化は極まっておる!」


「いや、その満足そうな顔を見てると、色々どうでも良くなってくるな……」


悠真が苦笑し、セリシアも肩をすくめながら頷く。


「でも、今日も無事に終われてよかったです。きっと……こういう日常が、私たちには大切なんだと思います」


「うむ、まったくもって同感じゃな! それでは、もう一杯……!」


「ちょ、飲みすぎないでくださいよっ!」


そう言いながらも、セリシアだけでなくルシアも悠真も頬がどこか緩んでいた。

異世界からやってきた彼女らが、この世界の“ささやかな夜の幸せ”を少しずつ噛みしめ始めていた。

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