プロローグ~前世の記憶~
勇者として異世界から召喚された天使族のフィル・ヨルムンガンド(男)がこの物語の主人公である。天使が勇者なんて…そんなこと…もあり得るのだ。勇者が人類だなんて誰が決めた!!まさか天使である私が召喚されるなんて…天使族は悪魔や魔王と同様に寿命は永遠に近い。誰かに殺されなければ…。
魔王は、サタン・メフィストフェレスである。サタンの名に相応しくとても強いとの噂だ。
天使族自体、この異世界では珍しいらしく、召喚士たちも戸惑っていた。そのため、人間の前では羽を見せないよう取り計らってほしいとのことだった。ではなぜ私を呼んだのだ?同じ人族にするべきだったのでは?異世界なんて迷惑極まりない。天使の為、召喚前から様々な聖属性のスキルや魔法を持っているが、更に授けてくれるというのだ。そんなにもこの世界の魔王は強いというのか。「収納ボックス」「生活用品一式」「宝剣」「お金」…スキルじゃないんかい!!え?それだけ?と思っていると召喚士の一人がこう言った。
召喚士「天使のあなたを召喚するために膨大な魔力を消費してしまいました…残念ですが追加のスキルを授ける力が残っておりません。。」
いやいや、知らねーよ!!それはそっちの落ち度だろうが!!天使族だから人間に感情移入とかしないんだよなあ…。とりあえず、「収納ボックス」「生活用品一式」「宝剣」「お金」、貰えるものは貰っておこうか。
そう言って、魔族には天使は天敵なはず!!レベルの概念もないようなので、そのまま魔王城を目指した。
魔族たちが人類側へ進行している様子を見ながら、特に気にせずに、立ちはだかる魔族どもをことごとく蹴散らして進む。順調すぎるくらいに。
フィル「いや~快適快適。」
天使なので、羽もある、武器も持っている、聖属性の槍が降り注ぐ「スピアー・バレット」により、敵も殲滅する。何も苦がない!!
そしてついに魔王城が見えてきた!早!!まだ召喚されて3日目だぞ!!
自分で突っ込みを入れながら、魔王城目指して飛んでいく、多分魔王は最上階だろう!!
そして「やってきたぞ!魔王はどこかな?」
魔族「何者だ貴様!!どこから入ってきた!!」
フィル「え?空だけど…」
魔族「そ、空だと…普通勇者って人族ではないのか!!」
フィル「そんなこと知らないねー天使である私を勇者として召喚したくせに何もくれなかった人間なんて」
魔王「はっはっはっ―――面白いことを言うのう。」
フィル「………」
武器を下ろし、落とした。
カランカラン…
魔王「ど、どうしたのじゃ!?」
フィル「魔王…名は何という…私はフィル…」
魔王「なんじゃ、そんなことか…サタンじゃ、一応女かのう」
フィル「………」
フィルはサタンに一目惚れをしてしまっていた。魅了されたのではない、ただ純粋に好きになってしまっていた。
サタン「ど、どうしたのじゃ…」
フィルをのぞき込む…
フィル「あまりにも美しすぎて…天生初の一目惚れをしてしまった…」
サタン「え?え?い、今なんと…」
フィル「だめだこんな美しく愛おしい彼女を倒すだなんて…人族めが…おのれぇ…」
ここで彼は提案をしてきた。一度、私を殺してほしいと、今のままでは魔族の敵でしかない自分ではサタンに伝えることすら出来ないと。転生して、天使族以外になるから、それまで待ってていてほしいと。彼は本気だった。
サタン「分かった…転生後まだおぬしの感情が残っているなら考えよう…」
初めて告白されたサタンは満更でもなかった。
フィル「サタンには殺してほしくない。彼女の配下よ、一撃で私を倒してくれ…。あと最後のお願いだ、サタン、私が転生するまでは人族との戦争を止めてほしい。傷付いてほしくない…」
サタン「…分かった」
こうして、フィルはこの世を去った。
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