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終乃刻  作者: コトノハ
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1.OOO 02

 病葉感染症。林倉市にのみ流行る病。有効な治療方法は無く、発症者は監獄こと病院に放り込むしかない。

 その症例が最初に確認されたのは10年以上前であるらしい。正確には確か、12年前に最初の感染、発症者が確認されている。

 この林倉市を出ることが無かったのは幸運でしかないと思う。ただ、そこに不断の努力があったのは間違いないだろう。

 病としては所謂精神疾患だ。鬱、対人恐怖症、ノイローゼ、自閉症他。ここ、林倉市ではそれらの病の一種として数えられている。これらは林倉市においてディゼストメンタルとも呼ばれている。まあそれは病葉発症者には然程関係の無い話だ。

 病葉感染症の厄介なところは感染しても発症するまでは感染者ということさえ解らないという点にある。従って病葉を発病したものは感染者ではなく、病葉発症者と呼ばれる事が多い。

 要するに感染者は真人間で、発症者は異常者という事だ。解りやすい分類付け。精神的に追い詰められておかしなことをするのは大体発症者ということだ。只の精神病と侮るなかれ。強迫観念でさえ人は人を殺すし、自らを殺すし、健康な肉体だろうと病は容赦なく体を蝕む。

 そして病葉はウィルス性の精神障害である。他の精神病に類を見ない点はここにこそあった。感染経路は未だに不明であるらしい。そもそも感染しようとも発症しなければ患っているとさえ解らないこの病は、何をどのようにしようとも発症するときは発症する。

 一応ウィルス性であるためワクチンは存在する。感染者はともかく、発症者に効果があったという話しは寡聞にして聞いていない。何せ本当に効果があるのならば俺は三度も巻き込まれていない。

 さて、精神病患者のあらゆる行動は精神病の為と判断される。抗議、沈黙は行為の否認、恐怖は妄想、言葉を切り返すと身を守る為となる。その人が精神的にどれだけ正しかろうと、一度精神病であると判断されればあらゆることをその精神病に紐づけられる。過去にトラウマがあれば病気の要因とされるのは珍しくない。何をしようとも患者に対して医者は親身になって付き添ってくれる。

 病葉はそれらに当てはまらない。病葉が発症した場合、身体が直接的に変化するからだ。

 最も、只の精神病であってもコレは珍しい話ではない。太る、痩せる、自傷行為に破壊行為。健全な精神は健全な肉体に宿るとはよく言ったもので、精神が病めば身体機能も同じ様に病んでいく。過食症の患者は異常に太り、妄想に浸って周りを巻き込む自傷患者がいる。

 だが病葉発症者はそんなものではないものを喪う。直接的に身体の一部を喪い、同時に精神の一部が欠けて落ちる。発症してしまえばそれからは転がり落ちるが如く。病葉発症者は解りやすい証がつくため、病葉発症者であると騙ることはできないのが幸いだ。人格の変貌、自己の喪失、強迫観念などの普通の精神病から始まり、果てには周囲への敵意の発散にまで至る。病葉発症者は些細なことで周りをどんどんと傷つけていく。

 何が厄介って、この病葉という病は重度の発症になれば現実に影響していくという点だ。周辺を自らの精神に従って異界化させる発症者もいれば、あるいは自らの肉体に『新たなる部位』を出現させる怪物がいる。異界化させるものは自分のテリトリーに引き籠り、自らを変貌させるものは自由に歩き回る。

 林倉市には未だにそんな病葉発症者が何人も歩き回っている。体を欠損している人を見掛けたらとりあえず通報しましょう。そんなポスターが至る所に貼られている。それくらいには病葉発症者による異常犯罪は増えている。それも、ここ一、二年の話で。他人事ではないというのが悩みの種。事故で体の一部を本当に只失っただけの人が本当に病葉発症者になる日も近い。

 ただ、異常犯罪の内、本物の病葉発症者はほんの一%。精々百件のうち一件程度のもの。だが林倉市に住む限りは誰もその存在を疑わない。それは俺も例外ではなかった。何せ実際に病葉の発症に巻き込まれているのだから、疑いようがない。

 なにより目の前の彼女がそれを否定する。赫利うつし。笑えないことに、彼女もまた病葉発症者である。自らの肉体を変貌させる類の発症者。何を喪い、どんな新患部があるのか、俺も知らない。

 未だに警察に捕まらず、監獄に入ったことのない発症者であった。そうでなくても俺の家に勝手に入ってきてんだからそもそも犯罪者だよね。警察本当に仕事してくれねぇかな。

病葉説明回。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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