終乃刻
某県林倉市林倉町。
十年ほど前に焼け落ちたこの都市は再開発がすすめられ、今なお開発中の都市であった。
その都市では一つの流行り病が存在している。
『病葉』と名付けられたその病は一種の精神病であるが、一度発症すれば精神のみならず肉体、そして空間さえも変質させる病であった。
かつて焼け落ちたこの都市は平和な街だったのだという。
最も、そんなことは露知らず、彼等は当たり前の日常を過ごしている。
過去に学び、現在を通り、未来に思いを馳せて生きるのがごく当たり前の人生というものだ。
彼もまたそんな一人。けれども彼自身、病葉ではなくとも、別の病を患っている。
『ああ、私は君を正しく認識している、と思う』
『人間というものは自らを形作るにあたって根本的に“他人”という事象が必要なのだ』
『そして、それを全て失った君は自らを形作るにあたって様々なものが足りていない』
『だが――ああ、素晴らしいよ、糸久時邦。何もかもが足りていないが故に君自身には大きな空洞が存在している。その空洞はあらゆる空想を許容する』
『すなわち、君は、理想的な』
黒い海辺、純白の満月が輝く夜。
それは悪夢の始まり。花開く美しい恋の音。
十年ほど前に焼け落ちたこの都市は再開発がすすめられ、今なお開発中の都市であった。
その都市では一つの流行り病が存在している。
『病葉』と名付けられたその病は一種の精神病であるが、一度発症すれば精神のみならず肉体、そして空間さえも変質させる病であった。
かつて焼け落ちたこの都市は平和な街だったのだという。
最も、そんなことは露知らず、彼等は当たり前の日常を過ごしている。
過去に学び、現在を通り、未来に思いを馳せて生きるのがごく当たり前の人生というものだ。
彼もまたそんな一人。けれども彼自身、病葉ではなくとも、別の病を患っている。
『ああ、私は君を正しく認識している、と思う』
『人間というものは自らを形作るにあたって根本的に“他人”という事象が必要なのだ』
『そして、それを全て失った君は自らを形作るにあたって様々なものが足りていない』
『だが――ああ、素晴らしいよ、糸久時邦。何もかもが足りていないが故に君自身には大きな空洞が存在している。その空洞はあらゆる空想を許容する』
『すなわち、君は、理想的な』
黒い海辺、純白の満月が輝く夜。
それは悪夢の始まり。花開く美しい恋の音。
前章 高崎邸回顧録 01
2021/06/06 15:34
前章 高崎邸回顧録 02
2021/06/07 18:00
前章 高崎邸回顧録 03
2021/06/08 18:00
1.OOO 01
2021/06/09 18:00
1.OOO 02
2021/06/10 18:00
(改)
1.OOO 03
2021/06/11 18:00
1.OOO 04
2021/06/12 18:00
1.OOO 05
2021/06/13 18:00
1.OOO 06
2021/06/14 18:00
1.OOO 07
2021/06/15 18:00
1.OOO 08
2021/06/16 18:00
1.OOO 09
2021/06/17 18:00
1.OOO 10
2021/06/20 23:28
1.OOO 11
2021/06/21 18:00