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つらつらと  作者: 藍香
とある女人
7/13

ハンカチ


あなたにはこの声が聞こえますか

なぜか他の人たちは返事をしてくれないのです。

それともやはりあなたにも聞こえないのでしょうか。

聞こえたのであれば返事をして欲しいのです。


...え!?聞こえているんですか!?本当に!?

あぁ、なんということでしょう。

神様は本当にいらしたのですね!!

本当に今まで長かった。

皆が私の声を無視し始めてからもう300年もの時が経ってしまったんだもの。

最初は半分くらいの人たちが返事をしてくれたのに、そのうち減っていって...

あなたの前に返事をしてくれたのは50年ほど前の方だったかしら。


すごく素敵な殿方でね。

最初にあったときに、私の持っているピンクのハンカチを褒めてくださったの。

不思議な方でしょう?

女性を褒めるとき普通はハンカチから褒めたりなんてしないもの。

でもね、最後になるまで私のことをとても大切にしてくださってね。

女性慣れしていないのかしらっていう...あら?今の方々はなんとおっしゃるのでしたっけ。

えーっと。あ! ”ウブ”だわ。

これでも私、今の人たちのブームも勉強しているのよ。

そうそうそれでね。彼のウブな反応も可愛くて。

ついつい我慢できなくなってしまったの。

ほんと、はしたないわよね。今思い返しても扇で顔を覆ってしまいたくなるくらいに恥ずかしいの...


でもあんまりにも彼が可愛くて、愛おしくて...早く恐怖に歪む顔を見たくなっちゃったの。

だからね、彼の褒めてくれたピンクのハンカチで腕と足を私に縛り付けて、愛の言葉をささやきながらおいしくおいしくいただいたの。


彼のあの顔は本当に美しかったわ。普段は可愛らしい顔に見えたのに、恐怖に歪む顔は美しかったの。

...あら?何をもじもじしていらっしゃるの?

もしかしてほかの殿方のお話をずっとしていたから、妬いてしまったのかしら?

ごめんなさいね。つまらなかったわよね。


え?違う?逃してくれって?

いやよ。だって50年ぶりのご飯だもの。

ねぇねぇ。早く、もっと恐れて頂戴。

ああ。その顔いいわね!!


じゃあ表情が変わる前にいただいてしまいましょう。



...いただきます。


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