ことの終わり
「ねぇパパ、つまんないー」
「静かにしなさい!!」
そんなんことを言ってくる息子のロイを慌てて嗜める。
周りを見渡して...よかった兵士はいないようだ。ほっと息を漏らす。
そのままロイを見ると少し涙目になっていた。
言いすぎたか...
確かにお城の人たちに聞かれたら下手したら命も取られかねないが、そんなことまだ幼い身じゃわからないだろう。
それにつまんないというのも仕方ないよな。
俺ですら、顔も見たことのない王様の葬式なんて正直言ってめんどくさい。
しかも、情が生まれるほどいい王様ってわけでもなかったしなぁ
それなのに悲しんでいる振りくらいはしておかないとお城の人たちに何を言われるかもわからないし。
周りを見渡しても俺ら平民の思うことは一緒なようだ。
少し違うのは少し裕福な商人とかか。なんだか今回の王様の死因は毒だったらしい。
かわいそうな人だなぁ、とは思う。
だって、ちょうど今から3ヶ月前くらいのことだったかな。王様がまだ成人する前から婚約していたお妃様に毒殺を謀られて騒ぎになったのは。
幸い事件は未遂で終わったみたいだし、お妃様はその場で捕まった。というか、自害したんだけど。
お妃様は俺らみたいな平民にもたまに顔を見せてくれる美人で優しい人だったから、ショックだったなぁ。
で、その事件から1ヶ月も空けないうちに新しいお妃様を王様は迎えたんだぜ?いくらなんでも早すぎるよな。まぁ王族の事情なんて俺にはわからないんだけど。
少し最初のお妃様をかわいそうに思っていたらこれだよ。
王様は、まだ今のお妃様を迎え入れて2ヶ月くらいなのにそのお妃様に毒殺されたんだと。
なんか、全然警戒しいていなかったのか、今のお妃様の頭が良かったのかわからないけど、全くここまで連続すると王様もかわいそうだぜ。
...あ、そろそろ葬式も終わるな。うわっロイが寝かけてる。あぶねぇなぁ。
そういえば、今日の夕飯はロイの好物のグラタンだって妻のリーシエが言ってたな。
よし、それを教えて家まで頑張って歩いてもらわないと、もうそこそこ大きくなったから担いではいけないもんなぁ。
さて、帰るか。