表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つらつらと  作者: 藍香
とある王国の騒動
1/13

ことの始まり

 ードクンードクンーあぁ。あの方が何かおっしゃっている。


あの深く、深く、青の吸い込まれそうな瞳が私を見る。


そう。このために私は20年間も耐えて、耐えて、生きてきたの。


でも残念ね。せっかくあの方の瞳が心がこちらを向いたのに、視界が霞む。


あの方の言葉を聞いていたいのに、自分の心臓の音がうるさくて聞こえない。


ふと何か熱いものがせり上がってきて、吐き出す。


吐き出したものが私が着ている純白のドレスを真っ赤に染める。


あぁ、せっかく新調したものだったのに汚れてしまった。


でも、吐血したということはもう終わりなのね。


ならばせめてあの方に見られる顔は笑顔でありたい。

だから、ニコリとあの方と出会ってから初めて浮かべる心からの笑顔で幕引きといたしましょう。


痛みでこわばっている頬の筋肉を無理やりあげて微笑んで目を閉じた。


あぁ、あの方に見つめられながら死ねるなんて、なんて幸せな最後なのでしょうか。



生まれたからこのかた感じたことがないほどの満足感に包まれながら、ゆっくりゆっくり重たくなった瞼を下ろした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ