お勉強【適正魔法 ①】
――翌朝、私はいつものように朝食を食べている。
今日からはダイアも加わって一日の予定を話す。
「カナは食べたら昨日の魔法の続きをしよう。基礎魔法は出来たから、カナが使える適正魔法があるかを確認しようね」
「分かった。頑張る!!」
「魔力量には注意してね。疲れたと思ったら、ちゃんと言う事」
「何かあれば、すぐに対処出来るようにするから心配はしなくていい」
真剣に言うルイと、にこやかに笑うダイアに頷いて答える。
朝食を終えた私達は、三人で庭に出た。
「まずは光魔法から見てみようか。ちょっと日陰に移動して、火魔法と同じで指先に魔力を集めて光が灯るのを想像してね。それが出来たら《ライト》って唱えてごらん」
ルイに言われて、魔力を指先に集めて電球を思い浮かべる。
「《ライト》」
指先を見てみると、電球のように光っているのが分かった。
「すごいよ!! 出来たね。光魔法に適正があるって事は回復魔法も使えるようになるよ」
「適正魔法の中でも光魔法の適正を持つ者は二番目に少ないからな。すごい事だ」
ルイの言葉にダイアも頷きながら満面の笑みで褒めてくれて、嬉しくて笑顔になる。
「ありがとう!! でも二番目って事は一番難しいのは?」
「結界魔法だな。結界魔法の適正がある者はかなり少ない。国からは厚待遇で扱われて高い地位にいる者も多いな」
「そうなんだ。結界魔法ってすごいんだね」
ダイアとそんな話をしていると、ルイは私をじっと見つめて言った。
「カナ、結界魔法の適正を見るからやってみよう。手を前に出して、魔力がカナの前で壁になるように想像したら《ウォール》って唱えてごらん」
ルイの言葉に頭を切り替えて、目を瞑って魔力を手に集中させる。
「《ウォール》」
目を開けて呪文を唱えると、魔力が手から外へ流れ出るのが分かった。
魔力はそのまま私の前で、ガラスの壁のようになるが、魔力を流したままにしなければ、その状態を維持していけない。
魔力が少なくなるのを感じて流す事を止めると、ガラスの壁はパリンと弾けるように消えた。
「はぁ……疲れた……」
私は脱力感と共にその場に座り込む。
「カナ!!」
「カナ!! 大丈夫かい!?」
呆然と見つめていた二人だったが、私が座り込むと慌てた様子で駆け寄ってくる。
「大丈夫なんだけど、ちょっと疲れたぁ」
ダイアに抱き上げられながら、心配そうな顔をした二人に笑顔で答えると、二人の顔が安心したような顔に変わる。
「まさか使える者が一握りの結界魔法が出来るとはね。ただ魔力もだいぶ使ったようだから、休憩しよう。ダイア、カナを中に連れて行っておくれ。念の為、薬を持ってくる」
ダイアは頷くと、そのまま私の部屋まで運んでくれる。
「カナ、手足が痺れたり、頭痛したりはしないか?」
私をベットに下ろしながら、ダイアは心配そうな顔をする。
「痛いとかはないよ。ただ魔力を沢山使ったから、ちょっと体が重い感じはする」
そこにルイが小さな小瓶を持って入ってきた。
「カナ、これはあたしが作った魔力回復の薬だよ。完全な魔力切れではないにしても飲んでおきな」
「二人共ありがとう。心配かけてごめんなさい」
ルイから小瓶を受け取って飲んでみると、ちょっと酸っぱさが残るハチミツレモンみたいな味がした。
「なんか体がぽかぽかしてきた……」
「魔力が体を循環してるんだよ」
目を瞑ると確かに魔力が体を少しずつ巡っていって増えていくような気がする。
まるでお風呂に浸かってるような心地よさに眠くなってしまった私は、そのまま眠りについた。