初めての街 2
部屋にノックの音が響いて、シャンクさんが入ってくる。
「お待たせ致しました。今回納品分からお代は引かせて頂いております。ご確認ください」
シャンクさんは手に持っていたカバンと一枚の紙をルイに手渡す。
「いつもありがとう。助かるよ」
ルイはそう言って、紙に書いてあるリストを確認しているようだった。
「問題ない。シャンク、ありがとう」
ルイは笑顔で言うと、シャンクさんはお辞儀をした後、またナルカナさんの後ろに戻った。
「さて、じゃあ帰ろうか」
笑顔のルイに、私は頷いて答える。
「また何かあれば言ってくれ。あと次回の納品もよろしく頼む。カナ殿、またお会いしましょう」
ナルカナさんは笑顔でそう言った後、入口まで見送ってくれた。
ナルカナさんのお店を出て、街の入口に向かって歩く。
「カナ、何か食べてから帰ろうか」
「いいの!? ありがとう!!」
ルイに言われて笑顔で返事をする。
実は沢山歩いたから、少し小腹が空いていたのだ。
それにこっちの世界のお店に興味もあった。
ルイと手を繋いで、街の入口近くにある広場みたいな所に来た。食べ物の出店が沢山あって目移りしてしまう。
フルーツジュースとお肉のサンドイッチを買って、ベンチに座って食べる事にした。
「美味しい!!」
サンドイッチを一口食べると、お肉がとても柔らかくて、野菜もシャキシャキ、何より甘辛いソースはパンとの相性も良くて美味しかった。
フルーツジュースも、イチゴミルクみたいな味でこれも美味しい。
「ルイはこの街にはよく来るの?」
食べながらルイに聞くと、ちょっと困ったような顔をしていた。
「ナルカナの家とは、ずっと付き合いがあってね。あまり人と関わりたくないから、この街に来てもナルカナの所に行って帰るだけだった」
「もしかして、ルイは私の為に無理してる?」
「そんな事ないさ。カナと出掛けるのは楽しかったよ。あたしも誰かと一緒に居るのは久しぶりなんだ。それに、せっかくだからカナには沢山笑顔になってもらいたいと思ってね」
そう言うとルイは、ニコッと笑顔になる。
私はそんな風に言ってもらった事が嬉しくて、ルイに笑顔を返す。
サンドイッチとフルーツジュースを堪能した私達は帰る事にした。
――森の入口まで戻ってくると、そこにはクロヒョウがいた。
「あ、あなたは昨日の子?」
「あぁ。この子はあたしが前に怪我してたのを助けた事があってね。それ以来よく顔を見るようにはなったんだけど、昨日もこの子について来いって言われて、ついて行ったらカナと出会ったんだよ」
クロヒョウは近づいて来ると、私の頬をペロッと舐めた。
私はくすぐったくて笑顔になる。
「驚いた。よっぽどカナを気に入ったようだ」
ルイは目を見開いてその様子を見ていた。
私はクロヒョウの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めてゴロゴロ喉を鳴らす。
撫で終わると満足したのか、もう一度私の頬をペロッと舐めた後、森の中に消えていった。