第一章:第三話:森の中での邂逅
第一章:第三話:森の中での邂逅
「ふっふっふ〜ん」
朝露が降りる森で鼻歌を歌いながら一人の少女が歩いている。
少女は、銀色の綺麗な髪を背中まで伸ばし、瞳にはアメシストのような色合いを輝かせている。
少女は、家族三人で暮らしていた。母親と妹との三人暮らしである。父親は少女が幼い頃に亡くなった。暮らしていたといのも現在、母親が病気にかかり、その病気を治す薬を買いに隣国であるシェントゥルム共和国に行く途中なのである。
少女が歩いていると茂みからウサギが飛び出してきた。ウサギは少女の前を横切ると、森の奥へ逃げていった。
「かっわいぃ〜?待ってよ〜」
少女もウサギを追いかけ森の奥へと走っていった。
・・・・・・
「あれぇ?いないなぁ?どこ行っちゃったのかな?」
少女がそう呟いていると、後ろの茂みから物音がした。
「ん、ウサギかな?」
少女が振り向くと、そこには、下卑た笑いをした三人の男達がいた。
「おっ、気配がするから見に来てみりゃ、女がいんじゃねえーか!」
「あぁ、しかも上玉じゃねーか!最近は女を抱いてなかったし、ちょうどいい」
「そうだな、その後は娼婦館にでも売り飛ばすか。きっといい金になるぜ?」
三人はそう言うと、ナイフを取り出す。
「ひっ!?」
少女は逃げようと後退り…、と背後に木が当たる。
「!?」
男達はナイフ片手に少女を囲んだ。
「無駄な抵抗すんなよ。何も殺したりしねーさ、ただ逃げたり、暴れたりしたら痛い目にあうかもしれねーけどな」
「そん時は、体に覚えさせればいいさ」
「あぁ、傷でもつけたら商品価値が下がるからな」
―――どうしてこんなことに…このままじゃ、お母さんに薬を買って行けないよ、マイだってお姉ちゃんの帰りを待ってるのに…誰か、助けて…
少女は瞳に涙を浮かべる。だが、男達はそんなことも気にせず距離を縮めてくる。少女は恐怖から叫ぶ。
「イッ、イヤ!だっ、誰か助けて…キャァ〜」
少女の悲鳴が朝の森に響く。
「へっ、そんなに声出しても誰も助けに来ねーよ」
「あぁ、こんな森の奥まで人なんか来ないさ、こんな朝早くならなおさらな」
「だが、五月蝿いのもなんだし猿ぐつわでもかませるか」
男達の手が少女に触れようとしたとき、
「オイ、お前ら!俺の国(まだ予定だけど)で何してるっ」
四人が声のした方へ首を振り返かせると、馬に跨り金髪を靡かせ、ルビーよりも紅い眼を持った少年がこちらを向いて佇んでいた。
―――誰?あの格好いい人?もしかしなくても助けに来てくれた人?
「あぁぁ?誰だ、お前ぇはっ」
「俺らの邪魔してんじゃねーよっ」
「死にたくなければ俺らの前から消えろ」
男達はヴィントの方へ体を向け、ナイフ片手にそう脅す。
「群れなければ何も出来ない屑のくせによく吠える、お前ら程度の相手じゃ俺には役不足だな...さっさと消えろ!」
ヴィントは馬から飛び下り、剣を抜き、目に止まらぬ速さで迫ってきた三人のナイフを遠くへ弾き飛ばした。
「クッ」
「チッ」
「ムッ」
「だから言ったろ?お前らじゃ俺の相手は無理だって。さて、どうする?このまま負け犬らしく尻尾巻いて逃げるか?
それとも...この剣で地獄に送ってやろうか?」
ヴィントが男達にそう聞くと、
「「「クソっ、覚えてやがれっ」」」
と、男達は捨て台詞を残して逃げていった。
さて第三回、登場人物の名前の由来は?(仮)の始まりです
今回はアインス王、マール、シュトラント夫妻と二人の息子のザルツ、ヴァッサーの五人です。
はじめにアインス王の由来から、彼は【一】です。初代なんで…次、マールは【海】、シエロの空に対応しています…ちなみにこの姉妹だけ今のところスペイン語です。ドイツ語だとしっくりこなくて…さて、マールの夫シュトラントは【浜辺】です。海の側にあるということで…ちなみに婿で王位継承権は、ありませんでした。アザ無いんで。最後に今のところ出番が無く、今後も出番が未定の息子二人です。まず兄のザルツから、彼の由来は【塩】で、ヴァッサーが【水】です。これも海から取ってます。
以上で今回は終わりです。長い後書きですね。次回もどうぞよろしくお願いします。