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第三章:第十話:研修二日目(3)

評価、感想お待ちしております。

 

第三章:第十話:研修二日目(3)

 

・・・・・・

 

 ラオトside

 

「い……って、ここは?」

 

「どうやらスタート地点の近くみたいだな。」

 

 カッツェの転移魔法によって崖の上に送られた二人は辺りを見回し、現在、自分達がいる場所を把握する。

 ただ、エルンストは詳しく状況を把握していなかったので何が起きたかわかっていない。

 

「何がなんだか…ねぇ、ラオト君はこの現状を把握してるかしら?」

 

「とりあえずは…オレらが体力も魔力も少ないからって、スタート地点の救護所に魔法で送られたみたいだ。」

 

 よっと、ラオトは地面に座り込んで胡座をかく。

 その言葉を聞き、気丈に振る舞っていたエルンストも座り込んだ。

 

「全く…それにあの猫は一体何なのよ。」

 

「アイツの娘の召喚獣だとよ。」

 

「あの歳でっ!?」

 

 エルンストはラオトの言葉に驚愕する。

 召喚獣は基本的に自分より弱いモノを使役するものだからだ。

 

―――あの猫が転移魔法を使ったのよね、転移魔法なんて上級の魔法が使える召喚獣を使役してるって…じゃあ、あのメートヒェンって子は一体?

 

「あの野郎といい、あのメートヒェンって子にしても、本当におんなじ人間とは思えねぇよ…」

 

 注:二人とも半分は人間では無いので…

 

「それにしても、私達の研修もこれで終わりかしら…」

 

エルンストが深く溜め息を吐く、ラオトもつられるように息を吐いた。

 

「せめてあの二人には無事に研修を終えてもらいたいものね…」

 

「そうだな…けど、二人とも補助系だからな…まぁ、オレら二人とも攻撃系だったからあんな幻に掛かったんだけどさ…」

 

 ラオトは後ろに手をついて空を見上げる、そこは何にも遮られることない蒼空があった。

 

「そうね、もう少し慎重に進むべきだったわね…まさか、はぐれるとは…手を繋いでた方が良かったかしら?」

 

「いや、そしたらとっさに動けなくないか?」

 

 霧によりグループがバラバラになった事について反省会を始める二人だった。

 

 ラオトside end

 

・・・・・・

 

 アオスラントside

 

「ハァハァ…」

 

「もう…大丈夫…かな…」

 

 なんとか洞窟の奥まで逃げてきた私達だけど…

 

「ルーイヒ君…」

 

「あっ、ごめんね、手を握ったままだったね…」

 

 ルーイヒ君はパッと私の手を離して視線を迷わせる。

 

「ううん、ルーイヒ君は私の事引っ張ってくれたんだもん、ありがとう。」

 

「ど、どういたしまして。」

 

「ただ…」

 

「ただ?」

 

「ここ、どこだろ?」

 

「………へっ?」

 

 どうやら私だけでなくルーイヒ君も道に迷ったようだ。

 本当なら入り口から方角を確認しながらマッピングするハズだったんだけど、魔物達に襲われてがむしゃらに逃げ回ったから現在地がわからない……どうしよう…

 

「僕達、どっちから走ってきたっけ?」

 

「あっち?」

 

 私達は辺りを見渡す、洞窟内には毎年研修を行うからか光苔が壁に繁殖していて、光源には困らなかった。

 

「あっ、こういう時って風の流れる方に向かえば出口に行けるんじゃなかったっけ?」

 

「そういえば…授業でそう習ったね、うん、風の流れを探してみよう。」

 

 ルーイヒ君はそう言うと、鞄の中から松明を出した。

 

「あれ?松明なんか使わなくても明るいよ?」

 

「あぁ、煙を出そうと思って…風が流れてら煙が靡くでしょ。」

 

「成る程〜」

 

 松明に火をつけると煙も少しだけ上がり、煙が靡いた。

私達は煙が靡く方向へと歩いて行った。

 

・・・・・・

 

 松明から上がる煙が靡く方向へ進んできたけど…

 

「え〜と、行き止まり…?」

 

「あっ、この亀裂から風が流れてきてるみたいだね。」

 

 縦2mほどで拳が入るぐらいの幅の亀裂を松明でを照らす、そこから風が流れてきているようでルーイヒ君の持つ松明の火が揺れた。

 

「これからどうしよう?」

 

「とりあえずきた道を戻ってみようか?」

 

 私達が頭を捻って考えていると、なんだか地響きのような音が聞こえてきた。

 

「ねぇ、ルーイヒ君、この音って…」

 

「うん、なんか段々音が近付いてきてるよね…」

 

 どうやら、私達のところへ何かが向かって着ているみたいだ。

 

ゴゴゴゴゴゴッ

 

 あれ?音が止んだ………?

 

・・・ドッオォォン

 

「キャァァァァァァァァァ」

 

「ウワァァァァァァァァァ」

 

 私達の背後の壁から大きな“何か”が岩を砕いて飛び出してきたっ!?

 

「な、な、何っ!?」

 

「ま、魔物みたいだ…」

 

 全長10mはあろうかという巨大な蜥蜴の魔物が岩壁に張りついて私達を見下ろしている。

 ただ、その体に皮も肉も無く、白骨化していて、眼には不気味な光が漂っている。

 

「すごく危ない状況だよね、コレ…」

 

「そうだね、ラオトもエルンストさんもいないし…この状況はよろしくないね…」

 

 私達は補助系魔法の使い手で攻撃系の魔法は出来ない、いや、私も一応攻撃系は使えるけど、その威力は高が知れてる。

 

「グアァァァ〜〜〜〜〜〜」

 

 魔物が岩壁から勢い良く私達に襲い掛かってきた!?

 

「くっ、光よ、襲い来る敵から我が身を守れ【リヒト・ヴァント】(光の壁)」

 

「グアッ!?」

 

 ルーイヒ君の出した光の壁に阻まれて激突するが、魔物はすぐに後ろに下がって体制を整え、地を這いながら私達に迫り来る。

 

「ッ!?、【ボーデン】(地面よ)【】(敵が)【ドゥルヒファレン】(落ちる)【ロッホ】(穴を)」

 

 私の呼びかけに魔物の進路の地面に穴を作り上げる。

 

「グアッ」

 

「なっ!?」

 

 しかし、魔物は直前で空中に飛び上がって穴を避ける。

 そしてそのまま私達に再び襲い掛かってきた……

 

「グアァァァ〜、グガッ………」

 

ドッガァァァン

 

「えっ?」

 

 空中にいる魔物に何かが追突したかのように体をくの字に曲げ、壁に激突した。

 

「何が…起きたの?」

 

「僕もわからない…」

 

 私達は突然の出来事に何が起きたか全くわからなかった…

 

「おっ、無事みたいだな…」

 

 私とルーイヒ君は壁に激突した魔物から声のした方向に目を向ける。

 

「いや、無事なの?今のは危なかったでしょ…」

 

「まぁな…メーヒ、良くやったな、偉いぞ。」

 

「えへへへ…メーヒ、すごい?」

 

 黒猫を頭に載せたメーヒちゃんは嬉しそうにヴィオ先生を見上げる…

 今…あの猫ちゃん、喋んなかった?

 

「うん、今のはなかなか上手く出来てたよ。」

 

 やっぱり喋ってる!?

 私とルーイヒ君が見つめる先には、私達がさっき歩いてきたところからヴィオ先生とメーヒちゃんがこちらに向かってきていた…

 

 アオスラントside end

 

・・・・・・

 

ヴィントside

 

「さてと…」

 

 ヴィントは剣の柄に手を伸ばして壁に激突した魔物に備える。

 

「それにしても気味悪い野郎だったな…」

 

「アイツは確か…クノッヘン・アイデクセ(骨蜥蜴)だったかな…地中深くに巣を作っている魔物だよ。」

 

「へぇ、ならこの辺に巣でも作ってたのかね…」

 

 ヴィント達はアオスラント達のところへ駆け寄る。

 

「どうやら怪我は無さそうだな…」

 

「はい、それにしても、良くわかりましたね、僕達がここにいるのが…ふぅ…」

 

ドサッ

 

「だいじょうぶ?」

 

「うん、大丈夫…」

 

 ヴィント達がきて、二人は安心したのか地面に座り込んでしまった。

 

「さっきラオト達を見つけたんだが、お前らとはぐれたって言うから洞窟ここまで様子を見に来たら、入り口には壁があって魔物達が集まってるわ、洞窟内に入って見れば、大きな音にお前らの悲鳴が聞こえるわで大急ぎで駆けつけた訳よ…」

 

 ヴィントはクノッヘン・アイデクセが激突して上がった土煙から目を離さずにルーイヒの疑問に答える。

 

「そういえば、ラオト達はどうしたんですか?」

 

 ルーイヒは首を振り、辺りを見回す。

 

「アイツらなら衰弱してたから崖の上の救護所に送っといた。」

 

「そうですか…とりあえずは無事なんですよね?」

 

「あぁ、心配するな。」

 

「良かった…」

 

 ルーイヒは深く溜め息を吐いた。

 

「ヴィオ、来るよ…」

 

「あぁ…」

 

「そういえば、君は?」

 

「カッツェ、メーヒの召喚獣だ。」

 

 ルーイヒの問にヴィントは短く答える。

 

「メーヒちゃんのっ!?」

 

「うん、カッツェはメーヒのおともだちなの♪」

 

 アオスラントの驚きの声にメートヒェンが返すが、アオスラントもルーイヒも驚きを隠せない。

 ヴィントとカッツェは三人の会話を背にクノッヘン・アイデクセに備える。

 ヴィントは再び剣の柄に手を伸ばし、カッツェは身を低くして臨戦態勢に入る。

 土煙が晴れるとそこには、大してダメージを受けてなさそうなクノッヘン・アイデクセがこちらを睨んでいた。

 

「フッ」

 

 ヴィントは剣を抜き、クノッヘン・アイデクセとの距離を詰め、剣を振りかぶる

 

「ハァァァ」

 

ガッキーン

 

「くっ…」

 

 ヴィントの繰り出した一撃は、その硬い骨を切断するどころか罅を入れることも出来なかった。

 

「チッ、硬いな…」

 

「ヴィオッ、アイツの体は長い年月の間、大地の圧力によって高密度になっているから物理攻撃には強いんだ。」

 

「先に言えっ、バカ!」

 

「なっ、君が勝手に先に行ったんじゃなか、ムカついた…【ウン・ウンターブロッヘン・ダオアーン・アイネ ミリオーン・ブリッツ・シュラーク・】(絶え間なく続く百万の落雷)」

 

「ちょっ、お前…チッ…」

 

ドッガァァァン、ドドドドドドドッドォォォン

 

「おぉぉ〜」

 

 メートヒェンは興味津々に絶え間なく続く百万の落雷を見つめる。

 その横でカッツェは荒く息を吐いていて苦しそうにしている、大量の魔力を消費し疲労しているのだ。

 アオスラントとルーイヒはただただ目の前の光景に唖然とするしかなかった。

 

「ふんっ………………………………ちょっと、やりすぎたかな…」

 

 メートヒェン以外の二人はコレはちょっとどころではない、と心から思った。

 

「ヴィオ、生きてるかな…」

 

「あっ、おわっちゃた…」

 

 絶え間なく続く百万の落雷は終わりを告げたが、土煙が視界を邪魔してヴィントの安否を確認する事が出来ない。

 

「大丈夫かなぁ…」

 

「いってみよ、カッツェ。」

 

 メートヒェンはそう言うと、土煙のところへ駆けていった。

 

「待ってよ、メーヒ。」

 

 カッツェもメートヒェンの後を追いかけて行き、その場にはアオスラントとルーイヒが残された。

 

「何がなんだかわからないね…」

 

「そうだね…」

 

「私達も行こうか…」

 

「うん…」

 

 二人はゆっくりと立ち上がり、メートヒェン達の後を追いかけた

 



 まだまだ続く研修二日目、いつになったら終わるか…

 ユニーク数が多分、今回の話で一万を突破すると思うので、ユニーク数一万突破記念に、次回の投稿は何かをやると思いますので、次もよろしくお願いします。

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