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第三章:第四話:ヴェステン魔法学院

お待たせしました〜

評価、感想お待ちしております。


 

第三章:第四話:ヴェステン魔法学院

 

・・・・・・

 

 陽が昇り、四人は朝食を済ませ、身支度を整えるとヴェステン魔法学院に向け、出発するのだった。

 

五時間後

 

 四人は途中、何度か魔物に襲われながらも無事、それを凌いだ。

 道中の会話や休憩などでヴィント達とフォルシャーは互いに友好を深めた。

 そして、やっとのことでヴェステン魔法学院に到着したのだった。

 

「さぁ、着いたよ…ここがヴェステン魔法学院だ。」

 

「わぁ〜、お城みたい…」

 

「おっきい〜♪」

 

「うん、学院は昔、王の住む王城だったからね…それが、王都移動によりこの旧王城をヴェステン魔法学院することを王様が決めたんだ。」

 

 アプリル達の感想にフォルシャーは、ヴェステン魔法学院の開院の歴史を説明する。

 

「さて、早速だけど学院長に会いに行こうか…」

 

「はい。」

 

 四人は教師達が待機している職員棟へと向かう。

 まだ昼前だからか、周囲に学生の姿は見当たらず、辺りはシーンと静かだった。

 アプリルはボソッと呟く。

 

「人が見当たらない…」

 

「ん?あぁ、今は午前最後の授業中だからね、あと30分もしたら昼食を外で食べに出てくるよ…」

 

「そういえば、何人ぐらいがこの学院に在籍しているんですか?」

 

「初等部から中等部、高等部、専攻部と教師や事務員等を合わせて3000人ぐらいかな、あぁ、ちなみにヴィオ君には高等部を受け持ってもらいたいんだよね。」

 

『ヴェステン魔法学院』

 

 学生達は七歳になる年に入学し、初等部に六年間、中等部に三年間、高等部に三年間、専攻部に二年間の計十四年間の期間を学院で過ごす。

 初等部では、基礎的な魔力の扱い方や初歩の魔法を覚え、他には、読み書きや道徳などを学ぶ。

 中等部では、中級の魔法やビューネ大陸の歴史、各国の特色など様々な分野の事を学ぶ。

 高等部になると、中等部の時に習った事を更に深く学習したり、実際に模擬戦を行ったり、魔物を退治したりと魔法の技術を深める。

 専攻部では、魔法を医療や魔法薬、戦いの為、他に日常に役立つ新たな魔法を考えるなど多岐の分野に別れて学習する。

 そして、各学年、二百人程の人数で学んでいる。

 

「高等部って…俺、まだ十七なんですけど…」

 

―――十七歳といったら、高等部の二回生と同じ年齢だろ…同年代の教師と学生というのはどう考えても変だろ…お互い、絶対に戸惑うだろ…

 

「うん、そうだね。」

 

「いや、そうだねって言われても…」

 

「う〜ん、けど、初等部と中等部はそこまで教師が少ないって訳じゃないからね…えぇ〜と、魔法が上手い教師が高等部を受け持つんだけど、魔法が上手いって事は戦争に行かされるって事だからね、必然的に高等部の教師の数が足りなくなったんだよね…」

 

「まぁ、そうなりますね…」

 

「そう言うことだよ、さて、そろそろ学院長室に着くよ…」

 

 四人が歩いていた廊下の先には遠くからでもわかる立派な扉があった。

 分厚い樫の木で出来た扉の目の前までくると、扉には『学院長室』の文字が刻まれた真鍮のプレートが嵌まっていた。

 フォルシャーは深呼吸をすると、軽く拳を握って手を上げる。

 

コンコンコン

 

「どうぞ、開いてますよ。」

 

扉の中から了承の意を持つ男性の声が聞こえてきた。

 

「失礼します、魔法薬研究所所員のフォルシャーです。」

 

 フォルシャーは一礼して室内に足を踏み入れる。

 彼に続いてヴィント、アプリル、メートヒェンが室内に会釈をして入る。

 そこには、学院長室の中央にある大きな執務机の向こう側、後ろの大きな窓からの太陽の日差しを一身に浴びる若い男性が上品な笑みを浮かべていた。

 

「こんにちは、フォルシャー君、君の後ろの方々は?」

 

「はい、今日は私の代わりの新しい教師が見つかったので、学院長にお知らせに来ました。」

 

「新しい教師、ですか?」

 

「はい、こちらのヴィオ君がそうです。」

 

「ヴィオ・・・ですか、そちらのお嬢さん達は?」

 

「ヴィオ君の恋人のアプリルさんと娘(?)のメートヒェンちゃんです。」

 

「ほう、ヴィオ君の恋人さん(・・・)と娘さん(・・・)ですか…」

 

「はい、ヴィオ君は若いながらも高度な魔法もでき、実戦的な魔法の扱い方も上手く教師には不足ない程です。」

 

「そうでしょうね…」

 

 学院長は小さく呟く。

 

「はい?何でしょうか?」

 

「いえ、名前を名乗るのを忘れていましたね、私はレクトアと言います。よろしくお願いしますね。」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

「フォルシャー君。」

 

「はい。」

 

「この方々と詳しい話をしたいから、君は席を外してくれるかな?」

 

「はい、わかりました。」

 

 フォルシャーはレクトアに再び一礼すると学院長室を後にした。

 

「さて、ヴィオ君、いや…ヴィント王子、お久しぶりですね…」

 

「前にティンにもすぐバレましたけど、やっぱりわかります?」

 

「そうですね、魔法であなたを王子と認識出来ないようにしているようですが、ゲッティン様…彼女も蒼の巫女ですからね…それに、これでも私は、ヴェステン魔法学院の最高責任者ですからね…」

 

「見かけはお若いままですけど、大陸一の魔法使いの名前は伊達ではないですもんね…」

 

「そんな、ヴィント王子こそオステン王国次期国王にして、魔法、剣術など一流の腕じゃないですか…」

 

「そろそろ世辞はコレぐらいにしましょうか…」

 

「そうですね…そういえば、アプリルさんとメートヒェンちゃんでしたか…お二人とヴィント王子の関係はフォルシャー君が説明した通りなんですか?」

 

「えぇ、そうですね…リル、メーヒ、まだちゃんとレクトアさんに挨拶してないだろ。」

 

「えっ、えぇと…わっ、私はアプリル・フリューリングっていいまふ、一応、ヴィオの恋人をひてましゅ…」

 

「フフッ、緊張しなくても大丈夫ですよ…アプリルさん。」

 

「は、ハイ…」

 

―――久しぶりに噛んだな…どうもお偉いさん相手には噛むみたいだな…

 

 ヴィントがそんなことを考えている時、アプリルは顔を赤くしてシュンと俯いていた。

 

「メーヒはメートヒェンっていいます、メーヒってよんでほしいの♪」

 

「メーヒちゃんですか、可愛いお名前ですね…」

 

「ありがとうなの♪」

 

 三人は、レクトアにソファーに座る事を勧められ、学院長自ら淹れた紅茶とお茶菓子を頂く事になった。

(レクトアの趣味:紅茶〈部屋に数十種類の紅茶を完備〉、お菓子作り〈学院長室の奥にキッチン完備〉)

 その後、ヴィントはアプリルが母親の薬を求めて旅をしている時に出逢った事やメートヒェンの母親の事などを話した。

 

「そうだったのですか…あなた達がメーヒちゃんを引き取ったのはその子の生まれが原因ですか?」

 

「「!?」」

 

「バリッボリッ、?」

 

「なんで…?」

 

「これでも、長生きしてますからね…わかりますよ…まぁ、だからといってメーヒちゃんをどうにかする訳でもないんですけどね…」

 

 レクトアは優雅に紅茶を飲み一息つくとまた話しを進める。

 

「メーヒちゃんはどうやら吸血鬼との混血みたいですね…」

 

「流石ですね…」

 

「君も色々あるみたいですけどね…」

 

「!?」

 

「まぁ、君の場合は光と闇が打ち消し合っていて極僅かな雰囲気しかわかりませんがね…」

 

「全部お見通しですか…」

 

「アプリル君は…」

 

「私もですかっ?」

 

「・・・いや、どうやら私の勘違いのようです。」

 

「そうですよね、お父さんもお母さんも普通の人だったし…」

 

―――アプリルさんはシエロ様(ヴィントの母親)と同じような雰囲気を感じるんですよね…まだ弱々しい感じですが…

 

 閑話休題

 

「さて、教師についての話でしたね…ヴィント君には高等部の実戦魔法の臨時教師をお願いしたいのですが…期間はメディカメントが出来るまでの二週間、お礼はハズみますよ?」

 

 ニコニコと人の言い笑顔を浮かべ、レクトアはヴィントに教師の件を頼む。

 

「良いですよ…元々、やるつもりでしたし…レクトアさんに会いに来たのは、教師の件を承諾してもらう為でしたしね…」

 

「そうですね、さて、ヴィント君達が二週間住む場所を手配しましょうか…学生寮でもよろしいでしょうか?生憎、教師の寮は定員丁度でして…」

 

「えぇ、大丈夫ですよ…住まわせてもらうのに文句なんか言いませんよ…」

 

「ヴィント君が昼間は教師をするとして、アプリルさん達は昼間どうします?」

 

「えぇ〜と………」

 

 アプリルは首を捻ってう〜ん、う〜んと唸りながら考え込む。

 

「もしよろしければ寮母さんの手伝いをしてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「寮母さんの手伝い、ですか?」

 

「はい、人手が足りないとの事でして…」

 

「わかりました、是非やらして下さい。」

 

「メーヒちゃんは私に預からしてくれませんか?」

 

「メーヒをですか?」

 

「ゴクゴク、?」

 

「えぇ、吸血鬼の能力の使い方を教えてあげようかと…」

 

「そんなこと出来るんですか?」

 

「私も少し特殊な人間でしてね…餅は餅屋って奴ですよ…」

 

 微笑を浮かべながらメートヒェンの事を見つめる。

 

「メーヒ、どうする?」

 

「?、メーヒはどうなるの?」

 

「レクトアさんにいろいろと教えてもらえるってこと」

 

「う〜ん………」

 

「お昼はパパもママもメーヒと一緒にいられないからレクトアさんに教えてもらったらどうかな…?」

 

「わかったの。」

 

「そういうことなので…レクトアさん、メーヒの事、よろしくお願いします。」

 

「はい、わかりました。」

 

ゴーン、ゴーン、ゴーン

 

 学院の外まで響く大きな鐘の音が昼の時刻を教えてくれる。

 

「おや、もうそんな時間ですか…」

 

「お昼の鐘ですか?」

 

「えぇ、この鐘の音が鳴ったら昼休みなんですよ…」

 

「おなかすいたの…」

 

「みなさん…ここでお昼にしましょうか?この学院にみなさんが来た歓迎にご馳走を作りますよ…」

 

「相変わらずの料理好きですか…」

 

「えぇ、みなさんの喜んで食べてくれる顔は見ていて幸せになりますからね♪それに、食は生きることの基本ですよ♪」

 

「その“♪”やめません?あなた、俺たちの何倍も生きてるんですから…歳を考えて下さいよ…」

 

「さて…お昼、食べていってくれますよね?」

 

「そんな、悪いですよ…」

 

ぐぅ〜

 

「あっ、おなかがなったの…」

 

「メーヒ…さっきもクッキー食べてたでしょ…」

 

「それはそれ、これはこれ、なの。」

 

 メートヒェンの言葉を聞き、アプリルは頭に手をやり、ヴィントは苦笑し、レクトアはニコニコとしながら、もう一度お昼を誘う。

 

「メーヒちゃんもお腹を空かしているようですし、是非食べていって下さい。」

 

「ハイ、オネガイシマス…」

 


・・・・・・

 

 テーブル一杯のご馳走(アプリルも料理を手伝った)も食べ終わり、紅茶で食後の一息をついていると再び、鐘の音が鳴る。

 

「さて、そろそろ寮に案内しましょうか…」

 

 鐘の音が鳴り終わりしばらくしてからレクトアは、ヴィント達に話しかける。

 

「えぇ、お願いします。」

 

「メーヒ、行くよ?」

 

「レクトアさん、ごちそうさまでした♪す〜〜っごく、おいしかったの♪またたべたいの♪」

 

「それは良かった♪また明日も作りますね♪」

 

 メートヒェンとレクトアの二人はニコニコしながら明日の事を話し合う。

 

「メーヒ…」

 

「おっと…では、行きましょうか…」

 

 紅茶とお茶菓子を片付けてから、四人は学院長室を後にし、学生寮へと向かった…

 

・・・・・・

 

学生寮 寮母の部屋

 

コンコンコン

 

「は〜い」

 

 バタバタッ、っと音を立て中から髪を結わえた若い女性が出て来た。

 

「あら、学院長…何かご用ですか?」

 

「えぇ、この子達に部屋を一つ用意して欲しいのですが…」

 

「この子達?」

 

 女性はレクトアのその言葉を聞き、初めて後ろにいた三人に気付くと目を向けた。

 

「あら、入寮希望者?」

 

「えぇ、二週間の間の臨時教師のヴィオ君とあなたの手伝いにアプリルさん、その二人の娘さんのメートヒェンちゃんです。」

 

「ハイ?えぇ〜と、学院長…ヴィオ君って歳、いくつですか?あたしには高等部の子達と変わらないように見えるんですが…」

 

「えぇ、十七歳ですよ…」

 

「その子、メートヒェンちゃんは二人の娘さんって言いましたよね…」

 

「“義理の”がつきますけどね…」

 

「まぁ、わかりました…同じ部屋で良いんですよね?」

 

「はい。」

 

「そうだった…自己紹介がまだだったね…あたしはここの寮母をやってるフェアミーテリン、みんなにはテリンさんって呼ばれてるよ、よろしくね!」

 

「俺はヴィオって言います。」

 

「私はアプリルです、リルって呼んで下さい。」

 

「メーヒはメートヒェンっていいます、メーヒってよんでください。」

 

「よし、部屋まで案内するよ!」

 

「では、私はこれで…ヴィオ君、メーヒちゃん、また明日の朝にもう一度私の部屋まで来てください。」

 

「はい、わかりました。」

 

「フェアミーテリンさん、お願いしますね。」

 

「了解です。」

 

 レクトアはフェアミーテリンに三人の事を頼むと学院長室へと帰って行った。

 三人はフェアミーテリンの後について行き、一つの部屋へと案内された。

 

「この部屋を使ってね…」

 

「ありがとうございます。」

 

「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど…お二人は恋人?」

 

「はい、そうです。」

 

「いいな〜」

 

 フェアミーテリンは羨ましそうな目でアプリルを見つめてくる。

 アプリルは若干困った表情でヴィントに目で助けを求めるが、ヴィントはその視線を黙殺し、メートヒェンと戯れている。

 

「えぇ〜と…」

 

「まぁ、これからあたしのことを手伝ってくれるようだし、ヴィオ君との馴れ初めはその時にでも…」

 

「お、お手柔らかに…」

 

「ヴィオ君、リルちゃんを借りてくよ?」

 

「お仕事ですか?」

 

「えぇ、寮の雑用なんかを片さないとね…」

 

「わかりました…」

 

「あたし達は寮の子達の夕食の準備で夕食が少し遅くなるけどどうする?寮の子達と一緒に食べる?」

 

「いえ、リルを待ちますよ。」

 

「なら、夕食はあたしの部屋で食べない?その方があたしが楽だし、独りきりの夕食って寂しいんだよね…」

 

「そういうことなら喜んで。」

 

「ありがとう、夕食になったらまた来るね!」

 

「じゃあ、行ってくるね、メーヒ、ヴィオの言うことちゃんと聞くんだよ。」

 

「うん♪ママもテリンさんのゆうことちゃんときくんだよ。」

 

「プッ、アハハッ、メーヒちゃんもリルちゃんに言うね〜」

 

「?」

 

「さて、行こうか…」

 

「ハイ…」

 

 二人は部屋を後にし、寮の仕事を片付けていった。

 勿論、ヴィントとの馴れ初めなどを言葉巧みに聞き出され何度も顔を赤くした。

 ヴィントはメートヒェンの相手をし、クマのヌイグルミで遊んだり、昼寝したりと時間を潰していた。

 ちなみに、夕食の時、新しく入ったアプリルが食堂にいた男子生徒達の視線を釘付けにしていたのをアプリルもヴィントも知る由もなかった。

 



 今回の登場人物は、フェアミーテリンだけですね…

 彼女の由来は【大家】です、なんとなく意味が寮母に近く、語呂もいい気がして…

 ちなみに、レクトアは白い髭生やしたおじいちゃんの予定が何故か若い男性の姿に…趣味も紅茶にお菓子作りとなんか女性みたいに…不思議です…

 メーヒもホントは幼稚園みたいなところへ行くはずが(そこで幼稚園のアイドルになる予定でした…)、何故かレクトアとman-to-manに…不思議です…

 では、今回はこの辺で…

 次回もどうかこの作品をよろしくお願いします。

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