第三章:第二話:少年との別れ
更新遅れてすみませんY(>_<、)Y
第三章:第二話:少年との別れ
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「メーヒッ、危ない!」
ユンゲはメートヒェンの前に腕を広げ立つのだった。
「ギュアアアアァ〜」
ユンゲは襲いかかってくるアリガートアの恐怖に目を瞑った。
「やだ……ダメェェェ〜」
ブゥン
メートヒェンは吸血鬼の能力である不可視の力がアリガートアを食い止める。
「ぐがっ」
見えない壁に阻まれアリガートアの顔が壁に激突する。
「メーヒ………?」
「ハァ、ハァ」
メーヒside end
・・・・・・
三人(正確には女性二人)は子供達が仲良く外に行くのを見届けるとまたお茶を再開する。
「でね………なの。」
「そうなんですか、私の方は………なんですよ。」
「へぇ………そうだったの…」
「ホントに………」
ずずっ
―――女ってよくホントによく喋んな…なんでだろ?それにリル…お前は主婦か…二人は仲良くやってんかな?
話しの輪に入れないヴィントは紅茶を啜って飲み、窓の外を眺めながら、ふと考える。
その時窓を震わせる叫び声が三人に聞こえてきた。
「ギュアアアアァ〜」
「……?何の叫び声だろ?」
「アリガートアだわ…」
「アリガートア?」
「えぇ、アリ「ダメェェェ〜」メーヒちゃんの悲鳴!?」
「行くぞっ!」
「うん!」
三人は子供達が遊んでいる、家の裏の砂浜に向かう。
すぐに砂浜に着くとそこには、二人の姿と見えない何かに阻まれていた魔物の姿があった。
―――無事か…どうやら、メーヒが吸血鬼の能力でアイツの動きを封じているのか…
ヴィントは思考を止めると剣を抜き、アリガートアに斬りかかる。
ムッティは子供達が無事であることに安堵すると、次にアリガートアが何か見えない壁のようなモノに動きを阻まれている光景に疑問を持った。
「ねぇ…アレってどうなってるのかしら?」
「それは…」
アプリルは勿論、メートヒェンが魔物を吸血鬼の能力で食い止めている事はわかっている。
ただ、ムッティはメートヒェンが吸血鬼とのハーフという事を知らないのでアプリルは言葉を詰まらせる。
「それは?」
「………」
「リルちゃん?」
「ママ〜」
「ユンッ!!」
ムッティが疑問に思っていた間にヴィントはアリガートアを倒し、二人を助けだした。
ユンゲは母親の姿を見つけると声を上げた。
メートヒェンはヴィントの足にしがみつき、頭を撫でられている。
「よくやったな、メーヒ…」
「うん♪」
アプリルとムッティは三人のところへ駆け寄る。
ムッティもユンゲのことを抱きしめ無事だった事を喜び、そして、ユンゲに何があったのか尋ねる。
「ユン、何があったの?」
「あのね………」
ユンゲは二人が遊んでいたら海辺からアリガートアが襲いかかってきた事を説明し、メートヒェンが襲われそうになったから自分が彼女の前に飛び出した事を伝える。
「それでね、メーヒが悲鳴を上げたらアリガートアが何かにぶつかったみたいになった…」
「メーヒちゃんが助けてくれたの?」
「うん、メーヒがやったの…」
「メーヒちゃんって一体…」
「えぇっと………」
アプリルはどうしたものかと考えヴィントのことを伺う。
「ヴィオ君…」
「メーヒ、お前のこと言ってもいいか?」
「………うん。」
「メーヒはハーフなんですよ…」
「ハーフ?」
「えぇ、人と…吸血鬼との、ね…」
「なっ、吸血鬼………」
「けど、俺達はそんなこと気にしてません。
メーヒはエルテレさんから預かった大事な俺達の娘だと思ってます。
メーヒになんの罪は無いですしね…出来ればムッティさん、それにユン、これからもメーヒと仲良くして欲しいんだけどいいか?」
「当たり前だよ、メーヒはボクの大切な友達だもん!」
「えぇ、メーヒちゃんはこんなにいい娘だものね。
ありがとうね、ユンを助けてくれて、これからもユンと仲良くして上げてね?」
「うん♪」
「メーヒ、良かったね…」
二人ともメートヒェンのことを受け入れてくれるとアプリルも嬉しそうに呟いた。
その後、全員は家に戻ると、ヴィント達は一晩、ムッティの家にお世話になることな。
そして、更に仲良くなった子供達二人は、ヴィントの手を引っ張って(危ないからと家にいても退屈な為)また遊びに行く事にした。
女性二人は夕食の支度を楽しくお喋りしながら始めるのだった。
・・・・・・
ヴィントは子供達が砂浜で遊んでいるのを遠くから眺めていると疲れが溜まっていたのか、ついウトウトとしてしまった。
ふと、子供達の言い争いのような声が聞こえ目を覚ますと、そこには先程ユンゲをいじめていた子供達がユンゲとメートヒェンに対立するように立っていた。
「オイ、お前誰だよ?」
リーダーのような男の子がメートヒェンに尋ねる。
「メーヒだよ…」
「そんな弱虫と一緒にいるとお前も弱虫になるぞ!」
取り巻きの一人がユンゲを指差して言う。
「ユンくんはよわむしじゃないもん!さっきもメーヒのことまもってくれたもん!」
「ハア、コイツがか?」
「ユンくん、アリガートアからまもってくれたもんね?」
「うん…」
「なっ!?」
「ウソつくなよ!コイツがそんなこと出来る訳ないだろ!」
「ウソつきはこうだっ!」
リーダーの子がメートヒェンのことを突き飛ばした。
「きゃぁっ!?」
砂浜に倒れたメートヒェンを見て、ユンゲは叫んだ。
「メーヒッ!?この、メーヒをいじめるなっ!」
ユンゲはそう言うとリーダーの子に掴みかかる。
そして、二人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。
その様子を遠くから眺めていたヴィントは、やっぱりユンゲも男の子だな、と考えていた。
しばらくして喧嘩も酷くなりそうだったのでヴィントは腰を上げ、子供達のもとへ向かう。
「コノッ」
「クッ、ユンゲのくせに…」
二人が砂浜に倒れ込み、お互いに服を掴み合ってるとヴィントが喧嘩を止めにきた。
「ハイ、喧嘩はおしまい〜」
二人を引き離しそう言うと、取り巻きの子が叫ぶ。
「アンタ誰だよ!」
「俺か?俺はメーヒの…」
「パパッ!」
「パパ〜?」
メートヒェンが叫びながらヴィントの足にしがみついたのを見て、取り巻きの少年は驚く。
「そういうことだ…二人とも喧嘩はやめて家に帰ろうぜ、腹減ったしな…」
「ヴィオ兄ちゃん…」
「ユンもやれば出来るじゃねぇか。」
「うん」
「お前たちもいじめなんかつまんないことすんなよ。」
「だっていつもソイツ遊びに誘っても無視すんだもん!」
「ユン……お前もメーヒと遊んでたみたいにコイツらと仲良くしろよ?友達がいた方が楽しいだろ?」
「うん…」
「これからはユンと仲良くしてやってくれよな?」
「いいぜ、ユンゲもなかなかやるみたいだしな!」
こうして、ユンゲはいじめっ子と友達になり、全員は家に帰る事にした。
ヴィント達が家に帰ると夕食は出来上がっており、しばらくするとユンゲの父親も帰ってきた。
すぐに意気投合したアプリルを中心に、六人は楽しく食事をしたのだった。
・・・・・・
翌日、三人はユンゲ家族にお礼を言うと次の街に向けて出発することにした。
「バイバイ、ユンくん…」
「元気でな、メーヒ…」
二人はじっとお互いのことを見つめ合い、その場を動こうとしない。
その姿を見て親達は色々と考える。
―――昨日もユン君の事ばっかり話してたし、メーヒの初恋かな?それに初めてのお友達だし、やっぱり寂しいよね…
―――昨日はメーヒちゃんのことばっかり話してわね…好きになっちゃったのかしら?
―――あらら、こんなに早くメーヒに初恋が来るとは思わなかったな…昨日はユンにベッタリだったからな…
「メーヒ…ちょっとおいで。」
ヴィントはメートヒェンを呼ぶと耳元で何かを話した。
「?、ヴィオ…?」
「?」
「?、ヴィオ君…?」
「パパ、それをやればいいの?」
「あぁ、喜ぶよ…」
「ユンくん、またあそぼうね!」
chu♪
メートヒェンは背伸びをして、ユンゲのほっぺにキスをする。
「〜〜〜」
ユンゲは顔を真っ赤にして、メートヒェンを見る。
「あらあら…」
「ヴィオッたら…」
「ユン、またメーヒ連れて来るから良い男になれよ。
メーヒを守れるくらいな…」
「ヴィオ兄ちゃん…」
「こんなに早く娘に好きな人が出来た心境を味わうとは思わなかったですよ…」
ヴィントはムッティに苦笑しながら言う。
「私はメーヒちゃんが娘だったら可愛いがっちゃうわね…」
「さて、メーヒ…寂しいだろうけどお別れだ、ユン、必ずまたこの村に来るからな…」
「うん、またね…ユンくん!」
「また会おうな、メーヒ!」
二人が別れの挨拶をするとヴィントは再びお礼を言い村を後にしたのだった。
今回の登場人物は、ユンゲ、ムッティ、魔物のアリガートア(一応)です。
あとは街の名前でハーフェンですね。
まずはユンゲ、名前の由来は【少年】メートヒェンに対して考えました。
次に、ムッティは【お母さん】です。
魔物のアリガートアは【鰐】です、海にはいない生き物ですがイメージからです。
ハーフェンは港町ということで【港】が由来です。
あと、すみません身の回りが忙しくなり、更新を少しばかりお休みします。
来週には更新を再開するのでどうかご了承下さい。
これからもこの作品と作者をよろしくお願いします。