第三章:第一話:メートヒェンの友達
第三章:第一話:メートヒェンの友達
・・・・・・
アポーテケを発ち、ヴェステン国にあるヴェステン魔法学院を目指す三人は、シェントゥルム共和国とヴェステン国の国境であるハーフェンの街に来ていた。
「わぁ〜おおっきい…あれってなにっ?」
街に着いた三人が初めに目に付いたのはグロース湾であった。
メートヒェンは初めて見る海に目を輝かせ、指を差し尋ねる。
「あれは海って言うの、たくさんのお水があるの、でもね…そのお水はしょっぱいから飲めないのよ。」
「そうなんだ〜ねぇ、おさかなさんうみにいるかな?」
「おっきい魚も小さい魚もたくさんいるよ。」
「昼飯を食べたら少し近くで見るか?」
「うん、みたい♪」
三人は食事処に入り、海鮮料理を楽しむと波止場に食後の散歩をしに行った。
「ふわぁ〜………」
「潮の匂いがするね…」
「あぁ、それに風が気持ち良い…」
波止場でのんびりした三人は、ヴェステン国へと出発することにした。
国境を越えると言っても、ヴェステン国の村まで、ハーフェンからは歩いて二時間はかからない距離にあるので、三人はこの街で休憩をしてからヴェステンを目指すことにしたのだ。
「行くか…」
「メーヒ〜行くよ〜」
「は〜い」
波止場の先端で海を眺めていたメートヒェンをアプリルが呼ぶ。
メートヒェンは走って戻ってくる。
「おかえり、楽しかった?」
「うん♪」
「さて、ヴェステン国に行こうか…」
ハーフェンを発った三人は隣村に行くための海道を歩く。
海道は崖の上を通るようになっており、残念ながら砂浜ではなかった。
・・・・・・
国境を越え、二時間程すると海に面した村が見えてきた。
「あっ、村に着いたね。」
村に到着し、少し歩くと子供の声が聞こえてきた。
「子供が元気なのは良い村だよ…」
うんうんと首を振る。
「リル、納得してるとこ悪いけど…あれ、イジメじゃね?」
「へ?…ホントだっ!?コラ〜」
アプリルはイジメをしている子供達を叱りに走って行く。
「ママいっちゃったね…」
「小さい頃からああいう事してそうだよな…アイツ…」
「メーヒもそぉおもうの…」
二人はアプリルが子供達を叱りつけているところを見ながら言う。
「あっ、母親が出てきた…」
どこかから一人のお母さんがアプリルに話しかける。
「イジメられてた子供のお母さんみたいだな…」
「ママにおれいいってるの…」
「ヴィオ〜、メーヒ〜」
「?、なんだろ…」
「いこ、パパ?」
二人はアプリルのところへ歩いて行った。
・・・・・・
イジメられてた子供はユンゲ、母親はムッティといい、三人は助けてもらったお礼に家に招かれた。
五人は自己紹介を終え、ヴィントとアプリルの事とメートヒェンの事も説明し、今はアプリルがムッティとお茶をしながら一丁前に愚痴を聞いている。
「ありがとうね、ユンを助けてもらって…」
「いえ、私ってああいうの許せないんですよ…」
「この子も、もう少し元気ならね…そうしたらお友達も出来るだろうに…」
「そうですね、男の子は元気が一番ですもんね、ユンくんはいくつですか?」
「いつつ…」
「ついこの前に五歳になったばかりよ…」
「そうだっ!ウチのメーヒなんか友達にどうですか?」
「メーヒがおともだち?」
置いてけぼりにされてたヴィントの膝の上にいたメートヒェンが聞き返す。
「そっ、二人で遊んでみたら?メーヒも同年代の友達いないしね!」
「メーヒちゃん、頼める?」
「うん、ユンくん、あそぼ〜」
「………いいよ…」
メートヒェンはユンゲの手を引っ張って外に出ていった。
「メーヒちゃんは元気ね…」
「えぇ、とっても♪」
「ユンもあのぐらい元気よくね…」
「・・・」
全然言葉を発しないヴィントだった。
・・・・・・
メートヒェンside
近くの砂浜で二人は遊ぶことにし、砂浜遊びを知らないメートヒェンにユンゲが砂浜遊びを教えている。
「こうやるとお城の出来上がり…」
「わぁ〜すご〜い!」
メートヒェンは目をキラキラさせながら言う。
「次は、う〜ん…貝がらを探してみよ?」
「かいがら?」
ユンゲは足元にあった貝がらを広い、メートヒェンに見せる。
「わぁ〜きれい…」
「たくさん見つけたほうが勝ちな!」
「うん♪」
二人は貝がら集めに夢中になった。
海辺から不気味な影が迫っているのを知らずに…
「ボクは十コ!メーヒは?」
「メーヒはむっつ…」
「ボクの勝ち〜」
「まけちゃった…」
ユンゲはメートヒェンと遊ぶ間に、だんだんと元気よくなっていた。
「じゃあ、次は…」
その時、海辺から鰐のような四足歩行の魔物が二人に襲いかかってきた。
「ぐぁ〜」
「なっ、アリガートアだ…早く逃げなくちゃ…メーヒ、逃げよう!」
「う、うん…」
二人は逃げようとするとアリガートアはユンゲ達の先回りしてきた。
「くっ」
「あっ」
メートヒェンが砂に足をとられ、転んでしまった。
アリガートアは転んだメートヒェンに狙いを定めると襲いかかってきた。
「メーヒッ、危ない!」
ユンゲはメートヒェンの前に腕を広げ立つのだった。
今回は時間なくて短いですが次回は頑張ります。多分、きっと…
名前の由来も次回にやります。
こんな作者ですがよろしくお願いします。